記事・インタビュー

2023.01.10

ドラッグラグ・ロスを解消し、 医療の発展の一翼を担う!

左から、株式会社ヒューマンダイナミックス 堤 康行さん、アキュリスファーマ株式会社 西馬 信一医師

医師といえども、臨床医、研究医、産業医などそのキャリア形成はさまざま。今回お話を伺ったのは、臨床医から製薬企業のメディカルドクター(以下MD)に転身し、第一線でご活躍されているアキュリスファーマ株式会社執行役員メディカル本部長の西馬信一先生。臨床医からMDにキャリアチェンジした経緯や仕事のやりがい、大手製薬企業と製薬ベンチャーの違い、そして副理事長を務める日本製薬医学会について語っていただきました。

<今回お話を伺った方>

西馬 信一

西馬 信一(にしうま・しんいち)
所属先:アキュリスファーマ株式会社 執行役員 メディカル本部長(医師)
1997年神戸大学医学部卒業後、神戸市立医療センター中央市民病院で内科研修医、消化器内科の臨床医として診療に従事。C型肝炎治療薬のドラッグ・ラグに課題を感じ、MDとしてアメリカの製薬企業であるシェリング・プラウ社(現在はMSD株式会社に統合)で臨床開発に携わる。その後、日本イーライリリー社で臨床開発、安全性管理などを担当。2018年からは、セルジーン社(現在はBMS株式会社に統合)にて医学本部長を務める。2022年にアキュリスファーマ株式会社のメディカル本部長となり現在に至る。

【専門・認定】
日本製薬医学会 副理事長、同メディカルアフェアーズ部会長、同製薬医学会認定医・国際製薬医学医師連合会(IFAPP)GFPM(Global Fellow of Pharmaceutical Medicine)・日本内科学会 総合内科専門医

Q:まずは、西馬先生が臨床医師からMDに転身した経緯を教えてください。

 西馬 先生 

大学を卒業後、神戸市立医療センター中央市民病院で、消化器内科の臨床医として肝炎の患者さんを多く診察していました。当時のC型肝炎の治療は、インターフェロンを使うのが標準的でしたが、日本人に多いGenotype 1のC型肝炎でインターフェロン治療を完了して持続的にウイルスが消えるのは5%以下。ところが、2000年頃にインターフェロンに加え経口剤のリバビリンを投与すると、50%程度ウイルスが消滅するという研究が発表されました。これは非常に衝撃的で画期的にC型肝炎の治療が良くなると思ったのですが、開発をしていたシェリング・プラウ社に問い合わせると日本は治験中でいつ承認が降りるか分からない状態とのこと……。良い治療薬があるのに、日本では使用できないもどかしさを感じました。そして、ドラッグ・ラグ解消のために医師としてできることはないかと考え始めました。ほぼ同時期に、アメリカでは医師が製薬企業で活躍していて、薬の開発をリードしていることをアメリカ消化器病学会のニュースレターで知り、そのニュースレターの著者である元アメリカ消化器病学会長であり製薬企業で研究開発をリードされていた山田忠孝先生が若い医師にも様々な機会があることを書かれていました。そこで日本における薬事承認のドラッグ・ラグ問題について、医師として何かできるのではないかと考え、製薬企業への転職を決意しました。

Q:現在勤務しているアキュリスファーマに至るまで、各製薬企業ではどのような仕事をしていたのでしょうか。

 西馬 先生 

まずシェリング・プラウ社で臨床開発の業務に就き、その後は日本イーライリリー社に移りました。ここでは、臨床開発、メディカルアフェアーズ、安全性管理の仕事に携わり、安全管理責任者もさせて頂きました。ヘッドになってからはマネジメントがメインとなり、多いときには90名ほどのグループを管理しチームを動かしていました。 長らく安全性部門の仕事をしていたのですが、製薬企業への転職の動機となったアンメットニーズを埋める仕事をしたい思いが強くなり、セルジーン社のメディカル部門へ。そして現在のアキュリスファーマに移りました。

Q:アキュリスファーマ株式会社はどのような特徴のある企業でしょうか。

 西馬 先生 

アキュリスファーマ株式会社は、2021年1月創業の製薬ベンチャー企業です。大きな特徴としては、神経・精神疾患領域に特化し、画期的な治療薬の開発と商業化を推進しています。最近は海外の製薬ベンチャーが開発している医薬品が日本で開発されていない、いわゆるドラッグロスが拡大しつつあります。このようなアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対し、海外で承認済みの医薬品を導入し、主に日本とアジアで開発しています。大手の製薬企業では収益性などから着手しづらい医療ニーズに応えていくべく努力をしています。これからはビヨンド・ザ・ピル(超薬)、すなわち医薬品を超えて、新しいテクノロジーを駆使しながら疾患を取り巻くエコシステムに貢献していくことを会社のミッションとしています。

Q:製薬企業でMDとして働くにあたり、やりがいはどのようなところに感じますか。

 西馬 先生 

臨床医時代は、患者さんを治療し改善していく様子を直接見られることにとてもやりがいを感じていました。と同時に、治らない病気というのも多く目にして、医師として無力感を覚えることもありましたね。製薬企業のMDという仕事は、そういったいまだに治療法が見つかっていない疾患を改善する治療薬を開発できます。自分が携わった医薬品が承認を得たときには、非常に達成感があり、医療の変革を実感できます。私が製薬企業に来るきっかけとなったC型肝炎の治療はこの20年で大変革がおこり、正直、生きている間にこのような変化がみられるとは思っていませんでした。(笑)患者さんの抱えるアンメットニーズ解消につながる仕事に関われることがとてもうれしいです。

Q:MDとして働く上で、大手製薬企業とベンチャーの違いはありますか。

 西馬 先生 

どの企業においてもそうかも知れませんが、大手だと各部門のシステムがしっかり機能しています。自分が担当する仕事の範囲が定まっていて、それを進めていくイメージ。会社全体の動きを把握することは難しく、自分が所属するチームの中でどれだけ貢献できるかが重要です。アキュリスファーマは従業員が21名(12月1日付)と少数精鋭の製薬ベンチャー企業です。ここからここまでが自分の仕事と分けるのではなく、私の場合はメディカル以外の事業開発や開発の案件なども含めて広くカバーしています。メンバー一人一人が会社全体を見渡しながら仕事をしていくことになります。そういった点では、得意な分野だけをやっていきたいと考えている人には、ベンチャーは向いていないかも知れません。製薬企業のオペレーションを広く経験したい人や起業を考えている人にはぴったりだと思います。

Q:西馬先生が副理事長を務められている日本製薬医学会について教えてください。

 西馬 先生 

まず日本製薬医学会は特定の人材紹介会社等に便宜供与を図ることを意図していないので、その辺りは十分ご理解頂きたいのですが、日本製薬医学会は、製薬医学の確立と医薬品・医療機器の開発、普及を通して、医学・医療の進歩発展に寄与することを目的としています。製薬医学はイギリスを発祥とした製薬に関する医学領域のひとつの学問です。開発、メディカルアフェアーズ、安全性などの部会を作り様々な活動をしていますが、教育部会では、製薬医学の専門性を高めるために、日本製薬医学会と大阪大学薬学研究科が共同で、ヨーロッパの教育基準であるPharma Trainに準拠する形の教育プログラムを作っています。 多くの日本製薬医学会のメンバーが講師として参画し、臨床医学をベースとして創薬から、臨床開発、市販後活動まで網羅した内容を学ぶことができます。一定の基準に達すると、製薬医学認定医の試験を受けられ、合格すると製薬医学認定医になれます。また、日本製薬医学会は国際製薬医学医師連合会と密接に活動しており、所属している組織の垣根を越えて世界中の製薬医学を志す医師等とつながり、様々な意見を交わすことも可能です。医師としてキャリアを広げるにあたり、日本製薬医学会とつながることは大きなメリットとなりますので、是非ご参画して欲しいです。

Q:最後に、製薬業界で活躍したいと考えている先生に向けてメッセージをお願いします。

 西馬 先生 

医師には様々な仕事があって、最前線で臨床医として経験を積むほかにも、研究医もあればMDもあります。今、少しでも製薬企業に興味のある先生は、キャリアパスのひとつとしてMDという道にチャレンジしてみるのをおすすめします。私も業界に入るまで分からなかったのですが、メディカルだったり、臨床開発だったり、安全性管理だったり医学をさらに発展させる重要な仕事がたくさんあります。一度、製薬業界で働いた経験を持つことで、臨床に戻った場合でも、新たな視点でより良い仕事ができると私自身は考えています。

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