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2017.04.05

医師の預貯金はどれくらい?貯蓄額の現実

医師の預貯金はどれくらい?貯蓄額の現実
収入の高さではトップクラスと言われる医師。預貯金の面ではどうでしょう?
平均貯蓄額とその内訳、そして貯蓄額を増やすための策についてお伝えします。

医師の平均年収は?

医師の平均年収は、大学病院の勤務医では800~1000万円、開業医では1200~2000万円と差はあるものの、8割の医師が1000万円を超えていると言われています。
勤務医は在籍している医療機関からの給与所得であり、開業医は事業者としての事業収入となるのが基本的な違いで、その差は1.7倍との統計が示されています。

医師の預貯金は多い?少ない?

個人差が大きい医師の預貯金額。平均を出すのは困難ですが、おおよそ1000~2000万円未満が多く、勤続年数が長いほど比例して高くなる傾向が見られます。
しかし極端な例では「預貯金ゼロ」という世帯もあり、その理由は子供の教育費や本人の趣味投資、住宅ローン返済、開業の自己資金など様々です。

収入の高さ=預貯金の高さ、とはいかない

「医者の給料が高い」のは統計的な事実ですが、実際には収入と預貯金額の高さがイコールとは言い切れない現実があります。お金は使えばなくなるものですから、生活レベルの設定によって、当然ながら個人差が出ます。
加えて開業医の場合、総収入から経費や借入返済分が差し引かれます。経営のためには設備投資や将来へ向けた補償費用などの積み立ても考慮しなければなりません。単純に「収入の余剰=個人的な貯蓄」として計上できないグレーゾーンが発生するのです。

貯蓄の前に考えるべき経費リスク

安定して高い収入を得られることから、金銭面の不安を強く感じる医師は多くないようですが、医師だからこそかかる経費リスクについては知っておくべきでしょう。
ポイントは高額な出費項目と退職金の有無です。
医師の人生における大きな出費には「子供の教育費」「開業資金」「不動産の購入費」が挙げられるでしょう。「子供の教育費」は、「子供も医師にしたい」と希望する医師も多いことから、どうしてもかさみがちです。幼稚園から医学部まで公立に通った場合は平均880万円ほどですが、これがずっと私立の場合、その最高は6300万円にも上ります。これに医学部受験のための予備校に通わせると、さらに年間約300~1000万円が追加されます。
また、「開業資金」や「不動産購入」の場合は、場所や内容により大きく異なりますが、40坪くらいの敷地に内科クリニックを開業する場合、設備資金等を含めても約3000~4000万円以上は必要でしょう。他にも、住宅購入やリフォーム、家族の介護など、人生には何度か大きな出費を必要とする節目が訪れます。いずれも事前に予定を組んで貯蓄しておく必要があります。

退職金に頼れない

勤務医であれば、退職金制度がある勤務先もあるでしょうが、まだ制度がない医療機関が多いのが現実です。中には月々の給与の一部を天引きして積み立てておき、退職時に渡す制度を設けている病院もあります。開業医は定年がありませんので、自分が希望する年齢まで働くことができますが、反面、引退時点で退職金のようなまとまった額を用意するには、自身で貯金しておくしかありません。

貯蓄のためのマネープラン

将来の出費リスクと貯蓄額が見合っていないなら、一度マネープランを立てると改善点が見えてきます。以下の項目を書き出してみましょう。
・年間収支
・今後発生する出費項目と大まかな予算
・月々のローン返済額(返済可能額)
・退職・引退年齢とその時点の貯蓄額

貯蓄には計画性が必要

医師の貯蓄額が思ったより高くない背景には、出費の大きさとともに「多少使っても働けばそれなりの額が入ってくる」という安心感があることです。
50代に入って初めて貯蓄額の少なさに不安を感じた、という医師もいるようですが、高い収入を安定して得られているからこそ、気づくのが遅くなる、とも言えます。
収入が多い人ほど出費もかさみがちですが、将来設計を立てるためには早めの現状把握が大切です。長い目で収支の流れを把握し、予測を立てることで、目標とすべき貯蓄額が見えてきます。

貯蓄には計画性が必要

勤務期間内は高収入が期待できる点は医師のメリットですが、老後の資金には不安が残るのも事実。リタイア後も生活のクオリティを維持するためにも、早めに預貯金プランを立て、実践することが大切です。

最終更新(2016/10/31)

医師の預貯金はどれくらい?貯蓄額の現実

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