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2018.06.10

医院・クリニック開業 ―資金調達、開業の手段とは?―

医院・クリニック開業

医院開業には潤沢な開業資金が必要です。これを全て自己資金で賄えることは稀でしょう。
そうした際の資金調達手段にはどのようなものがあるのでしょうか?

開業資金はいくら必要か

実際のコストを把握することで資金調達が具体性を持ちます。

ここでは内科を開業する際の開業資金についてみていきましょう。内科クリニックを開業する場合に必要になる資金は「土地・建物」「設備」「運転資金」です。

「土地・建物」について、戸建てで開業を行う場合、土地の取得と建築費が必要になります。土地の坪単価によって大きく異なりますが、ここではおよそ5000万円としましょう。

「設備」は電子カルテやレジスター、X線撮影装置、超音波診断装置、内視鏡、ベッド、イス、机、PCなど。設備をどの程度のレベルまで揃えるかで幅が出ますが、一般的に3000万円ほど必要だといわれています。

「運転資金」は医院の規模に応じて、人件費や消耗品費、光熱費、リース料などが発生します。診療報酬の振込は翌々月の21日までに行われるため、この運転資金は最低でも3か月分必要です。

仮に3か月分を1200万(院長以外の人件費100万円/月、人件費割合25%として計算)とすると、合計で1億円近い開業資金が必要になります。

資金調達の手段とは

1億円近い資金を自分で用意できればなんら問題はありませんが、そのような場合は稀でしょう。こうした場合は、資金調達が必要です。なお、資金調達の内訳は以下のものが挙げられます。

■自己資金

全額を自己資金で賄えなくとも、ある程度の自己資金は必要です。自己資金は開業資金の10~20%位が目安とされています。
上記の例では2000万円ほどあると、借り入れ・返済の計画が立てやすくなります。

■日本政策金融公

政府系の金融機関である日本政策金融公庫が創業資金などに比較的低金利で貸し出しを行うものです。融資額は最大7200万円、運転資金の場合融資期間は7年以内です。
融資種類に応じた各種条件が設定されています。

■独立行政法人福祉医療機構

診療所や介護老人保健施設など、医療や福祉に携わる施設の開業や増改築費を融資する機関です。融資期間が長期で、比較的低利な固定金利で融資を受けられるのが特徴です。
ただし、一部自己資金や開業地域によって規制があります。

■民間金融機関

メガバンクをはじめとする銀行や信用金庫など。担保や保証人の有無、金融情勢によって状況は変わりますが、1億円超の融資も可能です。
マイナス金利の影響で、比較的柔軟な条件で対応する金融機関が増えています。

■リース会社

医療機器や設備のリース契約だけでなく、リース会社から開業資金を借り入れる方法もあります。

■家族、親戚

家族・親戚に経済的な余裕があり、開業への理解を得ることができれば非常に有効な手段でしょう。金利などの融通も効きやすいでしょう。
ただし、のちのちのトラブルを防いだり、贈与とみなされたりしないよう、「金銭消費賃借契約書」を作成し、振込履歴等で定期的な返済の証拠を残すなど、注意も必要です。

開業時の資金調達

開業時に資金調達は様々な手段があります。適切な資金調達のためにも、まずは開業後の収支予想をしっかり立てる必要があります。

事業計画立案はハードルが高く、不安も大きいでしょうが、ここを人任せにすることは厳禁です。無料の開業セミナーや個別相談会も多数開かれているので、それらを上手く利用して情報収集し、日頃から医療業界以外の人とも接しておくことが、開業への第一歩になるでしょう。

医師×開業
最終更新(2018/6/10)

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