記事・インタビュー

2018.06.15

「週刊北原」vol.12 ー心臓外科医の就職活動についてー

 

米国イリノイ州にあるシカゴ大学で心臓外科医として働いている北原 大翔と申します。
この企画は、日本で育ち日本で心臓外科医としての研修を受けた僕が、米国での臨床留学中に経験する医療や教育の違い、心臓外科医として、この1週間に対応した症例、手術室で起こる日本ではありえない出来事などを、真面目かつ可能な限りリアルな形で伝えることを目的としています。

今週の症例数

症例 June
3 4 5 6 7 8 9
Sun. Mon. Tue. Wed. Thu. Fri. Sat.
TECAB
ロボット冠動脈バイパス
就職面接のため、症例なし 1 1
CABG
冠動脈バイパス
1
MVR
僧帽弁手術
1
Htx
心臓移植
1

 

心臓外科医の就職活動について

ワシントン大学関連病院

先週末ワシントン大学の関連病院に就職面接(インタビュー)にいってきました。現在僕はシカゴ大学でフェロー(いわゆるトレイニー)として働いているのですが、フェローとしてトレーニングを受けるのは期間が決まっており(1年から3年)それが終わると、僕の場合は別のフェローシップを探すかアテンディング(いわゆる独立した外科医)として働くかを選ぶことになります。アメリカの正規のコースを歩んできた人は通常フェローが終わると色々な就職先の中から自分で行きたいところをチョイスしていくのですが、僕のように途中からフェローとして入ってきた人(いわゆる非正規)はこの就職先を探すというのが大変です。

アメリカの専門医の資格が無いことが就職において大きくマイナスに働くため、そもそも応募しても返事すら来ないのがほとんどなのです。そのため、非正規のフェローがアテンディングのポジションを得るためには、①フェローをしていた施設で気に入られアテンディングの空きがでたところでそこにいれてもらう ②フェローをしていた施設のボスから他施設に斡旋してもらう、の2つが大きな道だと思います。僕は2年前にシカゴ大学にフェローとして雇われたため、今年の9月でトレーニングの期間は終わる予定になっています。

そのため、アメリカで医療を続けるために就職活動が必要になったというわけです。日本にいると、特に医局に属していると、自分が働く施設を自ら探すという感覚はありませんでした。そのため、自分の将来を自分の力で見つけていく決めていくというあたり前のことが、非常に新鮮で楽しいなと思っています。

 

今週のトピックランキング身近に起きた出来事をランキング形式でお伝えします。

ワッシュUへのインタビュー
ワシントン大学本院

総括でも書きましたが、先週末はワシントン大学の関連病院にアテンディング外科医のインタビューに行っていました。ワシントン大学はアメリカにたくさんあるのですが、僕が今回行ったワシントン大学はセントルイスにある大学で(ワシントンDCではない)、あの知ってる人は知ってるワシントンマニュアルのワシントンらしいです。ワッシュユーとか言われたりしてます。インタビューは日曜にスタッフと晩飯、月曜に大学の人たちと話し、その後関連病院に行ってそこにいる人たちと話すという構成でした。飛行機やホテルなどを含めかかる費用はすべて向こうがもってくれるところがよかったです。インタビュー自体は可もなく不可もなく終わりました。英語が喋れないながらになんとかやったな、と思っています。めったに遅延することないシカゴーセントルイス間の飛行機が行きも帰りも遅延していました。何か悪いことを予兆しているような気がします 笑

ソロ、をもっとも面白い映画だと言っていた

先日、ロボット手術に学生3人が教育の一環として見学に来ていました。その中に女子もいたのですが、日本的に言うとものすごい横柄な態度というか、腕組んで机によっかかりながら挨拶をしていました。日本でやったら「なんなのあの子、態度が悪いわ」と影で言われてしまいそうな感じです。アメリカでも思われているのかもしれませんが。こういう人が結構たくさんいるのがアメリカに来ていつも面白いと思っている事象です。そんな中、学生達の中で映画の話題が始まり、一人の男子学生が「ソロ(スターウォーズのスピンオフ、ハンソロの過去の話)見た?あれ、最高。俺が今まで見た中で一番面白かった」と言っていました。人の価値観はそれぞれですが、今まで見た中で一番、というのはだいぶ言ってるな、と思いました。

 

MICUのレジデントとナースが付き合っていた
シカゴ大学CCD

心臓外科術後の患者さんはCCD (Center for Care and Discovery) というかっこいい名前のついた新しい建物の4階にあるCTICUに運ばれて術後のケアを受けます。この建物には他にも手術室、MICU (medical ICU) やSICU (surgical ICU) なども入っており、たまにMICUなどでECMOをいれたりします。先日CCDの一階にあるスターバックスでラテなどを飲みながら留学してる感を醸し出していたら、MICUのレジデントとナースが一緒に歩いていました。あ、あの二人仲よさそうだな、とほのぼのとしながら見ていると、エレベーターの前で別れ際にさらっとキスをしていました。めちゃくちゃ公共の場所+職場という状況ながら普通にキスをしていました。僕がもしMICUレジデントの同期だったら「あいつMICUのナースとエレベーター前でキスしてたぜ」という情報をもとに1週間は話題に困らないと思います。そして、羨ましかったです。

 

北原 大翔

1983年東京生まれ。2008年慶應義塾大学医学部卒業。モテるために心臓外科になりアメリカ留学を目指し、2016年より単身渡米。現在イリノイ州にあるシカゴ大学で心臓胸部外科医として働く。独身彼女なし。NPO法人 Team WADA(医師の海外留学情報を発信する団体)で留学ブログを担当。

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