記事・インタビュー
独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科
濵元 陽一郎
みなさま初めまして。独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科の濵元 陽一郎です。2013年9月より2年間カナダ ケベック州モントリールにありますマギール大学Meakisn-Christie Labへ喘息の基礎研究で留学をしました。42歳になってからの家族とともに海外への留学で、多くのトラブルも経験しましたが、多くの人に支えられ・助けられ無事に海外での研究留学を終えることができました。
2016年7月より埼玉県西部医療圏の西埼玉中央病院へ赴任し、新たに呼吸器診療を立ち上げ、研修教育へも力を注いでいます。今回は、カナダ留学前から留学生活などについて6回シリーズにてレポートして参ります。
マギール大学 Meakisn-Christie Lab
››› http://www.meakinsmcgill.com
海外研究留学の憧れ
私が大学時代に流行っていたテレビドラマ「ER救命救急室(1994年~)」がありますが、皆さんご存知でしょうか?あれから20年の月日が経ちますが、医学生のカーター君が奮闘していたのが忘れられません。いつかは海外留学するんだという気持ちは、あの頃から抱いていましたが、現在は救命救急ではなく呼吸器内科医として病院での臨床をしている日々です。留学される多くの先生は、大学医局に所属し、研究・学位取得後にポスドクとして海外の研究室に入るかと思います。
私の場合は国立病院で臨床がメインであり、研究する時間がほぼなく、留学の路線とは無縁の流れでした。「海外で留学をするんだ」と漠然とした思いを持ち続けたまま、臨床をしながら過ごしていました。
思いは持ち続けること!
「海外留学したい」思いを持ち続け、日々診療・教育・研究に従事していました。
前職場の呼吸器診療科は、大学医局からの派遣医師がなく、独自に後期レジデントを鍛え上げる事を前提にスタッフを確保していました。皆の協力もあり10年もの長い期間スタッフは充実し、2次医療圏での呼吸器診療肺がんシェア率として40%を占めるほどに成長していました。
また、病院の教育研修の取り組みにも、積極的に携わることで、最終的に研修医のマッチング率の上昇という結果を得ることができました。今では、多くの研修医が受験するようになり、呼吸器診療だけでなく、病院にとって重要な研修医教育全体を盛り上げる事にもつながり、留学のお許しを頂くことができました。
留学先はカナダ
前職場上司の先輩より、カナダのMcGill University(マギール大学)のMeakisn-Christie LaboratoriesのDr. Martinを紹介して頂きました。ポスドクでもない、私を受け入れて頂いた留学先のボスには大変感謝しています。それ以上に、紹介して頂いた先輩の友好的な関係があったから実現できたのだと、改めて感謝しています。留学が現実的になり、2013年の5月フィラデルフィアで開催されたATS(アメリカ胸部学会)で、ボスとの面談に赴きました。
初めての面談
ATSの最中、ボスと二人でのランチミーティングで面談となり、大変緊張したのを覚えています。諸先輩方が築いてきた歴史ある研究所へ赴くことであり、恥ずかしいことはできない、退路を断つ決意が固まった一瞬でした。その一方、新しい世界への第一歩へ踏み出したのだと、楽しみを実感し始めた時でもあります。
その後、様々な苦難が待ち受けていましたが、研究所の皆や、日本人のコミュニティーに助けて頂きました。
<筆者プロフィール>
- 1999年 国立国際医療センター 内科研修医
- 2001年 同上センター 呼吸器科レジデント
- 2004年 聖マリアンナ医科大学 呼吸器・感染症科
- 2004年 国立病院機構 災害医療センター
- 2013年 McGill University(Canada)
Meakins-Christie Laboratory(Research fellow) - 2016年 国立病院機構 西埼玉中央病院
呼吸器内科 医長 - 2017年 聖マリアンナ医科大学 内科学講座(呼吸器科)
大学院研究生入学 - 2018年 国立病院機構 西埼玉中央病院 教育研修部長
埼玉医科大学 非常勤講師
濵元 陽一郎
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