記事・インタビュー
ドイツはノルトライン=ウェストファーレン州にあるボン大学で循環器内科のフェローとして働いている杉浦 淳史です。
この記事では、日本生まれ日本育ちの循環器内科がドイツでの研究・臨床留学の中で経験するさまざまな困難・葛藤・喜びを、ありのままにお伝えします。
新規デバイスの治験
弁膜症カテーテル治療の分野では日進月歩で医療技術が開発されています。その中にはすでに保険で認可されたもの以外にも、保険適応外での治療デバイス使用や、新規デバイスの治験などもあります。この最先端の医療技術に関する日本との時差、通称「デバイスラグ」、が僕がドイツで留学している理由の一つです。
先日、ある治験デバイスの治療がありましたが、正直に言うとかなり難渋していました。デバイスに改善が必要なことはさておき、治療をガイドする「指導者」も10-20件の経験しかないこと、どういった要素が術中手技の成功に関連するかが不透明なこと、などが挙げられます。術者のNickenig教授は、3-4時間集中し続け、なんとか手技を完遂させていました。今後普及するかどうかは、この最初の治験成績が大きく影響するためもちろん適当なことはできませんし、まさに最先端でその新規デバイスを評価し、改善点を見つけ出しているようでした。
僕も帰国後は、新規デバイスの日本への導入をサポートするために治験施設で働きたいと思っているので、そう言った意味でもボン大学でNickenig教授の背中を見てるのは大きな意味があるのかもしれません。
母校で医学生に講義
高等教育機関(高校・大学・大学院など)の同等性評価のための書類(前項参照)を準備している際に、母校の福井大学の国際科の包囲網に引っかかり、今回留学にかんする講義をすることになりました。講義を録画して投稿し、それをオンデマンド形式で学生が視聴し、後日質疑応答の会をする形式です。今回COVID-19の関係で、海外にいながら日本に発信しやすくなったなあと思います。
さてそんなCOVID騒動で遅れること半年弱、須藤先生と田中先生がボンのリサーチフェローとして来られました。お二人ともご家族に先行して渡独され、要領よくセットアップを済ませ、1ヶ月足らずで研究の打ち合わせをしたり、データ集めをしたりと、自分が来た時に比べかなり順調に進んでいて素晴らしいです。ちょっとだけくやしい(笑)。写真はある日のカテ後の風景、まるで日本のカテラボのよう。
ドイツ医学生に講義
先日ドイツ医学生に授業をしてきました。テーマは急性・慢性心不全。
同僚はみんな「おお楽勝だね〜♪」って。いやいや、母国語なら楽勝でしょうが、如何せんドイツ語。事前にドイツ語のサイトをみて勉強し、You tubeを見て練習して、そして悟りました。かなりキツイ(笑)。
もうどうしようもないので、簡単な質問を学生に投げかけて、「Richtig!(正しい)」とか「Genau!(その通り)」とかを連呼して気分を良くさせつつ、その答えの重要性を(下手くそなドイツ語で)強調する作戦に。さらに「日本だと・・・」という感じで日本とドイツの相違点や共通点に持っていって、「その原因はなんだと思う? はい君。」的な感じで、みんなに降って、各人に時間を使わせるプランに。笑
同僚にもついてきてもらい、そんな感じのノリでなんとか第一回を乗り切りました、はい。が、しか〜し、第二回のテーマはなんとARDS。日本語でもキツイっす。。。
<プロフィール>
杉浦 淳史(すぎうら・あつし)
ボン大学病院
循環器内科 指導上級医(Oberarzt)
論文が書けるインテリ系でもないのに「ビッグになるなら留学だ!」と、2018年4月からドイツのボン大学にリサーチフェローとして飛び込んだ、既婚3児の父。
杉浦 淳史
人気記事ランキング
-
整形外科に進まない研修医も必読!研修医が読んでおくべき整形外科系の医学書4選
- ベストセラー
- 研修医
- 医書マニア
整形外科に進まない研修医も必読!研修医が読んでおくべき整形外科系の医学書4選
三谷 雄己【踊る救急医】
-
手術から創薬へ:製薬企業で臨床経験を生かすやりがい
- ワークスタイル
- 就職・転職
- 病院以外で働く
手術から創薬へ:製薬企業で臨床経験を生かすやりがい
田中 智子、堤 康行
-
ブランクからの復職や時短勤務もOK 柔軟な働き方で最先端の眼科医療に触れられる環境
- 研修医
- ライフスタイル
- 就職・転職
ブランクからの復職や時短勤務もOK 柔軟な働き方で最先端の眼科医療に触れられる環境
神戸アイセンター病院
-
書評『救急外来 ただいま診断中! 第2版』まずはここから! 内科系救急研修医の必読書!
- 新刊
- 研修医
- 医書マニア
書評『救急外来 ただいま診断中! 第2版』まずはここから! 内科系救急研修医の必読書!
三谷 雄己【踊る救急医】
-
【SPECIAL TALK】後悔しない、専門科選択とキャリア形成 vol.1
- 研修医
- ワークスタイル
- Doctor’s Magazine
- 専攻医・専門医
【SPECIAL TALK】後悔しない、専門科選択とキャリア形成 vol.1
稲葉 可奈子、山本 健人、後藤 礼司
-
佐々木淳先生の在宅診療メモランダム Episode1 本当に大事なものは何か
- Doctor’s Magazine
佐々木淳先生の在宅診療メモランダム Episode1 本当に大事なものは何か
佐々木 淳
-
著者が語る☆書籍紹介 『LIVE!! 輸液プラクシス 3つのRで現場に実装 輸液ど真ん中!!!』
- 新刊
- 研修医
- 医書マニア
著者が語る☆書籍紹介 『LIVE!! 輸液プラクシス 3つのRで現場に実装 輸液ど真ん中!!!』
柴﨑 俊一
-
キャリアの幅を広げる、フレキシブルな働き方を実現
- 研修医
- ライフスタイル
- 就職・転職
キャリアの幅を広げる、フレキシブルな働き方を実現
八尾徳洲会総合病院
-
医療DXをリードするクリニックで、 柔軟な働き方で自分らしい医療を実現
- 研修医
- ライフスタイル
- 就職・転職
医療DXをリードするクリニックで、 柔軟な働き方で自分らしい医療を実現
アリオ北砂皮フ科・アレルギー科
-
<開催報告>けいゆう先生と考える!後悔しない診療科の選び方 ①後悔しない診療科の選び方
- イベント取材・広報
<開催報告>けいゆう先生と考える!後悔しない診療科の選び方 ①後悔しない診療科の選び方
山本 健人