記事・インタビュー

2022.08.18

臨床医師からメディカルドクターへ。製薬企業の魅力とは?

ヒューマンダイナミックス社では、約20年に亘り製薬会社やCROへ多くの先生方を紹介しています。今回はアステラス製薬株式会社から、メディカル・アフェアーズ本部長をお務めになる藤田修平さんと、ファーマコヴィジランス部でオンコロジー担当のチームリーダーとしてご活躍されている岩崎典之さんにご出席いただき、お2人の業務内容やアステラス製薬の勤務環境などについてお話を伺いました。

<お話を伺った方>

藤田 修平

藤田 修平(ふじた・しゅうへい)
所属先:アステラス製薬株式会社 メディカル・アフェアーズ本部長
東京医科歯科大学医学部にて医師免許取得後、大学病院及び関連病院などで臨床業務に従事。その後、国立がん研究センターにて基礎研究・新薬評価などの経験を経て、アステラス製薬へ入社する。臨床開発部門で医学専門家として開発業務を担当した後、メディカル・アフェアーズ本部へ異動。育薬戦略の企画立案部門を経て、現在はメディカル・アフェアーズ本部長として業務を行っている。

岩﨑 典之

岩﨑 典之(いわさき・のりゆき)
所属先:アステラス製薬株式会社 ファーマコヴィジランス部 製品評価グループ オンコロジー担当チームリーダー
東北大学医学部にて医師免許取得後、関連病院で外科研修医として勤務。その後、外資系製薬企業にて臨床開発及び市販後安全対策業務を経て、アステラス製薬へ入社する。入社後はファーマコヴィジランス部でアジア・オセアニア地域の販社管理業務等を経験し、現在は日本における抗がん剤製品の安全対策の立案を行うチームのリーダーとして、業務している。

Q:アステラス製薬に入社した動機を教えてください。
藤田 修平氏

 藤田 修平氏 :国立がん研究センターで勤務していたときに、製薬会社と共同で臨床開発候補化合物の前臨床評価に携わりました。研究医の立場ながら、医薬品が形になっていく過程を初めて経験し、とても刺激を受けたことが製薬会社に興味を持ったきっかけです。

製薬会社には外資系企業と内資系企業がありますが、私は国内の医薬品業界に貢献したいという思いがあり、内資系から探したなかで出会ったのがアステラス製薬です。国内企業でありながらグローバルに医薬品を開発・販売していて、かつ明るくオープンな雰囲気だったのが決め手となり志望しました。

 岩﨑 典之氏 :私が製薬業界に入ったのは、約15年前です。外科の研修医を終えて将来を見つめ直したタイミングで、このまま医師の道へ進むことに疑問を持ちました。医療現場を経験してみて自分には向いていないと思ったのです。これからどうしよう……と悩んでいたときに、人材紹介会社の担当者から製薬会社を推薦されて、外資系の小さな企業に就職しました。当初はあまり深く考えず製薬業界に飛び込んだのですが、勤務してみてメディカルドクターの楽しさが分かり、約10年働きました。次のキャリアステップとして今度は内資系の大きな企業を経験してみたいと考え、アステラス製薬に転職しました。

前職は外資系ということもあり、自分たちにイニシアティブはなく指示されたことを必死にやるという仕事のやり方でしたが、アステラスでは、グローバルなことも含めて我々が一からメイキングしなければいけません。仕事のアプローチが真逆なので苦労もしますが、とても良い経験を積ませてもらっています。

Q:メディカルドクターとして製薬会社で働くことの魅力とやりがいは何ですか?
岩﨑 典之氏

 藤田 修平氏 :“視野が広がる”というのが魅力でしょうか。臨床医は、ひとつの専門を極める職人的な側面がありますが、メディカルドクターは医療知識にとどまらず基礎から臨床、統計から各国規制など幅広い知識が必要です。ビジネス面においても医療界よりグローバルな関わりが多く、社会や世界に向ける視野が臨床医のときとは異なり、視野がとても広くなりました。

 岩﨑 典之氏 :“人々の健康に貢献できる”という観点において、ダイナミックに関われるのが醍醐味かなと考えています。臨床開発職やメディカル・アフェアーズ、安全性部門だけではなく、創薬や事業開発の段階から携われるのは、とてもやりがいを感じられます。

Q:日頃の業務内容を教えてください。
藤田 修平氏

 藤田 修平氏 :私はメディカル・アフェアーズ本部に所属し、主に育薬戦略を担当しています。マネージャーという立場で、メディカルドクターが作成した育薬プランについてアドバイスやディスカッションをしています。また、グローバルのメディカル・アフェアーズのリーダーたちとオンライン等で会議し、海外の育薬戦略としっかり協働体制を築けているか確認することも大事な業務です。

 岩﨑 典之氏 :私が所属するファーマコヴィジランス部では、当社医薬品の副作用情報の収集と評価を行なっています。私はその中の製品評価グループで、1ヶ月、3ヶ月、半年というような単位で集まった安全性情報をトータルに評価しています。その結果、医薬品のリスクを添付文書や医薬品リスク管理計画書に追加するかなどを判断する業務です。

Q:御社ではリモートワークや兼業は可能でしょうか?
岩﨑 典之氏

 藤田 修平氏 :当社はハイブリットワークで、オフィスワークとリモートワークをミックスしています。基本、家で行なえる事務作業はリモートワークです。メディカル・アフェアーズに関しては、大体、出社は週1、2回、多い人で3回くらいが現状で、自分で仕事のペースを調整して勤務しています。今のところこの働き方に大きな問題はなく、うまく機能しているようです。

兼業に関しては、本来の業務に支障がない限りにおいてはしていただいても構いません。メディカルドクターは臨床感覚を失いたくないと考える人が多く、週に1度くらい病院で診療している者も何名かいます。業務時間内に働きたいときは上長と相談の上、週0.5日ほど許可が出る場合もあります。当社はかなりフレキシブルな勤務体系が整っているといえると考えています。

 岩﨑 典之氏 :ファーマコヴィジランス部もほぼ同じです。会議もオンラインで行うのが当たり前になっていますし、リモートだから会議がスムーズにいかないというような言い訳は、もはやできない状況です。若い世代からは、リモートだとその場の雰囲気が伝わりづらい分、空気を気にせず自分の意見を話しやすいという声があり、ポジティブな気づきもありました。

兼業に関してもメディカル・アフェアーズと条件はほぼ変わりなく、今のところは所属するメディカルドクターの約半数が実施しています。

Q:メディカルドクターに必要な知識や経験はありますか?

 藤田 修平氏 :入社してくる医師が製薬業界の知識やビジネススキル必ず身につけているとは思っていませんので、新入社員の方に有用な人材に育っていただくためにオンボーディングプログラムを用意しています。そのため入社前にこれといった必要な知識や経験はありませんが、入社後に教えられたことをしっかり身につけられるかが大事になってきます。

 岩﨑 典之氏 :知識・経験など人のハード面については、英語力があれば尚良い、臨床医としての専門性があれば尚良いというのはもちろんありますが、それよりもソフト面の方が重要だと思っています。

製薬企業において、メディカルの専門知識だけではビジネス的に成り立たず、薬事的な観点やマーケティングインテリジェンスなどと一緒になって初めて役立ちます。そこで必要になってくるのが周囲との連携です。どのようにプランを立てたらチームを動かせるのか、どのように伝えたら協力してもらえるのかなど、トータルな意味でのコミュニケーション能力が重要になってきます。医師として働く方はそこが弱いかなと感じているので、ハード面よりソフト面を意識した方が良いのではないでしょうか。

もちろん、プロダクトを引っ張るようなスペシャリスト職になりたいのなら、臨床の専門性を高めた方が有利ですが、私のように臨床経験が浅くてもジェネラリストを目指すという道もあります。

Q:現在、製薬会社への転職を考えている臨床医にひと言お願いします。

 藤田 修平氏 :メディカルの知識を活かしてエキサイティングな仕事ができる業界です。医師以外のキャリアに興味があるのなら選択肢のひとつとしておすすめします。

当社における情報にはなりますが、とても働きやすい環境が整っています。社員のことを大切に考えてくれるひと言でいえば、“良い会社”です。

 岩﨑 典之氏 :製薬会社の仕事に強い大志はなくても、少しでも気になるならまずは業界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。入社してから、「この会社で自分のやりたいことは?」と考えても遅くはないと思います。私もそうでしたが、実際に働いてから見えてくることがとても多いです。不安もあると思いますが、一歩踏み出してみてください。

<プロフィール>

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堤 康行(つつみ・やすゆき)
株式会社ヒューマンダイナミックス
代表取締役社長

 

ノバルティス、イーライリリーおよびCROのパレクセルで、主に臨床開発とメディカルアフェアーズ部門に所属し、約30年間にわたり各部門の企業医師と業務を共にする。製薬企業およびCROでの業務内容のみならず、近年の製薬企業動向や雇用条件も含めたクローズ情報に精通。その確かな経験と豊富な情報をもとに、製薬業界への医師転職サポートを行う。

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