記事・インタビュー

2019.12.27

日独中ジョイントミーティングについて(4)

ドイツで30年にわたり心臓治療の第一線で活躍。これまでに手がけた心臓手術は約2万件。名実ともに世界的な心臓外科医である南 和友先生に、医師になったきっかけやご自身のキャリア、そしてドイツの医療や働き方と、日本の医療が抱える課題についてお聞きしました。日本・ドイツ・中国の医師が集まるイベント「日独中ジョイントミーティング」に関する情報も併せ、全4回にわたりご紹介します。 最終回の今回はライフワークとして携わっている「日独中ジョイントミーティング」などの活動についてお伝えします。

「日独中ジョイントミーティング」を立ち上げるきっかけ

第13回日独中ジョイントミーティングの様子

今回で13回を迎える「日独中ジョイントミーティング」を開催するきっかけは、各地から心臓外科医が集まり、情報を共有し、コミュニティを広げられるような場を以前からつくりたいと考えており、ちょうど私が2005年に帰国が決まった頃、ドイツのバードユーゼンハウゼン心臓病・糖尿病センター 循環器内科教授のDieter Horstkotte先生とともに日独学会を立ち上げたことからはじまります。

そして、記念すべき第一回目を京都で開催し、私の母校である京都府立医科大学の夜久 仁教授にチェアマンを務めていただきました。日本とドイツの二ヶ国から医師たちが集まり、参加者皆さんのご協力の元、第一回は盛会のうちに終了することができました。

その後、2006 年にTEDA国際心血管病医院 教授の劉 暁程先生が私たちの組織に加わり、日本、ドイツ、中国の3ヶ国ジョイントミーティングとなり、開催を各国で年次ごとの持ち回りで行い、現在までに合計13回開催をしています。

ジョイントミーティングの内容は、招へい講演が主体となります。毎回、各国からエキスパートが集まり、ハイレベルな講演をお届けしています。若い医師にもぜひ参加していただきたいですし、人脈作りにも活用してもらいたいと考えています。

ハートtoハート・ジャパンの活動

上述のジョイントミーティング以外に行っているライフワークのひとつにNPO法人ハートtoハート・ジャパンがあります。

ドイツ滞在中、1989年から2005年までの期間に1,500例(自身の執刀は500例)の心臓移植の実績がありますが、そのうち日本からの渡航移植を受けた患者さんが20例近くありました。帰国後にその方たちの支援、それを基盤に啓発活動をしていこうと考えていた頃、小野 清子元参議院議員に理事長になっていただいてNPO法人ハートtoハートを設立しました。2015年から私が理事長として移植啓発活動に力を入れています。

また、2019年11月22日(金)に久留米シティプラザ 久留米座でイベント「第13回臓器移植・市民公開講座ハートtoハート」を開催しました。当日は、長年お付き合いのある歌手のさだまさし氏に友情出演していただきました。

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最後に繰り返しとなりますが、かつて私が少しでも早く一人前の心臓外科医になるためにドイツ滞在を決めたように、今後は若手医師が充実した研修を受け、一人前になるための手助けになりたいと考えています。日本を飛び出し、とりわけドイツや中国で心臓外科医として挑戦したい医師のお役に立てると思います。

<プロフィール>

南 和友(みなみ・かずとも)
ドイツ・ボッフム大学 胸部・心臓・血管外科 永代教授
医療法人社団 友志会 南和友クリニック 理事長・院長
NPO法人ハートtoハート・ジャパン 理事長

1976年にデュッセルドルフ大学胸部血管外科へ留学。その後、ドイツで医師として約30年にわたり心臓治療の第一線でご活躍され、心臓手術数は約2万件、心臓移植は約1,500件の症例を経験。1984年には、ドイツ北部にある世界一の心臓病センターの設立に携わり、外科チームの実働トップとして経験を重ねてきた。日本人では初めて、2004年にドイツ・ボッフム大学永代教授に就任。

南 和友

日独中ジョイントミーティングについて(4)

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