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2023.06.06

書評『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』 当直の苦手意識を解消するために読むべき1冊

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方が初学者に向けた医学書解説・比較の医学書レビューと、
日々医師のために医学書を作る出版社の担当者がおすすめの良書をこちらで集めて発信していきます。

今回は、病棟での当直コールの対応に強くなる『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』(藤野貴久著/羊土社)を取り上げます。

購入先のリンク(Amazon)も掲載していますので、お気に入りの書籍があればご購入ください。

レビュー著者:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

・病棟患者さんが嘔吐したと連絡があった……何から原因を検索しよう?

・当直中、突然頻脈になった病棟患者さんについて看護師から相談された…。

これらは日々当直業務をする中で迷ったり悩んだりする点ですよね。

こういった病棟急変、病棟対応について“研修医が学ぶ上で最適な書籍”を羊土社様より贈呈いただきました。本書を読むことで、今後当直への苦手意識が減り、自信を持って対応することができること間違いなしです。

今回、当直への苦手意識を解消するために読むべき1冊として私が自信を持っておすすめするのが『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』です。

書評『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の構成
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
・初期研修医をはじめ、医学生から看護師まで、全ての医療従事者

【推定読了時間】
・7~8時間程度

2.本書の構成

本書は、藤野貴久先生が執筆された。

【本書の構成】
●リアルな会話の内容から、日常診療に即した解説が展開
●時間軸に分けて介入すべきことや考えるべきことを整理
●緊急度ごとに分けて病態を説明

本書を読むことで学べることは以下の通りです。

【本書で学べること】
●時間軸に沿った当直での行動方針
●明日の当直からただちに使える、実践的な知識や対応方法
●コール対応での基礎的な考え方と行動リスト

これらは研修医の先生方にとって、今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんといっても、当直での基本的事項を、網羅的かつ臨場的に描いている点です。

全体を通して、緊急度ごとに病態を分け、リアルな会話とその解説で進んでいきます。初期研修医が担当した当直を、チーフレジデントと共に振り返る、臨場感あふれる会話例といったリアルなシーンを通して、実践的な知識や対応方法を学ぶことができます。

また、時間軸を終始意識した内容となっている点は、とても共感できました。例えば、病室へとダッシュで向かうべき急変なのか、はたまた歩いて行っても大丈夫な容態なのかなど、普通の教科書には載っていませんよね。

加えて、「コール対応早見ガイド」がとても便利だと感じました。「コール対応早見ガイド」は本当に画期的で、各病態でのコールを受けた際に取るべき思考・行動が一目で確認できるため、必要な検査や看護師への指示を迅速かつ効果的に実施するのに役立ちそうでした。このガイドを頭に入れておくことで、コールを受けてからの思考・行動が一目でわかり、スムーズな対応ができるようになるでしょう。

右も左もわからない研修1年目の、強い味方になること間違いなしです。しかもこれだけのエッセンスが詰まっていながら、このコストパフォーマンス…本当にすごすぎますね。

その他、病態生理の解説ももちろん詳しく載っており、実践とともに理論を学びたい先生方にも最適だと感じました。

印象に残る症例を用いた話の展開が魅力的で、理論についても理解しやすい文章になっている本書は、当直を担当する可能性がある先生方は全員、持っていて損はないと思います。本書は、初期研修医をはじめ、医学生から看護師まで、病棟での困りごとに遭遇する可能性のある全ての医療従事者におすすめです!

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●日々接する症例の前後で読み直して復習!
●その後初期研修2年を通じて、対応に慣れていく

個人的におすすめの使い方をご紹介します。

本書は、分厚くないのに内容は濃く、かつ、1日で通読が可能です。

そのため、これまで悩んだ当直を思い出しながら、まず通読をおすすめします!

一度通読した後は、実臨床での病棟コールの度に、本書の該当箇所を参照・再読して、理解を深めていってください。

初期研修がこれから始まる方々はまずはこの本を通読して、その後の2年間の臨床研修で、折りに触れて本書を使って復習するのがいいと思いました。

本書をきっかけに、2年間でインプットとアウトプットをたくさん経験することで、「当直・病棟コールは怖くない!」と感じることができるのではないでしょうか。

5.まとめ

本書は、当直への苦手意識を解消するために読むべき、最初の1冊である!

本書では当直業務でのイロハについて、わかりやすく網羅的に学ぶことができます。

初期研修医をはじめ、医学生から看護師まで、全ての医療従事者に本当におすすめの1冊です。

この1冊を通じて学ぶことで、

今後当直中に患者さんの急変が起きたとしても、自信を持って対応することができます!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非、手にとっていただきたい1冊です。

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際に参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 タイトル:先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!
著者:藤野貴久
出版社:羊土社
発行年月日:2023/2/10
ターゲット層

初期研修医をはじめ、医学生から看護師まで、全ての医療従事者

推定読了時間

7-8時間程度

本書の特徴

●リアルな会話の内容から、日常診療に即した解説が展開
●時間軸に分けて介入すべきことや考えるべきことを整理
●緊急度ごとに分けて病態を説明

本書で学べること(例)

●時間軸に沿った当直での行動方針
●明日の当直からただちに使える、実践的な知識や対応方法
●コール対応での基礎的な考え方と行動リスト

評価
購入先

本書のおすすめの
読み方・活用方法

●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●日々接する症例の前後で読み直して復習!
●その後初期研修2年を通じて、対応に慣れていく!

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この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は、今後も定期的に記事を更新していきますので、その他の記事も是非読んでみてくださいね!

★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
広島大学救急集中治療医学所属
広島大学病院 救急科 医科診療医
日本医師会公認健康スポーツ医
日本救急医学会認定ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
Twitter https://twitter.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』 当直の苦手意識を解消するために読むべき1冊

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