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応募が集まらない病院へ捧げる!応募数を増やす採用活動【Part1】▶
応募が集まらない病院へ捧げる!他病院と一歩差をつける面接術【Part2】▶
応募が集まらない病院へ捧げる!医師に選ばれない…選ばれる病院がやっていること【Part3】▶
「いいお医者さんがほしい」
というのはどの病院にとっても共通の願いであり、悩みごとではないでしょうか。
昔は「いいお医者さん」というワードで採用に繋がる時代でしたが、昨今医師の需給バランスに変化があり、「いいお医者さん」という抽象的な表現では欲しい人材の獲得が難しくなってきています。需給バランスが逆転しはじめるいま、採用担当者に求められる、採用計画力や面接力、交渉力の基礎となるものについて、今回はまとめます。
1. 医師の需給バランスについて
医師の残業時間の上限が設けられたことは良い傾向
厚生労働省が医師の残業時間の上限を1,860時間/年と設けることを発表し、世間を騒がせたのは記憶に新しいかと思います。1,860時間となれば、1ヶ月に約155時間。一般企業に勤めていると驚く数字ですが、医師に聞くと「確かにきちんと計算するとそのくらいは働いている」という感想もよく耳にします。
この数字自体はさておき、定量的なラインが明示されたこと自体は良い傾向です。これら一連の動きを加味してか、厚労省による大規模労働実態調査も開始されています。(参考資料1)
さて、ここまで医師の労働時間の話が話題になると、当然「医師不足」問題の話に派生します。しかし、本当に医師は不足しているのでしょうか?実は医師は「不足」よりも、「偏在」が問題として取り上げられることが多く、厚生労働省は医師需給分科会を毎月開催しています。(参考資料2)
医師需給分科会の資料によると、医師全体数は年々増加傾向であり、大都市部6都道府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)は他道県と比較し、採用実績も増加しています(参考資料3)。一方、今後医師が増えていくにつれて、2033年頃に医師数約36万人で近郊が取れると推計されています。(参考資料4)
2. 医師採用の波に乗り遅れると、大変な苦労をする
このように、年々医師の需給バランスは均衡し始めており「採用したい医師」を獲得する難易度が上がってきています。事実、都内の病院/クリニックの多くは、医師採用に苦戦し始めており、戦略的な採用計画と獲得力のある人事担当者が必要とされてきています。
今回は以下に挙げた【医師採用を行なうために最低限必要とされること】を解説しながら、戦略的な医師採用について説明していきます。
【 医師採用を行なうために必要なこと 】
- 自院の強み/弱みを把握すること
- ブランディングができること
- 採用チャネルの選択ができること
- 面接力
3. 戦略的医師採用
まず、自院でどのような医師を採用したいのか、ペルソナ設定を行いましょう。
<ペルソナ設定の方法>
診療科/資格・専門医要件/年齢/医師経験年数/性別/求めるスキルや経歴/年収/家族構成などを中心に、人物像を設計する
- 【例え】
- 消化器内科専門医をもつ、35歳、男性医師。
- 内視鏡を得意とし、今後も内視鏡の専門性を高めていきたいと思っている
- 年収1,200〜1,500万程度。既婚、子供1名
自院の強み/弱みを把握する
次に、そのペルソナを採用するにあたり、競合となり得る病院のピックアップをし、職場環境や、医師として経験できること(年間●●例の手術 等)、採用条件や福利厚生などの比較を行いましょう。
これにより、自院の強みや弱みを把握することができます。強みはよりアピールし、弱みはできる限り補完する必要があります。
ブランディングをする
そして、強み/弱みを把握した上で、ブランディングができることも重要です。
前述の方法で、自院の採用における強み/弱みを把握した上で、病院のブランディングを行います。ブランディングとは、設定したペルソナに対して、どのような病院だと魅せることができれば「この病院に興味がある/入職したい」と思ってもらえるのかを考えることです。若手の医師向けであれば、キャリアや経験を推せるような、症例数や使用できる医療機器等の環境、指導体制等が魅せるポイントになります。
逆に、中年医師向けであれば、用意できるポジション、QOL、若手医師の豊富さなどが魅せるポイントになります。
自院はどのような医師を採用したいのか、その医師はどのような病院に興味を持つのか、その興味に合わせ、自院をどのように魅せるのか、を試行錯誤することが大切です。
採用チャネルを選択する
また、利用目的にあった採用チャネルの選択ができることも重要です。
医師採用の方法は、大きく以下のように分類されます。
(▲筆者作成)
自院の採用計画に合わせた方法の選択が必要となります。
面接力
上記の取組みにより、面接までたどり着くことも多いかと思います。
面接において重要なことは、
- 対面でしか伝えられないことを伝える
- 直接会わないと聞けない「入職への懸念」を把握する
- 「入職への懸念」を払拭できるような説明・PRを行なう
の3点です。
特に2つ目は重要で、ここの把握力なくしては、採用力も向上しません。医師からの発言や質問内容に着目し、少しでも多くの「懸念」をみつけ、それを払拭できるような場にする必要があります。
4. まとめ
医師が徐々に飽和傾向となる中、各病院の採用力により医師確保状況に歴然とした差がでる時代がやってきます。以下の4つを意識し、採用活動をすることが一歩となります。
【 医師採用を行なうために必要なこと 】
- 利用目的にあった採用チャネルの選択ができること
- 自院の強み/弱みを、採用したい対象者像と・競合しそうな病院情報を加味して把握すること
- 強み/弱みを把握した上で、ブランディングができること
- 面接力
ぜひ、自院の採用状況を振り返り、戦略的な採用活動につなげ、よりよい医療を患者に提供できる病院への一助となれば幸いです。
■参考資料
参考資料1:「令和元年 医師の勤務実態調査」及び「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」の結果の公表について,厚生労働省,令和2年7月31日https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12705.html
参考資料2:医師需給分科会各回情報,厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html
参考資料3:これまでの医師偏在対策についてp.12,医療従事者の需給に関する検討会 第37回 医師需給分科会,厚生労働省,令和3年3月4日
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000748479.pdf
参考資料4:令和2年医師需給推計の結果p.38医療従事者の需給に関する検討会 第35回 医師需給分科会,厚生労働省,令和2年8月31日
<プロフィール>
中村 実穂(なかむら みほ)氏
1992年生まれ。学生時代より、医療業界を経営・ビジネス視点で支えることに興味を持つ。
国立大学卒業後、聖隷浜松病院ICUにて看護師として勤務。
その後、原体験に立ち返り、病院経営分野へ進むべく、エムスリーキャリア(株)経営支援事業部へ転職。
全国200以上の病院訪問をしながら、複数の病院の採用コンサルティングに従事。
また、並行しDPC領域コンサルティングの新規事業立ち上げに従事。より臨床現場に近いところで事業開発に携わりたいと思い、2018年10月に現職アイリス(株)に入職。
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