記事・インタビュー

2023.07.12

書評『外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント』 わかりやすく学べて初学者におすすめ

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方が初学者に向けた医学書解説・比較の医学書レビューと、日々医師のために医学書を作る出版社の担当者がおすすめの良書をこちらで集めて発信していきます。

フィジカルアセスメントについて普段から積極的に教育されている大阪医科薬科大学の橋本 忠幸先生より著書『外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント』(メディカ出版/税込2,860円)を贈呈いただきました。今回はこの本についてレビューします。

購入先のリンク(Amazon)も掲載していますので、お気に入りの書籍があればご購入ください。

レビュー著者:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

・フィジカルアセスメントをとることへの苦手意識があるけど、どう対処しよう…?

・フィジカルアセスメントが大切だというけれど、実際に見たことがない所見が多くてやっぱり不安だな…。

検査過多になりがちな現代の医療現場においても、フィジカルアセスメントは非常に大切ですよね。一方で、フィジカルアセスメントに絶対の自信を持つ方は少ないのではないでしょうか?

フィジカルアセスメントについて、「よく教科書に出てくる身体所見を実際に見たことがない」という声を聞くことがあるのではないでしょうか。本書を読むことで、代表的な身体所見を動画で学び、自分の目でしっかりと評価できるようになります。

フィジカルアセスメントを学習する際に、まず読むべき一冊として自分が自信を持っておすすめするのがこちらです。

外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント
橋本 忠幸(著)/ メディカ出版 発行
価格:2,860円(税込)
発刊:2023/3/27
Amazon

書評『外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
・フィジカルアセスメントの方法は習ったが、実際の所見の診方がわからない人
・フィジカルアセスメントを学びたい看護師、セラピスト、薬剤師、研修医などすべての医療従事者向け

【推定読了時間】
・3~4時間程度

2.本書の特徴

【本書の構成】
●フィジカルアセスメントを行う、実際の所見に焦点を当てている
●外来や病棟でよく遭遇する実際の異常所見の動画・写真が満載

本書を読むことで学べる特徴的な項目をピックアップすると、以下のようになります。

【本書で学べること】
●フィジカルアセスメントを行う、実際の異常所見
●異常所見を身体診察で見抜く力
●意外と見ることのできていない、特徴的な所見

これらは研修医の先生方はもちろん、すべての医療従事者や医療学生にも今後役立つ大切な事柄であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんと言っても、フィジカルアセスメントが必要な場面について、カラフルで豊富なイラスト、写真や動画で解説をしている点です。

外来や病棟でよく遭遇する実際の異常所見の動画・写真が満載で、視覚的に学ぶことができるため、“初めてフィジカルアセスメントを学ぶ先生”に特におすすめです。

加えて、「難解な医学用語を避けて、読みやすい話し言葉で解説されている」という点からも、初学者に最適な本であると言えます。また、特にメディカARのシステムにより、「スマホを用いてすぐに動画が見られる」点が本当に便利で秀逸だと感じました。

初学者でも読みやすい文体やわかりやすいイラスト、動画を用いて、普段実臨床で意外と見ることのできていない、特徴的な所見を改めて学習し直すことができる本だと思います。個人的には、甲状腺機能低下症の浮腫など、実は自分で見たことのない所見も多く、大変勉強になりました。

まとめると、フィジカルアセスメントの導入本として最適な内容とコストパフォーマンスであると言える一冊でした。

一方で、より正確な医学用語を学びたい場合や、詳細なアセスメントをしたい場合は本格的な成書を手に取ることをおすすめします。

この書籍は初学者向けの導入本なので、その役割は十分に果たしていると思います!より深く学びたい人が興味を持つきっかけになる本であり、初学者には大変おすすめしたいと感じました。

これらは本書の個人的な評価であり、何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は本書はフィジカルアセスメントとしての導入本に、最適な内容とコストパフォーマンスである!

と感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながら、章ごとにまず通読!
●時間がない場合は、興味のある章を読んでみる
●動画学習を並行して進めよう!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

本書の特徴は、章分けが段階的で、多忙な看護師や研修医が学びやすい構成になっていることが挙げられます。

時間に余裕がある方は、章ごとに学習を進めることで、フィジカルアセスメントについてスイスイと理解ができるかと思います。

ただし、時間がない方は、気になるところから読んでみましょう。

本書は、一冊を通して数時3,間でさらっと通読することはできますが、通読する際は必ずメディカARでの動画学習を同時並行で進めることをおすすめします。

わかりやすい動画解説のおかげで、異常所見の理解を深めることができますよ!

その後は、実際の患者の所見を診る際に、本書の内容を参照することで臨床現場での実践を通して、フィジカルアセスメントのスキルを磨いていきましょう。

5.まとめ 自信を持ってフィジカルアセスメントをする手助けに

本書はフィジカルアセスメントとしての導入本に、最適な内容とコストパフォーマンスである!

まとめると、本書はフィジカルアセスメントについて、わかりやすく学ぶことができる初学者の方に本当におすすめの一冊です。

この一冊を通じて学ぶことで、今後のフィジカルアセスメントついて自信を持って行えるようになるので、多くの時間と心の余裕が得られます!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です。

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 タイトル:外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント
著者:橋本 忠幸(大阪医科薬科大学 地域総合医療科学寄附講座)
出版社:メディカ出版
発行年月日:2023/03/27
ターゲット層

●フィジカルアセスメントの方法は習ったが、実際の所見の見方がわからない人
●フィジカルアセスメントを学びたい看護師、セラピスト、薬剤師、研修医などすべての医療従事者向け

推定読了時間

3-4時間程度

本書の特徴

●フィジカルアセスメントを行う、実際の所見に焦点を当てている
●外来や病棟でよく遭遇する実際の異常所見の動画・写真が満載

本書で学べること(例)

●フィジカルアセスメントを行う、実際の異常所見
●異常所見を身体診察で見抜く力
●意外と見ることのできていない、特徴的な所見

評価
購入先

本書のおすすめの
読み方・活用方法

●これまで悩んだ診療を思い出しながら、章ごとにまず通読!
●時間がない場合は、興味のある章を読んでみる
●動画学習を並行して進めよう!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

▲TOPへ戻る

この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は、今後も定期的に記事を更新していきますので、その他の記事も是非読んでみてくださいね!

★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
Twitter https://twitter.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『外来でも病棟でもこの1冊 だけでいい! フィジカルアセスメント』 わかりやすく学べて初学者におすすめ

一覧へ戻る

このシリーズの記事一覧