記事・インタビュー

2019.09.20

EMA festival!

去る8月、ER型救急医学を志す者または実践する者による非営利団体「EM Alliance」が主催するワークショップ「EMA Meeting」が開催されました。その様子を取材してまいりましたので、ご紹介します。(インタビュー記事もあります)

今年はEMA発足10周年、EMA Meeting第20回を記念し、「EMA festival!」と銘打って2日間にわたり開催されました。テーマは「令和元年、Brand New ERaへの挑戦!」。目玉企画が多数用意され、参加者も医学生からベテラン医師まで150名超と、盛会のうちに幕を閉じました。

開催概要

日程:2019年8月3日(土)、4日(日)
場所:横浜労災病院、横浜労災看護専門学校
代表人:武部 弘太郎(京都府立医科大学)
››› EMA festival! 公式ホームページ

スケジュール

初日(8月3日)
12:30 ミーティング開始
13:00 記念講演
「令和到来!今、若手救急医と挑戦したいこと 〜救急医の魅力とそのポテンシャルを語り合う〜」

  • 福井大学医学部附属病院 救急・総合診療部 教授 林 寛之先生
  • 藤田医科大学 救急総合内科学 主任教授 岩田 充永先生
  • 京都府立医科大学 救急医療学 教授 太田 凡先生
  • 座談会
16:00 ハンズオン(1)
17:00 ハンズオン(2)
18:00 1日目解散(懇親会)
2日目(8月4日)
8:30 モーニングレクチャー

  • 長谷川 耕平先生
    「サイエンスで未来の救急医療を創造する:クリニシャン・サイエンティストの試み
  • 渡瀬 剛人先生
    「臨床だけでは物足りない?医者を永く続ける(楽しむ)ためのNiche」
9:35 ハンズオン(3)
10:35 ハンズオン(4)
11:35 ハンズオン(5)
12:45 ミーティング終了

EM Allianceとは

EM Alliance代表の武部 弘太郎先生に「EMAとは?」そして今回の「EMA festival!のポイント」をお聞きしました。

EMAでは、病院前救急医療(プレホスピタル)から集中治療まで幅広く担う救急医療の中でも「救急外来での診療」に照準を当て、「医療の質の向上」「社会貢献」「教育」「ネットワークづくり」などを目的に以下の取り組みを行っています。

  • 学習機会の提供:患者さんへの対処方を学ぶ「症例提示」や最新の論文を要約して発信する「文献紹介」
  • EMA Meeting:ER型救急を目指す若手救急医の交流会を年2回開催
  • 教育系コースの提供:ER型救急を勉強するための各種教育プログラム
  • EMA for kids:ERにおける小児救急の質向上のためのセクション
  • EMA for us:救急医の働き方やプライベートとの両立など、救急医の相談窓口

また当日、取材班がインタビューを行いました。
武部先生のご経歴や救急医を目指したきっかけ、EMAとの関わりなどを語っていただきました。

EMA festival!のポイント

ポイント(1)救急医のレジェンド3名による講演と座談会

日本の救急を牽引する3名の先生方が同じ日に一堂に会し講演を行ったことは過去に例がなく、続いて行われた座談会でも、とは?救急医の魅力とその可能性について存分に語り合っていただきました。

出演者
  1. 福井大学医学部附属病院 教授 林 寛之先生
  2. 京都府立医科大学 教授 太田 凡先生
  3. 藤田医科大学 主任教授 岩田 充永先生
ポイント(2)現役米国救急医2名のモーニングレクチャー

米国で現役の救急医として活躍されている両先生が本イベントのために帰国。EMA発足時からのメンバーでもある長谷川先生と、エデュケーション・フェローシップとしてもEMAに関わっていただいている渡瀬先生のお二人が揃うことは極めて稀で、大変貴重な機会となりました。

出演者
  1. マサチューセッツ総合病院 救急科 長谷川 耕平先生
  2. ワシントン大学 ハーバービュー・メディカルセンター 救急科 渡瀬 剛人先生

また当日、長谷川先生と渡瀬先生に取材班がインタビューを行いました。
先生方のご経歴はもちろん、ECFMG取得、USMLE勉強法、グラントの獲得、アメリカでの研究、医学教育など、なかなか知ることのできない情報を語っていただきました。

ポイント(3)2日間で5本のハンズオン

通常のEMA Meetingでは3つのハンズオンブースを構えていますが、今回はよりコンテンツを充実させるため、ブースを5つ設けました。どのブースも内容が濃く、EMA活動の一端に触れていただける場になったと思います。

<ハンズオンの内容>

こどものプルプル、あなたのドキドキ、止めてみせます
小児科医も救急医も苦手な疾患、小児の痙攣重積のレクチャー。ER the REAL 〜今月の症例「特別編」〜
EMA「今月の症例」のリアル版。
ここでしかできない『全員参加』そして『リアルタイム』で進行する症例体験。

本当は秘密にしたい文献班の裏ワザ
EMA文献班が、どのような裏ワザを使って最新の論文情報を手に入れ、ラクして文献を読んでいるかを告白。

エコーをやれば世界が変わる!
meetingで大好評のハンズオン企画。

中毒 〜The Sixth Sense〜五感で感じて第六感を呼びおこせ!
救急、中毒診療でもこの第六感(直感的診断)が役に立つこともあるが、技術を磨くことは難しい。クイズや五感を通して中毒診療の極意を学べる。

ポイント(4)交流・ネットワークづくり

上記3つのコンテンツを中心にいつもより多くの方に参加いただき、参加者同士の交流や意見交換も盛んに行われていました。私たちの目的の1つである「ネットワークづくり」の役割を果たせたのではないかと思っています。

››› EMA festival!の詳細はこちら

EMAジョブフェア 2019年 拡大版

ジョブフェアとは?

全国の病院で救急の後期研修が行われていますが、その内容について知る方法は限られています。 EMAは多くの病院の後期研修のよいところを皆に紹介し、どんな病院でどんな研修が受けられるか情報を得られる場所です。(EMAホームページ抜粋)

「EMA festival!」当日は会場内のブースで、また懇親会でもプレゼンテーションを行い、自施設を宣伝しています。さらに当日は参加者の投票制で大賞を決めます。今回の記念すべき「EMA festival!」大賞は、「麻生飯塚病院」でした。(おめでとうございます)

››› 参加9病院のプレゼンテーションはこちらをご覧ください。(EMAホームページへ)

まとめ

気温37℃、新横浜駅から会場まで歩くだけで熱中症になりそうな2日間でしたが、「EMA festival!」はそれ以上にアツく盛り上がりました。講演、座談会、モーニングレクチャー、ワークショップどれをとっても完成度が高く、スタッフの先生方の配慮も素晴らしかったです。(スタッフの先生方、本当にお疲れ様でした)

また、参加者(150名)の中には、医学生や15年目以上の先生、救急医でない先生も参加されており、現役の救急医と一緒になってハンズオンしていたのが「EMAの魅力」だなと感じました。そのほか個人的な感想になりますが、林先生のプレゼン資料制作の動画化、「救急医は指揮者」、「サブスペシャリティでなく、サブスペシャルティ」、「救急施設の集約化」、「出過ぎた杭は打たれない」、「Niche」などなど、“民間医局流行語大賞”(非公認)にノミネートさせていただきたいと思います。

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