記事・インタビュー

2020.12.11

山あり谷あり谷底あり! ドイツ留学(21)

ドイツはノルトライン=ウェストファーレン州にあるボン大学で循環器内科のフェローとして働いている杉浦 淳史です。
この記事では、日本生まれ日本育ちの循環器内科がドイツでの研究・臨床留学の中で経験するさまざまな困難・葛藤・喜びを、ありのままにお伝えします。

休暇を取って休むということ

写真は家の裏山の牧場風景

10月の給与明細に「あなたは今年、30日のうち14日しか休みを取っていません」的なことが書いてあり、それならばと、11月に1週間の休みをどーんと取ってみました。別にどこかに行くわけではなかったのですが、普段できていない日常的な生活をしてみようと。子供の学校の送り迎えでは何をすればいいのかを他の親御さんに聞き(笑)、夜はご飯を作り、お風呂に入り、絵本を読む、的な。あとは、日中嫁と二人で街にぶらぶら散歩に出かけたり、山の中をランニングしたり。

そういった時間の中で、今後の仕事や家族、子供の教育についてゆっくり考えたり話したりしました。仕事面で言えば、臨床も研究も充実していますが、資金繰りは相変わらずカツカツです。来年度のC大学のスタッフのポストは空いていないとのことですし、もう少しボン大学で仕事をするか、あるいは日本の他の大学にアプライするか(これに関してはZoomを使った教授面談をして1時間程相談しました)。家族は完全に生活に順応し、英語を流暢に話し、最近はドイツ語もめきめきと上達してきています。家族の渡独から2年3ヶ月経ち、現在の彼らの率直な気持ちは、ドイツにもっと残りたい、というもののようです。ただその一方で、現地での日本語教育に限界を感じますし、あまり長くいると語学的にもメンタル的にも日本に帰れなくなる現象が起きるのではないかと危惧しています(そういったご家庭をみかけるので……)。

結論は正直出ていません。ただ、こういった休暇が十分取れると時間にゆとりができて、個人としても家族としても俯瞰して全体像や今後について考えることができるのは大切なことかも?と思います。

Approbation~医学知識試験? 書類審査?~

以前どこかの章で記載したように、僕のいる州でEU以外の医学部を出た人は、永久医師免許(Approbation)を得るために、Fachsprach Prüfungに合格した後、① 医学知識試験を受けるか、② 書類審査で医学教育および医師としての修練の同等性を示さなければなりません。これまで医師会には「試験を受けます」と言って労働許可(Berufserlaubnis)をもらい、試験の日程を知らされる度に「まだ準備できてないな。延期して~」と言ってウヤムヤにしていました(笑)。しかし、ついに先日、シビレをきらした先方が「もうだめです。あなたの理由では延期できません。指定した日付であなたの試験を開催します。1年前から試験の準備期間はあったでしょう」的なメールが。ああ、これはあかんと思い、適当に「1年間あったけどCOVID-19のせいで全然病棟で働けてないんだよ!なのでとりあえず書類審査に出してみることにします」と言い訳をしつつ、ようやく重い腰を上げて医学部のカリキュラム作成にとりかかりました。参考までに、下記がそれで求められた内容です(DeepLで翻訳、一部修正。下に原文を載せます)。

  1. 1. 取得した医学教育とドイツの医学教育の同等性に関する専門家意見書作成のための費用負担の署名入り宣言書
  2. 2. 学習期間中に有効なカリキュラム、シラバス等を提出し、その内容、教え方、試験の頻度、種類、方法がわかるようにして、公的に証明されたもの
  3. 3. 実習終了証明のためのプログラムシーケンスは、公的認証翻訳付き公的認証コピーを提出
  4. 4. 可能であれば、これまでに実施された活動について、公的認証翻訳付き公的認証コピーを提出(証明書の場合は、医療活動の内容や程度を示すものであることに注意が必要です)
  5. 5. 可能であれば、追加トレーニングコースの出席証明書の公的認証翻訳付き公的認証コピーを提出
  6. 6. 出生証明書の公的認証翻訳付き公的認証コピーを提出
  7. 7. ボン大学病院での現在の仕事についての中間報告

※原文は以下より

  • unterschriebene Kostenübernahmeerklärung für die Anfertigung eines Gutachtens über die Gleichwertigkeit der erworbenen ärztlichen Ausbildung gegenüber der deutschen ärztlichen Ausbildung (Vordruck siehe Anhang),
  • Vorlage des für Ihren Studienzeitraum gültigen Lehrplanes, Curriculum, Syllabus etc., aus denen Inhalte, Art und Weise von deren Vermittlung sowie Häufigkeit, Art und Weise der Prüfungen hervorgehen in amtlich beglaubigter Kopie und mit einer qualifizierten Übersetzung,
  • Programmablauf zum Nachweis über die Ableistung der praktischen Ausbildung, in amtlich beglaubigter Kopie und mit qualifizierter Übersetzung
  • sofern vorhanden: Qualifizierte Dienstzeugnisse über die bisher ausgeübten Tätigkeiten in amtlich beglaubigter Kopie und mit qualifizierter Übersetzung,
  • sofern vorhanden: Teilnahmebescheinigungen über besuchte Fortbildungen in amtlich beglaubigter Kopie mit qualifizierter Übersetzung,
  • Geburtsurkunde, in amtlich beglaubigter Kopie und mit qualifizierter Übersetzung,
  • Zwischenzeugnis über Ihre jetzige Tätigkeit im Universitätsklinikum Bonn

<プロフィール>

杉浦 淳史

杉浦 淳史(すぎうら・あつし)
ボン大学病院
循環器内科リサーチフェロー

1983年千葉生まれ。2008年福井大学医学部卒業。
論文が書けるインテリ系でもないのに「ビッグになるなら留学だ!」と、2018年4月からドイツのボン大学にリサーチフェローとして飛び込んだ、既婚3児の父。

杉浦 淳史

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