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2022.04.13

One Giant Leap~宇宙医学と研究留学 in ダラス~(8)

宇宙医学と研究留学inダラス(5)
テキサス州ダラスにあるテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのInstitute for Exercise and Environmental Medicine (IEEM)という研究施設に留学している倉住です。こちらでの生活や留学体験を少しずつ情報発信していきます。

現地のお役立情報 その壱 ~現地校(小学校)の入学手続き~

以前に比べ、ダラスに留学している医師はだいぶ減っているようです。そのため子供の小学校に関する情報収集が難しく、今回は僕が試行錯誤で得た“秘訣”を公開します。
入学前の第一関門である「予防接種」についてのエピソードです。

子供の予防接種(免疫証明)について

ご存知の方も多いかと思いますが、日本同様アメリカにも子供が受ける義務(日本だと努力義務)のある予防接種が決まっています。州ごとに法律で決まっているのですが、おそらく多くの州で日本より必要な予防接種の種類が多いのではないでしょうか。テキサス州の決まりはこんな感じです(写真参照)。また、小児クリニックの診察を受けて、予防接種の記録を州の管理するシステムに登録をしてもらわないと登校できません。

宇宙医学と研究留学inダラステキサス州のImmunization Requirements(必要な予防接種)
2022-2023 Texas Minimum State Vaccine Requirements for Students Grades K–12より

接種完了までの道のり

宇宙医学と研究留学inダラス保健局(DCHHS: Dallas County Health and Human Services)のビル

僕はまず、私の保険がカバーしている小児クリニックのWebサイトから受診予約を入れました。
すると、翌日電話がかかってきて、

電話口:「当院は初めてですか?」
自分:「初めてです。子供の予防接種をお願いしたくて」
電話口:「予防接種が済んでいないお子さんすか?」
自分:「私たちは日本から来たのですが、学校に通うために州の義務ワクチンの追加接種をお願いしたいです」
電話口:「残念ながら、当院の規定で予防接種が完了していないお子さんは診察できないわ」
自分:「えー、そうですか。じゃあどうすれば…」
電話口:「規定だから当院では診れないわ。他当たってみて」
自分:「んー(悩)、わかりました(渋々)」
出鼻をくじかれました。でもまあアメリカではよくあることです(だいぶ免疫ができてきて初めからうまくいくとは思っていません)。

気を取り直して次のクリニックを探していると、少し遠いのですが車で1時間くらいのところに日系のクリニックがあるのを発見しました。
予防接種希望の旨を伝え、出だしは順調。
しかし、、、
自分:「ちなみに保険を確認したいのですが?」
電話口:「残念ながら、あなたの保険は当院ではカバーしていませんね。ワクチンと手技料、そして診察料が自費になります」
自分:「(おっと、、、)ち、ちなみに自費だといくらくらいになりますか?」
電話口:「初診料(診察料)が約$200、ワクチンは1種類ごとに約$400、手技料は1回接種ごとに$100、あとシステム登録と健康診断で約$250くかかります。予約どうしますか?」
自分:「あ、ありがとうございます(汗)。一旦、ちょっと近くの病院探してみます…(ガチャ)」
おそらく接種しないといけないワクチンが2~3種類あり、流石に一旦保留としました。ワクチンさえ手元にあれば自分で打つんだけどな、、、みたいなことも考えながら(苦笑)。

ただし、接種を完了しないことには学校に通えないので、悠長にしている暇もありません。そんな中Web上に“Immunization Clinic”なるものを発見!しかもこれはダラス市の保健局(DCHHS: Dallas County Health and Human Services)が管理しているクリニックのようで、よくよく見ると子供の予防接種の項目があります!!
早速電話してみると、

電話口:「OK、予約はいつがいい? 来週なら比較的空いてるわ」
自分:「じゃあ来週の火曜日でお願いします」
電話口:「Got it! Bye」

という感じであっさり予約が完了!
が、しかしこのままスムーズにいかないのが“アメリカ”です。
受診当日

受付:「あなたは保険持っているから、お子さんは小児クリニックで打つことになってるわ!」
自分:「え?(Oh My God! これでは振り出しに戻ってしまう、、、汗)」
自分:「ク、クリニックに電話したら予防接種が完了していない子は診れないと言われたんです(汗)」
受付:「hmmm…、しょうがないわね。わかった。ここで打ってあげるわ」
自分:「Oh! ありがとうございます(感謝感謝)」

ということで、どうにか無事に接種してもらえることになりました。
予防接種をする際は、あらかじめ母子手帳を参考に英語の接種記録リストを作成し持参することをおすすめします。クリニックのDr.が足りないものをCheckして接種してくれます。ちなみに足りないものは3種類でしたが、保健局での予防接種は1本当たり約$10という良心的な価格でした(笑)。さらに接種後に、これまでの日本での接種歴も含めて州の登録システムへの入力まで完了してもらえました!!

ということで、冒頭から紆余曲折を経ましたが、
簡潔に言うと「予防接種は保健局がおすすめ!」ということです。
これにて第一関門突破です。

宇宙医学と研究留学inダラス3発連続接種を終えさすがに疲れ果てた様子(笑)

P.S. 意外とこういう痒い所に手が届く情報が手に入りにくいため、今回紹介させて頂きました。ただし、アメリカの場合州によってルールがだいぶ異なります。テキサス州もしくはダラスでしか当てはまらないかもしれませんが、ご参考までにどうぞ。ちなみに注射は3発一気に打たれます。パパパンと(笑)。

まとめ

こちらでは相手によって言うことがバラバラで、たらい回しにあったり、振り出しに戻されたりすることが多々あります(アメリカあるある)。粘り強く交渉することが当たり前になってきて、日本にいる頃よりだいぶ図々しくなっていきます。今回はダラスの予防接種事情をレポートしました。今後ダラスに留学に来られる方やそのご家族の方は参考にしてください(ローカル過ぎてすみません)。

<プロフィール>

倉住 拓弥(くらずみ たくや)
施設名:テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター, Institute for Exercise and Environmental Medicine
役職:Assistant Instructor
2008年群馬大学卒業。慶應義塾大学麻酔学教室に入局後、宇宙医学を学ぶため日本大学医学部社会医学系衛生学分野(宇宙航空環境医学)の門を叩く。タイトルは、ニール・アームストロング船長の“One small step for man, one giant leap for mankind.”からの引用しました。

倉住 拓弥

One Giant Leap~宇宙医学と研究留学 in ダラス~(8)

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