記事・インタビュー

2021.02.12

留学体験記(その3)

消化器内科医 秋山慎太郎。IBDフェローとしてアメリカ挑戦 研究と臨床の両立

Advanced IBD fellowとして2年目をむかえ、7ヶ月が経過しました。前回の記事では、コロナ禍でのこちらでの臨床の様子やコロナ関連の臨床研究のご紹介をさせていただきました。今回は、現在の米国での日常の様子や、一緒に働いているAdvanced IBD fellowsを紹介します。

留学生活とコロナ

コロナ禍での留学生活では、息子の学校問題が、大きなウエイトをしめております。息子は、パンデミック前、アパート学区内の現地校に通わせていたのですが、パンデミックが発生して以来、現地校は、オンライン授業の体制を取るようになりました。オンライン授業では、現地の子供達とコミュニケーションを取る機会もなく、生の英語に触れる機会が失われてしまいました。

さらに、母国語である日本語での教育の重要性に気がついたこともあり、思いきってシカゴの日本語学校(全日校)に転校させました。学校の所在地が、アパートから60km程度離れており、基本的には通えないのですが、日本語学校の授業を、自宅でオンライン授業として受けられることが大きなメリットでした。ところが、最近では、午前中のみの登校が始まったため、私が入院担当ではない期間で、かつ外来がない時などは、不定期ながら車で学校に連れて行っております。その分、研究の時間が減ってしまうため、夜中にデータ解析や論文執筆などを行うなどで、補完しております。

診療とコロナ

現在、外来は、Zoom診療と通常診療がハイブリッドになっている状態です。入院診療も、大きく変わったところはなく、IBDチームでの日々のラウンドは実施されております。大きなイベントとしては、去年の12月末に、コロナワクチン(ファイザー/BioNTech社のもの)を接種しました。米国では、医療従事者がまずは、優先的に受けられる状況であったのですが、現在では、リスクの高い方への接種が徐々に始まっています。

正直、mRNAワクチンという新しいタイプのワクチンの有効性や長期的な安全性などを心配したのですが、指導医の先生方は、ワクチン接種をIBD患者さんに強く勧めており、同僚も普通に受けている背景から、深く考えるのをやめて、流れに乗っかることにしました。1回目投与後、1日程度経ってから、全身の倦怠感や筋肉痛などがありました。2回目の投与後は、そのような症状が、やや強く出て、微熱(37.3度)を認めたため、ロキソニンを内服しました。

このようなワクチン接種後の副反応の程度は、人によるようです。IBDフェローの同僚に聞いたところ、彼も全身の倦怠感や頭痛などがあったとのことで、私が経験した症状は、比較的多いのかなと思いました。先生によっては、NSAIDsやアセトアミノフェンを事前に内服してから、接種に臨んだという方もいて、そちらの方が、副反応が少ないという噂もありました。

IBDフェローの仲間達

IBDフェローは、以前の記事(IBDフェローとして研究と臨床を両立することの意義)でもご紹介したように、米国だけでなく、カナダ、イスラエル、オーストラリアなど様々な国からIBDを学びにきている消化器内科医であり、文化の違い、診療や研究に関する考え方の違いなど、彼らから学ぶことはとても多いです。2年目のIBDフェローは私だけなのですが、1年目のフェローは3人いて、そのうち1人は、イスラエルからきているDr Nathaniel Cohen (Nati)、もう1人は、米国のGIフェロー上がりのDr Joshua Steinberg (Josh)です。

Natiは、卒後11年目の消化器内科医で、イスラエルの消化器専門医を持っています。IBD診療を数年経験しており、彼の方が、やや先輩になります。3人の子供の父でもあります。Natiとは2019年の夏に一度、大学で会いました。その時点で、2020年のIBDフェローのポジションは暫定的に決まっていたようなのですが、USMLEは1つもパスしておりませんでした。その後、パンデミックが始まる前までの短期間で、ECFMGを取得して、2020年からIBDフェローシップを開始しています。研究経験もあり、とても優秀な先生です。

Joshは、ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学でGIフェローを修了後、シカゴ大学でIBDフェローを開始しています。卒後7年目と私よりも若いのですが、気さくで、かつ、しっかりとした考えを持っているとても有望な先生です。最近、米国の消化器内科専門医を取得しました。IBDフェローを開始してから、2人目の子供が生まれ、フェローシップと育児を両立しているイクメンでもあります。

彼らとのコミュニケーションから学ぶことは多々あります。例えば、日本人医師の感覚では、まずは、ECFMGを獲得した上で、ポジション取得を目指すという流れが一般的かなと思うのですが、Natiのように、ポジションを暫定的に決めてから、USMLEを受けるというのは、とても理にかなっているなと思いました。

また、シカゴ大学IBDフェローシップでは、米国外からIBDを勉強しにくるフェローが多い傾向があるのですが、最近では、米国でもIBD指導医として働く場合などで、IBDフェローシップ修了が好ましいとされているようで、JoshのようにGIフェロー後にIBDフェローをやってから、米国で指導医を目指す先生が増えてくると考えられます。彼らは、IBDフェローシップという同じ境遇にいるので、私が色々と悩んだ時、良き相談相手になってくれています。

現在は、コロナ禍で、色々と制限がかかってしまい、なかなか彼らとも頻繁に会えない状況ではありますが、残り少ない留学生活で、少しでも、いろいろな人と深く関わることができたらと思っています。コロナワクチンが効いて、通常の留学生活に戻ることを切に願っております。

写真(オフィスにて。左から、Nati, 私、Josh。我らがボスのDr Rubinのラボで購入したフリースを着ています。 Rubin’s labとロゴが入っています。)

<プロフィール>

秋山 慎太郎

秋山 慎太郎(あきやま・しんたろう)
2000年4月- 電気通信大学量子物質工学科入学(工学学士)
2004年4月- 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻(理学修士)
2006年4月- 弘前大学医学部医学科(3年時へ学士編入)
2010年4月- 虎の門病院内科研修開始
2014年4月- 東京医科歯科大学消化器内科入局
同年- 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科に入学(医学博士)
2018年4月- 東京医科歯科大学消化器内特任助教
2018年11月- 渡米
2018年12月- シカゴ大学Postdoctoral scholar
2019年7月- シカゴ大学advanced IBD fellowship

秋山 慎太郎

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