記事・インタビュー
医師免許が必要な職業は、医療機関以外にも外務省医務官、厚生労働省の医系技官、製薬会社で働くメディカルドクターなどさまざま存在します。今回は「海外医療と渡航安全の統合ソリューション」を提供し、その領域のリーディングカンパニーであるInternational SOS Japan(以下Intl.SOS)でメディカルダイレクターとして勤務されている医師の葵 佳宏先生にお話を伺いました。Intl.SOSの業務内容や、葵先生がIntl.SOSで勤務されることになった経緯、そして医師採用に際しての求める人材像などを3回にわたりお伝えします。
International SOSについて
企業のグローバル化が進むなか、海外出張者や駐在員、またその家族は増加の一途をたどっています。同時に、人財の健康と安全を守ることは、企業が現地で活動をする上でもますます重要になってきています。
私たちIntl.SOSでは、海外でビジネス展開する企業の安全・健康をサポートし、ビジネスの継続性を支えるため、全世界で約11,000人のフルタイム従業員が活躍しています。従業員のうち約5,200人が医療従事者であり、そのうち約1,400人が医師です。90ヶ国に約1,000の拠点があり、24時間体制で世界各拠点の医師が連携し、お客様のニーズを捉えたサービスとお客様の生活の充実に貢献することを目指し、業務を行っています。また、私たちが提供するサービスは、米国ビジネス誌『FORTUNE』が毎年発表している国際企業番付「Fortune100」の87%にあたる企業で導入されている実績があります。
医療アドバイザーとしての業務
Intl.SOSのアシスタンスセンターは全世界26ヶ所に展開。会員(海外出張者・駐在員)に対し24時間365日、99ヶ国語で電話相談や医療アシスタンス、安全対策を提供し、リスクの予防と軽減をサポートしています。
コーディネーティングドクターが行っている主なサポート業務
- 渡航前アドバイス
- 医療相談、救急車、病院紹介および手配
- 医療情報の入手
- 医療情報の説明と方針の相談
- トラベル・レコメンデーション
- 帰国時の受け入れ先調整
医療ニーズに応じて、医療アドバイスから医療搬送まで幅広く対応しています。特に病状が複雑な相談の場合は医学以外の多くのロジに関する知識を総動員する必要があるため、他のアシスタンスセンターと連携をしながら、最終的な判断を下します。患者と直に接するコーディネーティングドクターから部長職であるメディカルダイレクターへ指示を仰ぎ、それでも判断が難しい場合は、さらに上級職のリージョナルメディカルダイレクターへ相談、指示を仰ぐ屋根瓦式体制をとっています。
International SOSに勤務するきっかけ
私は2002年に琉球大学医学部を卒業後、武蔵野赤十字病院で初期研修を行いました。その後は横浜市立大学の麻酔科学教室で2011年まで大学附属病院および、その関連病院で経験を積みました。その後、「フライトドクターになりたい」という夢を叶えるため、2011年から沖縄に戻ることを決意しました。3年間、浦添総合病院で救急と総合診療に携わりながら、離島診療所や消防との連携、ドクターヘリの効率的運用の仕組みを作り上げることにも従事しました。
医学生の時は「医師が働く選択肢は病院しかない」と思っていましたが、学生見学でたまたま出会ったドクターヘリを見て「医師が救急現場に出向く働き方もあるのか」と衝撃を受け、プレホスピタルの重要性を知るきっかけとなったことを今でも鮮明に覚えています。あのときの経験がなければ、私の医師人生は今とは大きく違ったものだったと思います。
Intl.SOSを知ったきっかけは、インターネット検索です。医学生時代から「国際保健」に興味があり、アジア医学生連絡協議会に参加していました。いずれは海外で働きたいと考えていたことに加え、「航空医療」に携わりたいという思いも重なり「aeromedicine, doctor, recruit」と検索したところ、Intl.SOSが出てきました。それが出会いです。
業務内容などIntl.SOSのホームページを一通り見た瞬間「ここだ!」と思い、すぐにアプライしました。面接では「一番飛べる機会がある場所はどこか?」と面接官に質問しました。Intl.SOSはシンガポールに本社があり東南アジアの医療ハブとなっていることから、シンガポールに希望を出しました。しかし当時ポストに空きはなく、中国やベトナム、日本でのポストを薦められました。それでも空きが出るのを待っていたところ、1年後、シンガポールで欠員が出たと連絡があり、Intl.SOSでのキャリアをスタートさせました。
<プロフィール>
医師としてグローバルな環境で働く International SOS Japan
葵 佳宏
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