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2024.11.27

書評『当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫《研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌》』

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

転倒した高齢者の股関節骨折への初期対応は…?

小児の前腕骨折に対して、ギプス固定とシーネ固定のどちらが良いのだろうか…?

脱臼した関節をどうやって元に戻すべきだろう…?

これらは、私自身も整形外科の専攻医を始める前に、救急医として整形外科について改めて学んだ際に出てきた悩みや疑問点です。

本書を通じて、たとえば「外傷に対応する際に必要な検査や骨折診断後のマネジメント」、「一晩待てないコンサルトが必要な骨折」などについての疑問を解消することができます。

本書を読むことで、今後外傷に伴う骨折の初期対応のチャンスが訪れた時に自信を持って取り組むことができます!

今回、救急外来での骨折を伴う症例に自信を持てるようになりたいと思った時に読むべき一冊として自分が自信を持っておすすめするのがこちらです。

当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫《研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌》
渡部 欣忍 (著)/ 日本医事新報社 発行
価格:5,280円(税込)
発刊:2017/5/24
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書評『当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫《研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌》』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴と本書で学べること
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
整形外科をローテーションする初期研修医
救急外来診療を担当する医師
整形外科を志望する研修医

【推定読了時間】
6-8時間程度

2.本書の特徴と本書で学べること

本書は、渡部 欣忍 先生が執筆された、

【本書の特徴】
●初心者でも理解しやすい会話形式のストーリー展開
●豊富なカラー写真と図解で視覚的に学びやすい
●ギプス固定やシーネ固定の具体的な手技を詳細に解説

が特徴の一冊です。

本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります

【本書で学べること】
●骨折や脱臼の初期対応の具体的な方法
●臨床現場における疑問と解決策(コンサルトが必要な症例とそのタイミングなど)
●外傷診療における見落としやすいポイントの確認

これらは外傷に伴う骨折の対応をする可能性がある初期研修の先生方にとっては、学んでおくべき大切な事項であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんと言っても、骨折への初期対応を、具体的な症例を通して網羅的に学べる点です。

当直中など、救急外来で必ず遭遇するのが転倒や転落、小児の怪我といった外傷ですよね。

そして、外傷に伴うことが多いのが骨折であり、重症の場合には脱臼を伴うこともあります。

本書では、実際に救急外来でよく経験するありがちな症例について、カラー写真をベースに臨床の身体所見を図でわかりやすく学ぶことができます。

また、初期対応に慣れていない研修医の先生方は、

  • ギプス固定やシーネ固定のやり方は…?
  • 一晩待ってコンサルトするべきか…

といったことについて、さなざまな疑問を持たれると思います。

その点、本書ではレントゲンやCTの画像読影から固定の方法まで、研修医と指導医の会話形式によるストーリー仕立てで解説しており、一通りの流れを通して、リアルな疑問について非常に勉強しやすい内容であると感じました。

一方、少し気になった点としては、登場人物の関西弁やジョークのクセがやや強い場合がありました。

そういったところに、読みにくさを感じる先生方もいるかもしれません。

しかし、整形外科の1、2年目の専攻医や初期研修医にとっては非常に役立つ内容であり、整形外科以外の専門医にとっても十分な内容が網羅されています。

骨折診療に自信を持ちたい方は、この書籍を一冊読むだけでも、十分に自信を持つことができると感じました。

これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は、救急外来での骨折を伴う症例に自信を持てるようになりたいと思った時に読むべき一冊である!
と感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●興味のある症例から、症例におけるポイントを学ぶ!
●その後は臨床現場で経験した症例の前後で読み直して復習!

個人的におすすめの使い方をご紹介します。

著者個人の意見としては、まずは通読することがおすすめです。

対話形式の内容となっているので、時間が許せば、気軽にざっと通読することができると感じました。

また、本書では実際の症例をもとに、イメージや具体的な対応方法や手順、ポイントが解説されています。

これらを読み込むことで、ロールプレイを行うことができ、次に似たような症例に出合った際も自信を持って対応することができるのではないでしょうか。

その後は、臨床現場で改めて読み返すことで復習となり、自分自身の骨折診療の質を向上させることができると思います。

実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。

5.まとめ

本書は、外傷診療における骨折や脱臼の初期対応に自信を持って臨むために必須の一冊である!

まとめると、本書は外傷診療における骨折や脱臼の初期対応についてわかりやすく実践的に学ぶことができるので、医師にとって本当におすすめの一冊です。

この医学書を通じて学ぶことで、今後、外傷を伴う骨折の初期対応に自信を持って取り組むことができます!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫《研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌》
渡部 欣忍 (著)
出版社:日本医事新報社
発行年月日:2017/5/24
ターゲット層

●整形外科をローテーションする初期研修医
●救急外来診療を担当する医師
●整形外科を志望する研修医

推定読了時間

6-8時間程度

本書の特徴

●初心者でも理解しやすい会話形式のストーリー展開
●豊富なカラー写真と図解で視覚的に学びやすい
●ギプス固定やシーネ固定の具体的な手技を詳細に解説

本書で学べること

●骨折や脱臼の初期対応の具体的な方法
●臨床現場における疑問と解決策(コンサルトが必要な症例とそのタイミングなど)
●外傷診療における見落としやすいポイントの確認

評価
購入先

本書の読み方・活用方法

●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●興味のある症例から、症例におけるポイントを学ぶ!
●その後は臨床現場で経験した症例の前後で読み直して復習!

本書のまとめ 本書は、外傷診療における骨折や脱臼の初期対応に自信を持って臨むために必須の一冊である!

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この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は今後も定期的に記事を更新していきますので応援の程よろしくお願いいたします!

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★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
X https://x.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫《研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌》』

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