記事・インタビュー

2017.03.28

MD:メディカルドクターとして製薬会社で働く

MD:メディカルドクターとして製薬会社で働く

はじめまして。ヒューマンダイナミックス社の堤と申します。弊社は、約20年に亘り製薬会社へ多くの先生方を紹介している会社です。
多くの医師が臨床の道に進む中、創薬・育薬の世界で活躍している医師がいることをご存知でしょうか?
そこで本日は、医療機関や大学で臨床や研究をされている先生方が知っているようで知らない、製薬会社での医師の業務内容についてご紹介したいと思います。

製薬会社で医師が行う業務

みなさんは製薬会社での業務内容について、どのようなイメージをお持ちですか?
『語学力がかなり高くないと働けない』
『相当な臨床経験を積んでいないとついていけない』
『身近にMDがいないので、実際にどういう仕事をしているのかベールに包まれている』
など、色々な声をお聞きすることがあります。
現在、日本の製薬関連会社で働く医師(メディカルドクターとも呼ばれます)の数は、約300名と言われています。しかし、欧米では、ドイツの1300名や米国の1100名のように、日本とは一桁違う数のメディカルドクターが勤務しています。
また、近年、日本の製薬業界は急速にグローバル化しており、他国と対等のビジネスを行うために、日本における製薬企業でもメディカルドクターの採用を増やしています。

製薬会社勤務の医師が所属する3つの部門

それでは、製薬会社で勤務する医師は、どのような業務をしているのでしょうか。多くの方は、新しい薬を創ること想像をされるかもしれませんが、製薬会社で勤務する医師は、主に次の3つの部門に所属しています。

  1. 1.臨床開発部
  2. 2.安全性情報部
  3. 3.メディカルアフェアーズ部

それでは、各部門での業務内容について、詳しくご案内します。

① 臨床開発部
製薬会社の臨床開発部で勤務する医師の業務は、新薬の製造承認申請に必要なデータを得るために実施される臨床試験(治験)に参画し、医学的な観点からコメントや指導を行うことになります。
具体的には、主に以下の業務を担当します。

  1. 1.対象となる疾患領域の専門医師(KOL)の意見を治験に反映させるため、KOLと情報交換するとともに、国内外の学会へ参加し情報を収集する。
  2. 2.臨床開発計画や、治験に必要な資料(プロトコール、同意説明文書など)に対して、医学的な観点からコメントする。
  3. 3.治験の実施中に発生した副作用などへの対応を指示する。
  4. 4.治験結果の論文や製造承認申請資料の作成に参画し、医学的な観点からコメントする。
  5. 5.海外の本社・支社に所属する医師とともにグローバルメンバーとして会議などへ参画し、日本の医療状況や規制などについてグローバルと協議する。

② 安全性情報部

製薬会社の安全性情報部で勤務する医師は、下記の業務を実施または医学的な観点からコメントや指導を行います。

■安全性モニタリング

  1. 1.治験薬および市販薬の使用に伴い発生した有害事象、文献や学会などで発表された有害事象について、因果関係と重症度を評価する。
  2. 2.薬事法に従い、規制当局へ報告される安全性情報の作成や添付文書の改訂作業に参画し、医学的な観点からコメントを行う。
  3. 3.必要に応じ、会社の医学専門家として有害事象を報告した医師と協議する。
  4. 4.有害事象の収集と最新情報を入手のため、関連学会へ参加する。

■リスク マネジメント

  1. 1.治験の実施中やその後に報告された副作用情報から、販売後に発生する可能性のある副作用の頻度・重篤度を予測し、販売後の安全性監視計画を薬疫学的観点から立案する。すなわち、予測される副作用の頻度と重症度を最小化するためのリスクマネージメントプラン(RMP)を立案する。また、これらのRMPを社内関係部署担当者へ教育する。
  2. 2.RMPに関して、KOLと意見交換し情報を入手する。

■製造販売後調査(Post Marketing Surveillance:PMS)

  1. 1.新薬の販売とともに実施が義務付けられるPMSに対して、実施計画書の計画・作成に参画する。
  2. 2.PMSで収集された安全性情報の評価に、医学的な観点からアドバイスを行う。

③ メディカルアフェアーズ部
製薬会社のメディカルアフェアーズ部で勤務する医師は、担当治療領域製品の価値を医学・科学的観点から最大化するため、マーケティング部門などと協力し、最新の医学・薬学情報を医療機関に提供する業務に当たります。
具体的には、以下の業務を担当します。

  1. 1.KOLなどと専門領域の治療に関するアンメットニーズなどについて情報交換する。
  2. 2.販売している製品の売上高を適正かつ最大化するため、適応症や剤型の追加などに関する情報を収集する。
  3. 3.新薬の発売および販売中製品のマーケティング戦略へ医学的観点からアドバイスする。
  4. 4.「臨床研究に関する倫理指針」を遵守し、大学や基幹病院の臨床医師が実施する医師主導型臨床研究をサポートする。
  5. 5.担当治療領域における最新の医学情報を得るため、国内外の学会へ参加し情報を収集する。
  6. 6.マーケティング部などの関係部署担当者への教育を行う。

まとめ

今回は、メディカルドクターとして医師が製薬会社で働く業務内容についてお届けしましたがいかがでしたでしょうか。まだまだ日本では、医師が製薬会社で働くことへの認知度が低いのが現状ですが、こんなにやりがいのある仕事なのです。
このコラムを読んではじめて製薬会社で働くことに興味を持たれた先生も、また、今までメディカルドクターの仕事に興味はあったが一歩を踏み出せなかった先生も、一度、具体的な求人内容を見たり、実際に弊社の担当者に相談してみてはいかがでしょうか?
普段お話されているMR担当者とは違う切り口で、育薬に関する情報に触れるだけでも、キャリアの幅を広げる一歩となります。

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最終更新(2017/03/28)

<プロフィール>

堤 康行(つつみ・やすゆき)
株式会社ヒューマンダイナミックス
代表取締役社長

ノバルティス、イーライリリーおよびCROのパレクセルで、主に臨床開発とメディカルアフェアーズ部門に所属し、約30年間にわたり各部門の企業医師と業務を共にする。製薬企業およびCROでの業務内容のみならず、近年の製薬企業動向や雇用条件も含めたクローズ情報に精通。その確かな経験と豊富な情報をもとに、製薬業界への医師転職サポートを行う。

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