記事・インタビュー

2020.07.16

日本で医師として働く(1)社会問題への興味から医師の道へ

 

オーストラリアで総合診療にあたるGP(General Practitioner)の専門医資格を取得し、第114回医師国家試験に合格し、2020年4月から日本で医師として働き始めたレニック・ニコラス先生。「日本とオーストラリアの架け橋になりたい」と話すレニック先生に、日本で医師として働くに至った経緯やGPの役割について、話をお聞きしました。(全3回)

 

日本に憧れた少年期〜青年期

――はじめに、先生のご経歴を教えていただけますでしょうか

生まれたのはオーストラリア南東部、ニューサウスウェールズ州にあるオルベリーという、人口約52,000人程の小さな都市です。

大学はシドニー大学に進み、研修先もシドニーの病院でした。その後GPの専門医資格を取得するために西オーストラリア州南西部の都市パースに移り、そこで2年間、総合診療医としての経験を積みました。

――医学部に入学される前に教養学部に進まれたのはなぜですか?

オーストラリアでは医学部が大学院の形をとっているところが多く、医師を目指すとしても、まずは他の学部で学ばなければなりません。以前はイギリス式で高校卒業後に医学部に入るシステムでしたが、最近はアメリカ式の、大学卒業後に医学部に入るシステムを導入するところが増えてきています。

――教養学部で日本語を専攻されたのはなぜでしょうか

オーストラリアの学校では英語以外の言語を学習するのが一般的で、私の学校では小学5年生から高校卒業までの間、全員がフランス語と日本語両方を学ばなければなりませんでした。それ以来、日本語に興味を持ち、大学でももっと日本語を学び続けたいと思い、日本語を専攻することに決めました。

――ずっと日本に興味を持たれていたのですね。

はい。本格的に日本に興味を持つようになったきっかけは、14歳の時に修学旅行で初めて来日した時。日本で3週間過ごした経験がとても印象深く、一気に日本が好きになりました。15歳の時には夏休みの3ヶ月間日本の高校に留学し、16歳の時にオーストラリアの全国日本語スピーチコンテストで優勝しました。賞品は日本行きの航空券で、その年もまた渡日することができました。大学時代には日本人である妻と出会い、さらに頻繁に日本に行き来する機会が増えました。日本に行けば行くほど日本が好きになり、第二の故郷と感じるようになりました。

GPの専門医資格を取得

――さまざまな診療科があるなかでGPを専門に選ばれた理由を教えてください

初期研修をしていた病院で目にしたのは、入院している患者さんの急性疾患だけを治療して、あとはかかりつけ医に任せるような対応でした。急性疾患のベースには慢性疾患があることが多いです。しかしその慢性疾患が治っていないために、同じ患者が1年に20回も30回も来ているようなこともありました。

「この人に良いGPがいれば、入院しなくても改善できるのに……」と思う症例が多くあり、急性期の治療をして患者さんを帰すより根本的な治療となる慢性疾患のコントロールをしたいと思ったのが、GPを専門に選んだ理由です。

――日本とオーストラリアではGPの役割に違いがありますね

はい。オーストラリアやイギリス、アメリカではGPは当たり前の存在です。日本ではGPが果たす、いわゆるかかりつけ医の役割が異なっていると思います。オーストラリアではGPは医療の中心的な重要な役割を担っており、シドニー大学でも医学部卒業生の多くがGPになります。外来治療が無理な患者や、専門治療が必要な場合は専門医につなげますが、基本的な診療はGPが行います。

 

<プロフィール>

レニック・ニコラス
NTT東日本関東病院
国際診療科 総合診療医

1990年3月生まれ。2011年にオーストラリア シドニー大学教養学部(日本語専攻)を卒業し、同大医学部を2015年に卒業。ホーンズビー病院、モナベール病院、ネリンガ病院での研修を経て、General Practitionerの専門医資格を取得。USMLE Step 1(271点)、Step 2 CK (268点)、Step 2 CSに合格。2020年1月に日本に移住し、同年2月に日本の医師免許を取得。現在はNTT東日本関東病院で外国人の診療にあたる国際診療科と総合診療科に所属する。

レニック・ニコラス

日本で医師として働く(1)社会問題への興味から医師の道へ

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