記事・インタビュー
独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科
濵元 陽一郎
みなさま初めまして。独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科の濵元 陽一郎です。2013年9月より2年間カナダ ケベック州モントリールにありますマギール大学Meakisn-Christie Labへ喘息の基礎研究で留学をしました。42歳になってからの家族とともに海外への留学で、多くのトラブルも経験しましたが、多くの人に支えられ・助けられ無事に海外での研究留学を終えることができました。
2016年7月より埼玉県西部医療圏の西埼玉中央病院へ赴任し、新たに呼吸器診療を立ち上げ、研修教育へも力を注いでいます。カナダ留学前から留学生活などについて6回シリーズにてレポートして参ります。今回は第2話です。
留学先も決まり、なんとか就労ビザを取得。高まる期待や不安を胸に。いざ家族と共にカナダへ入国するも、思いもよらない事態が。留学を考えている皆さん、私の失敗を糧にしていただければ…。
ダンボールの荷物が!

Montreal までは、羽田空港から他の空港経由で入りました。Montreal空港のbaggage claimで、自分の荷物を引き取る際、ダンボールが砕けていました。原因は、重い教科書を薄手のダンボールで梱包したからです。
中身は教科書・ノートなど貴重品はないものの、自分にとっては貴重品?ある意味ではLost Luggageでした。探してもらいましたが、結局出てきませんでした。
マンションの契約が確定していない!

私が通うマギール大学の多くの諸先輩方は、LaCiteという賃貸アパートを利用していました。空港から家族子供の荷物を多く運びLaCiteへ到着。しかし、部屋が予約されていないのです。契約されていたと思いきや、最終的なConfirmation までされていなかったのです。まだまだ、英会話などできるわけでもなく、マンションの事務所との、身振り手振りでの交渉が開始。
3−4時間待つことで別の部屋を用意して頂きました。最初の洗礼はことなきを得ました。
研究チームは多国籍
カナダは多くの移民を受け入れてくれる国でもあります。私が所属したマギール大学の研究室は、様々な国から研究者が集まっています。中東の研究者から、イタリア人、フランス人、カナダ・アメリカ人はもちろん、中国人、韓国人、バングラディシュ人、など様々です。とても仲良くしてもらったオランダ人の研究者家族もいました。多国籍という事で、文化・宗教などの違いにより、コミュニケーションが難しいとはじめは考えていましが、実際には人と人のコミュニケーションであり、わからない事や嫌なことをしっかりと誠実に伝えることでお互いの立場を理解してくれるようになっていきました。
画像左:一緒のLab MemberであったMikeと研究室にて、画像中央:研究室の外で昼食中、画像右:研究所でwestern blot中の筆者
週1回のLabs Meeting
毎週水曜日は、1週間の研究成果と課題についてのLab meetingが開かれます。指導者と相談し進めてきた研究についてのプレゼンですが、最初は英語でのプレゼンも、伝えなければならないフレーズを繰り返し、暗記してポーカーフェイスでの発表でした。当初は議論になった瞬間に取り残されていました。日本人特有なのでしょうか?次第に、参加できるようになったのは1年の後半でした。成長と実感したのは、終了時の研究所の皆の前でのプレゼンです。
Ground Conference

臨床医のカンファレンスは毎週金曜日朝より行われています。プロジェクターで、若手のドクターが症例提示を行います。年配の指導医が指導している姿は、日本と全く変わりません。基礎研究での留学にとり、臨床経験を鈍らせないためとても有意義なカンファでした。人種による疾患の違いもありましたが、どこの国も若手と年配者の関係は同じでした。
全てはコミュニケーション力
全てはコミュニケーション力です。基礎研究ラボでのしきたりは、いろいろとあります。ラボのしきたりに従うのもコミュニケーションが必要となります。また、国籍も異なる研究者が多いため、研究以外の話題も多く知っておく必要があります。研究以外で会話が続かないことも、楽しくない存在となります。ここでも、コミュニケーション力が必要です。臨床のカンファレンスも参加する必要性はありませんが、参加してみたい気持ちを教授へ伝え、先生方を紹介して頂きました。ベッドサイドでの臨床は行わないものの、毎週顔を合わせているといろんな話をするようになります。更に、コミュニケーションが必要とされるのです。
コミュニケーションとは、世界共通であり、日本にいても同様です。私の場合は相手の事を理解しようとすることから、徐々に分かるようになりました。
濵元 陽一郎
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