記事・インタビュー

2024.08.29

書評『治療効果を高めよう!集中治療における管理栄養士(栄養)×薬剤師(薬剤)のコラボ40症例』

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方が初学者に向けた医学書解説・比較の医学書レビューと、日々医師のために医学書を作る出版社の担当者がおすすめの良書をこちらで集めて発信していきます。

購入先のリンク(Amazon)も掲載していますので、お気に入りの書籍があればご購入ください。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

低リン血症をリン酸ナトリウムで補正したいけど、高ナトリウム血症もあってナトリウムを付加しにくい…どうすればいいだろう?

重症患者は亜鉛が欠乏しがちだから、とりあえず亜鉛の入った栄養剤を投与しておけばOK…?

低栄養やアルコール利用障害のある患者さんの電解質補正って本当に難しい…。

これらは日々ICUや集中治療室で後輩や同僚と仕事をする中で感じる悩みや疑問点であり、私自身も悩んだ時は、薬剤師さんや管理栄養士さんにとりあえず相談しながら対応をしておりました。

相談しやすい頼りになるスタッフの方々にお世話になることも多いのですが、栄養管理に関する自分なりのマインドや知識も身に付けたい…そんな時に、ピッタリの一冊を見つけました。

本書を読むことで、今後の栄養管理に対する考え方が大きくブラシュアップされ、明日からの栄養管理が楽しみになります!

今回、集中治療における栄養管理において、明日から使える実践知識を学べる必読の一冊として自信をもっておすすめするのがこちらです。

治療効果を高めよう!集中治療における管理栄養士(栄養)×薬剤師(薬剤)のコラボ40症例
三好博実 (監修), 長尾晶子 (編集, 著), 吉川博 (編集, 著)/ 三輪書店 発行
価格:3,080円(税込)
発刊:2024/6/17
Amazon

書評『治療効果を高めよう!集中治療における管理栄養士(栄養)×薬剤師(薬剤)のコラボ40症例』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴と本書で学べること
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
栄養管理に積極的に関わっていきたい初期研修医、若手医師
薬剤師が読んでも、管理栄養士が読んでもためになる1冊

【推定読了時間】
3~4時間程度

2.本書の特徴と本書で学べること

三好博実先生長尾晶子先生、吉川博先生が執筆された本書の特徴と本書から学べることは以下の通りです。

【本書の特徴】
●実際の症例を提示し、具体的な課題に対する解決策を提供
●栄養補助食品や栄養製剤の選び方を詳細に解説
●管理栄養士と薬剤師の視点からの専門的なアドバイスが豊富

が特徴の一冊です。

本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります。

【本書で学べること】
●栄養管理における電解質補正の具体的な方法
●管理栄養士の視点と、薬剤師の視点からの専門性の高いアドバイス
●ガイドライン通りの対応のみではきっちりと解決されないような悩ましい症例への対処方法

これらは研修医の先生方にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんといっても、実際の臨床現場で直面する具体的な問題に即した内容を紹介している点です。

自分自身が後期研修医の時のICU管理で悩んだ、本当にあるあるのテーマばかりが掲載されており、明日からすぐに活用できるものばかりでした。

40症例のエピソードを通して、低リン血症や亜鉛欠乏症、低栄養など、ICUや集中治療室でよく見られる問題に対する解決策が具体的に紹介されています。

特に、「電解質異常に対して点滴加療ではなく、栄養補助食品などを利用した管理をする」というのは、いつも忘れてしまいやすいので、すぐに実践してみたくなるものばかりでした。

そのほか、実際の症例に即しており何を行うと良いのかがすぐにわかる点も特徴的です。

例えば、“胃管への逆流が多い症例”など、必ずしもガイドライン通りの対応のみではきっちりと解決されないような悩ましい症例がありますよね。

本書では、このように対応するのが良いのではないかという臨床に即した提言も多く、栄養管理に悩んだ時にとても参考になるアクションが学べました。

そして、何といっても、すぐに読み切ることができるため明日からその知識やアドバイスを臨床で役立たせることができます。

サイズ感もかなりコンパクトで、数時間でサクッと読めて活用しやすい知識が盛りだくさんなのはタイムパフォーマンス的にも最高でした。

そして、図表が豊富に登場し、わかりやすいまとめポイントによるサマライズも豊富なため、視覚的にも理解しやすく、スイスイと読み進められます。

本書は、集中治療における他職種で介入する栄養管理において、明日から使える実践知識を学べる必読の一冊である!と感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握
●時間がない人は興味のある分野を読んでみる
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

個人的におすすめの読み進め方としては、ページ数のボリュームから通読にも大きな負担にはならないので、まずは数時間かけて通読することをおすすめします。

「栄養管理においてどのように他職種で関わっていくのか」という全体的な雰囲気をつかむことができます。

時間がない方は、ぜひ電解質異常の箇所のみでも読んでみてください。ここは日々の臨床のアクションも変わりうる勘所が盛りだくさんです。

明日から生かしてみたい電解質補正の方法が盛りだくさんです。

その後は実際の症例を通じて、インプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。つい先日も、「このパターン、本で見たことがあるやつ!」とデジャヴ体験をしました。それだけ、実臨床で経験しやすいテーマを扱ってくださっているのだと思います。

5.まとめ

本書は、集中治療における栄養管理において、明日から使える実践知識を学べる必読の一冊である!

まとめると、本書は集中治療における栄養管理について、わかりやすく学ぶことができる本当におすすめの一冊です。

この一冊を通じて学ぶことで、今後の栄養管理に関して悩むストレスは激減します!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方にはぜひ、手にとっていただきたい一冊です◎

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際にはぜひ、参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 治療効果を高めよう!集中治療における管理栄養士(栄養)×薬剤師(薬剤)のコラボ40症例
著者:三好博実、長尾晶子、吉川博
出版社:三輪書店
発行年月日:2024年6月10日
ターゲット層

●栄養管理に積極的に関わっていきたい初期研修医、若手医師
●薬剤師が読んでも、管理栄養士が読んでもためになる1冊

推定読了時間

3~4時間程度

本書の特徴

●実際の症例を提示し、具体的な課題に対する解決策を提供
●栄養補助食品や栄養製剤の選び方を詳細に解説
●管理栄養士と薬剤師の視点からの専門的なアドバイスが豊富

本書で学べること

●栄養管理における電解質補正の具体的な方法
●管理栄養士の視点と、薬剤師の視点からの専門性の高いアドバイス
●ガイドライン通りの対応のみできっちりとは解決されないような悩ましい症例への対処方法

評価
購入先

本書の読み方・活用方法

●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握
●時間がない人は興味のある分野を読んでみる
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

本書のまとめ 本書は、集中治療における栄養管理において、明日から使える実践知識を学べる必読の一冊である!

▲TOPへ戻る

この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は今後も定期的に記事を更新していきますので応援の程よろしくお願いいたします!

みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります。

★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
Twitter https://twitter.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『治療効果を高めよう!集中治療における管理栄養士(栄養)×薬剤師(薬剤)のコラボ40症例』

一覧へ戻る