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2024.06.03

書評『こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント 』血液浄化を深めよう

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方が初学者に向けた医学書解説・比較の医学書レビューと、日々医師のために医学書を作る出版社の担当者がおすすめの良書をこちらで集めて発信していきます。

購入先のリンク(Amazon)も掲載していますので、お気に入りの書籍があればご購入ください。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

  • 担当患者さんにHDで血液浄化をしようとしたら、血圧が落ちてしまい中止せざるを得なくなってしまった…
  • 治療方針でHDを施行しようとしたら、「それってECUMじゃダメなの?」と上級医に指摘された…

血液浄化治療を施行中に血圧が低下し中止せざるを得ない状況や、ECUMとHDの選択に関する上級医の指摘など、日々の臨床での血液浄化療法に関する悩みを経験したことはありませんか?

私は、血液浄化療法に関する前作『こういうことだったのか!! CHDF』から得た基本知識をアップデートする目的で、続編である本書を購入しました。

そもそも臨床現場で設定している“ECUMやSLEDの原理原則”(PEは特に…)も曖昧な理解であったため、それらを改めて学び直したいと考えました。

本書は、日々の臨床で血液浄化療法について悩む専攻医や若手医師に最適です。

本書を読むことで
今後、高度な血液浄化療法を必要とする症例に出会ったとしても自信を持って対応することができます!

今回血液浄化療法への知識をアップデートし、理解して使えるようになりたい際に読むべき一冊として自分が自信を持っておすすめするのがこちらです。

こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント
小尾口 邦彦 (著)/ 中外医学社 発行
価格:2,750円(税込)
発刊:2023/12/1
Amazon

書評『ER虎の巻 ピットフォールから学ぶ救急診療の要』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
・日々の臨床で血液浄化療法について悩む専攻医や若手医師

【推定読了時間】
・4~5時間

2.本書の特徴

本書は、小尾口邦彦先生が執筆された、

●小尾口先生節が炸裂した鮮明な解説
●治療方法だけでなく、様々な切り口から血液浄化療法を語っている

が特徴の一冊です。

本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります。

【本書で学べること】
●血液浄化療法に関する高度な知識
●臨床で頻繁に遭遇するが文献で詳細に触れられることの少ないトピックス
●医療制度の視点からみた血液浄化療法の制限

これらは研修医の先生方にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんと言っても、血液浄化療法に関する、発展的で高度な知識を学ぶことができる点です。そのため、全体を通して臨床で頻繁に遭遇するが文献で詳細に触れられることの少ないトピックスが扱われています。

例えば、フィルターの詳細や回路の逆接続、さらに集中治療における細かなtipsや中心静脈カテーテルの形状など、自学ではなかなか触れる機会のない内容が豊富に含まれており、非常に有益です。

もちろんこのシリーズの他の医学書と同様、小尾口先生節が炸裂した鮮明な解説も健在です。

図解を用いた明快な説明で、血液浄化療法に対しての理解が深まります。

その他、日本の医療制度から言及されている項目が興味深いと感じました。

類書である『The ICU book』などではもちろん語られることのない、日本の健康保険による血液浄化の制限などについても言及されており、まさに“日本の臨床現場で日々血液浄化療法に悩む臨床医のための一冊”であると改めて感じました。

一方で、あくまで個人的な印象ではありますが気になった点としては、読了の難易度が高いことです。

専門的かつ詳細な内容を含んでおり、あくまでCHDFなどの基本知識を持つ読者を前提としています。

そのため、初学者がいきなり本書を手に取ると難易度が高く感じられるかもしれません。

先に『こういうことだったのか!! CHDF』を読んでから本書を手に取ると、より理解が深まると思います。

これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は

本書は血液浄化療法への知識をアップデートし、理解して使えるようになりたい際に読むべき一冊である!

と感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは類書で基本知識を把握する
●次に、これまで悩んだ診療 を思い出しながらまず通読!
●時間がない場合は、興味のある分野を目次を通じてつまみ食い感覚で読んでみる
●その後は経験した症例 の前後で読み直して復習!

個人的におすすめの使い方をご紹介します。

私個人の意見としては、本書を手に入れた時は半日から一日をかけて通読することをおすすめします。

高度な内容なため、かなり長い時間が通読に必要ではありますが、本書の内容を理解できた際には血液浄化療法に対する自信がつくこと間違いなしです。

時間が限られている場合は、目次から関心のある部分を選んで読み始めるのも良いでしょう。

ただし、前提として基本知識が求められるため、必要に応じてCHDFの原則を理解してから読み進めるのがおすすめです。

私自身も『こういうことだったのか!! CHDF』を再読した後に本書に取り組みました。(こちらは1段階基礎的な内容を扱っています。)
その後は実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。

5.まとめ

本書は血液浄化療法への知識をアップデートし、理解して使えるようになりたい際に読むべき一冊である!まとめると、本書は血液浄化療法について、深く学ぶことができる本当におすすめの一冊です。この一冊を通じて学ぶことで、
今後、高度な血液浄化療法を必要とする症例に出会ったとしても自信を持って対応することができます!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手に取っていただきたい一冊です◎

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 タイトル:こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント
著者:小尾口邦彦
出版社:中外医学社
発行年月日:2023/12/1
ターゲット層

日々の臨床で血液浄化療法について悩む専攻医や若手医師

推定読了時間

4-5時間程度

本書の特徴

●小尾口先生節が炸裂した鮮明な解説
●治療方法だけでなく、様々な切り口から血液浄化療法を語っている

本書で学べること

●血液浄化療法に関する高度な知識
●臨床で頻繁に遭遇するが文献で詳細に触れられることの少ないトピックス
●医療制度の視点からみた血液浄化療法の制限

評価
購入先

本書の読み方・活用方法

●まずは類書で基本を把握する
●次に、これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●時間がない場合は、興味のある分野を目次を通じてつまみ食い感覚で読んでみる
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

本書のまとめ 本書は血液浄化療法への知識をアップデートし、理解して使えるようになりたい際に読むべき一冊である!

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★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
広島大学救急集中治療医学所属
広島大学病院 救急科 医科診療医
日本医師会公認健康スポーツ医
日本救急医学会認定ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
Twitter https://twitter.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント 』血液浄化を深めよう

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