記事・インタビュー

医師にとって院内勉強会や抄読会は、自らの知識を更新し、チーム医療の質を高めるための重要な機会です。しかし、私たちは多忙な日常業務の合間を縫って、論文の読み込み、スライド作成、発表原稿の準備まで、全てをこなさなければなりません。
この「準備の負担」という大きな課題を解決し、発表の質をむしろ向上させる強力なツールが、生成AI「ChatGPT」です。今回は、ChatGPTを「優秀なプレゼン作成アシスタント」として活用し、院内勉強会のスライド作成を劇的に効率化する方法をご紹介します。
第2回の連載では、単一の論文を深く読み解く『抄読会』準備に焦点を当てましたが、今回はより範囲を広げ、特定の論文に基づかない『日常診療の臨床テーマ』について、ゼロからプレゼンテーションを構築するテクニックです。
具体的な活用プロンプト:スライド内容の生成と.pptx 出力
最新のChatGPTでは、勉強会のテーマや対象者を伝えるだけで、構成案の作成から各スライドの詳細な内容、さらにはPowerPoint (.pptx)形式での出力まで、一気通貫で依頼することが可能です。
■ Prompt ープロンプト例
病院内での勉強会用のスライドの内容を作って.pptx で出力してほしい。
【テーマ】
救急外来での胸痛診療について
【対象】
初期研修医
【伝えたいこと】
鑑別とその鑑別のキーポイント、救急度も踏まえた検査の順番、実例
【その他】
合間にリラックスできるスライドの内容を挟もうと思っている。一枚一枚のスライドは詳細に作成して
このように、【対象】、【テーマ】、【伝えたいこと】などを明確に言語化して指示を出すことで、AIは意図をくみ取り、質の高いスライド構成案と内容を生成してくれます。このプロンプト一つで、勉強会の骨子と肉付けがほぼ完了してしまうのは驚きです。
このプロンプトの最大の強みは、【対象】を指定することで、内容の専門性や言葉遣いをAIが自動で調整してくれる点にあります。同じ『胸痛診療』でも、対象が初期研修医なのか、看護師なのか、あるいは医学生なのかによって、アウトプットのレベルは大きく変わります。これにより、聞き手の知識レベルに最適化された『本当に伝わる』プレゼンテーションを効率的に作成できるのです。
ただし、幾つか注意点もあります。まず、AIはテキストベースの出力は得意ですが、実例に用いる心電図やレントゲン画像、あるいは小ネタ用の画像などは現時点では生成できません。これらは後から自分で追加する必要があります。
また、今回は紙面の都合で一つのプロンプトで完結させていますが、実際には「まずテーマについて必要な情報を調査・要約して」→「その情報に基づいて構成案を作って」→「このスライドの内容をもっと詳しく」→「全体を整えて.pptxで出力して」というように、対話を重ねながら内容をブラッシュアップしていくことも可能です。この方が、より自らのイメージに近い発表内容に仕上げることができるでしょう。

【+α】プレゼン作成をさらに効率化するツール
ChatGPTは構成案とテキスト作成に絶大な威力を発揮しますが、デザイン面では他のサービスに軍配が上がります。よりビジュアルに優れたスライドを作成したい場合、以下のキーワードで検索してみるのもいいでしょう。
AI 搭載型スライド作成ツール ▶▶▶ Gamma, Felo
デザインテンプレートが豊富なツール ▶▶▶ Canva
まとめ
ChatGPT を優秀なプレゼン作成アシスタントとして活用すれば、スライドの骨子作成から詳細な内容の生成まで、これまで何時間もかかっていた作業を劇的に効率化できます。
これにより、私たち医師は準備の「作業」から解放され、発表内容の深い理解や、聴衆との有意義な質疑応答の準備といった、より本質的で創造的な業務に集中できるようになります。
先生方も、次回の発表準備からChatGPTを試してみてはいかがでしょうか。賢くAIを使いこなし、院内での情報共有をさらに活性化させましょう。
東日本橋内科クリニック 院長
白石 達也
2013年京都大学卒業。田附興風会医学研究所北野病院で研修後、社会福祉法人仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。2019年よりUbie社で生成AIチームに所属。循環器専門医、日本心血管インターベンション治療認定医
※ドクターズマガジン2025年12月号に掲載するためにご執筆いただいたものです。
白石 達也
関連カテゴリ
人気記事ランキング
-
それ、ChatGPTが代わりにやります! “03 スライド準備の時間を劇的に短縮! 院内勉強会のためのChatGPT 活用新常識
- Doctor’s Magazine
それ、ChatGPTが代わりにやります! “03 スライド準備の時間を劇的に短縮! 院内勉強会のためのChatGPT 活用新常識
白石 達也
-
書評『僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。』
- 研修医
- 医書マニア
書評『僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。』
三谷 雄己【踊る救急医】
-
未経験歓迎|頼れる存在であるために。在宅医療をともに支える医師募集
- ワークスタイル
- 就職・転職
- 専攻医・専門医
未経験歓迎|頼れる存在であるために。在宅医療をともに支える医師募集
金沢ねいろクリニック
-
夜間在宅で切り拓く〈第三の医師像〉 ⑧ 在宅医療の評価制度とは
- イベント取材・広報
夜間在宅で切り拓く〈第三の医師像〉 ⑧ 在宅医療の評価制度とは
株式会社on call
-
医師の声を活かす現場で育む、ジェネラルに診る力と専門性
- ワークスタイル
- 就職・転職
- 専攻医・専門医
医師の声を活かす現場で育む、ジェネラルに診る力と専門性
大阪みなと中央病院
-
臨床・教育・創薬――医師だから描けるキャリアの循環
- ワークスタイル
- 就職・転職
- 病院以外で働く
臨床・教育・創薬――医師だから描けるキャリアの循環
株式会社ヒューマンダイナミックス、
-
会員限定
瞬速レクチャー~救急編~「意識障害」
- 研修医
瞬速レクチャー~救急編~「意識障害」
-
書評『終末期ディスカッション 外来から急性期医療まで 現場でともに考える』
- 新刊
- 研修医
- 医書マニア
書評『終末期ディスカッション 外来から急性期医療まで 現場でともに考える』
三谷 雄己【踊る救急医】
-
先輩に聞いた! ④初期研修を充実させるためのアドバイス
- 研修医
先輩に聞いた! ④初期研修を充実させるためのアドバイス
-
著者が語る☆書籍紹介 『がっこうとコロナ』
- 新刊
- 研修医
- 医書マニア
著者が語る☆書籍紹介 『がっこうとコロナ』
松下隼司、オクダサトシ