記事・インタビュー

2018.09.07

「週刊北原」vol.24 ーシカゴ大学でのフェロー卒業ー

 

写真左からテイと手術室チーム、太田先生

米国イリノイ州にあるシカゴ大学で心臓外科医として働いている北原 大翔と申します。
この企画は、日本で育ち日本で心臓外科医としての研修を受けた僕が、米国での臨床留学中に経験する医療や教育の違い、心臓外科医として、この1週間に対応した症例、手術室で起こる日本ではありえない出来事などを、真面目かつ可能な限りリアルな形で伝えることを目的としています。

今週の症例数

症例 August & September
26 27 28 29 30 31 9/1
Sun. Mon. Tue. Wed. Thu. Fri. Sat.
LVAD
補助人工心臓植え込み術
1 BBQ
MCS
機械式循環補助関連
1
TECAB
ロボット 冠動脈バイパス術
1

 

シカゴ大学でのフェロー卒業

8月31日で僕の2年に渡るシカゴ大学のフェローシップが終了しました。
色々とありましたが、2年間を通して楽しくハッピーにやってこれたと思っています。心臓外科医としては2年前と比べると明らかに成長しており、また、さらなる成長の伸びしろも感じています。人間としてはそれほど成長しませんでしたが、まぁこれに関してはしょうがないです。これからビザの関係で、一旦日本に帰国(1~2ヶ月くらい)するのですが、そもそもこの「週刊北原」はアメリカ留学について語るコーナーであるため、帰国後継続できるのかどうなるのか気になっています。少なくとも日本で手術はしないので。

 

今週のトピックランキング身近に起きた出来事をランキング形式でお伝えします。

最後の手術
最後の手術

シカゴ大学の最後の手術は、フェローシップ最終日の8月31日に太田先生とともに行いました。その日は朝から手術が鬼のように入っており、予定していたその手術が始まったのは20時からでした。手術自体はすんなり進み、11時半、卒業ぎりぎり30分前に終わりました。手術終了時にアテンディング(指導医)と握手をするのですが、最後に太田先生が「卒業おめでとう」と言ってくれました。普段あまり感動や哀愁などの感情に乏しい僕でしたが、この時はぐっとくるものがありました。2年間ずっと一緒に手術に入って来た人と、今後おそらく一生手術に入ることがないというのはなんとも寂しい感覚です。外科の世界におけるほとんどの師弟関係がそういうものだとは思うのですが、やはり寂しいですね。これが終わりではなく、新しい関係性のスタートであると自分に言い聞かせ、寂しさをごまかしています。

シカゴ大学で出会った様々な人たち

卒業にあたり、今週は色々な人と写真を撮りました。来た当初から英語の話せない僕にずっと優しくしてくれた看護師さんたち、手術を手伝うだけではなく色々と教えてくれたシニアPA達、ロボット手術という新たな可能性を見せてくれたロボット外科医バルキーとそのチーム、最後まで生意気な僕にも愛想をつかすことなく教育してくれた若手アテンディングのテイ、師匠であり親友の太田先生。とても楽しい2年間でした。

看護師とロボット外科医バルキー写真左から看護師さん、ロボット外科医バルキー
シニアPAとロボットチーム写真左からシニアPA、ロボットチーム

バーベキュー@シカゴ

バーベキュー

フェローシップ卒業の翌日にダウンタウンでバーベキューパーティを行いました。シカゴ大学、ノースウエスタン大学(ダウンタウンにある大学病院)で働く人とその家族が来てくれました。アメリカでバーベキューパーティーを開くという夢のような体験に胸を踊らせていたのですが、幸せそうなファミリー達の笑顔が僕には眩しすぎたみたいで、無意識的に肉を焼くスペースに避難している自分がいました。2年アメリカにいて初めてロンリネスを感じた瞬間でした。

 

北原 大翔

1983年東京生まれ。2008年慶應義塾大学医学部卒業。モテるために心臓外科になりアメリカ留学を目指し、2016年より単身渡米。現在イリノイ州にあるシカゴ大学で心臓胸部外科医として働く。独身彼女なし。NPO法人 Team WADA(医師の海外留学情報を発信する団体)で留学ブログを担当。

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北原 大翔

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