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2021.09.15

国境を超えた地域医療支援機構主催「日本の最北端と最西端で地域医療・コミュニティヘルスを考える」

国境を超えた地域医療支援機構主催「日本の最北端と最西端で地域医療・コミュニティヘルスを考える」

2021年8月28日、国境を越えた地域医療支援機構主催「日本の最北端と最西端で地域医療・コミュニティヘルスを考える」が開催されました。その様子をご紹介します。

<テーマ>
日本の最北端と最西端で地域医療・コミュニティヘルスを考える

<本セミナー開催の趣旨>
「国境を越えた地域医療支援機構」は,国内外を問わず地域医療に携わる人々のネットワークを通じて,その多様性と本質について理解を深め,お互いに学び合い,様々な解決策を探っていきたいと考えています。2回目のオンライン開催となる今回は,北海道と長崎という日本の両端を結んで,また発展途上国での経験も織り交ぜながら,参加者が新しい世界と遭遇し,視野を広げる機会になることを期待しています。

開催概要

日時:2021年8月28日(土)
場所:オンライン開催
講師:(下記参照)
参加対象:国境を越えた地域医療に関心のある医療者,医療系学生
その他:今回で16回目の開催
主なプログラム:
特別セミナー 「新型コロナから地域を守る!2021」
グループワーク「『気がついたら健康になるしかけ』を企画しよう」
長崎国際医療人懇談会2021
地域医療講演会

スケジュール

9:10 ~10:30 特別セミナー 「新型コロナから地域を守る!2021」

座長:有吉紅也先生 所属:国境を越えた地域医療支援機構
講師:増田慎吾先生 所属:上五島病院
講師:松田夏菜子先生 所属:JA北海道厚生連 遠軽厚生病院
講師:クリス・スミス先生 所属:長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科

地域で,病院の中と外で,COVID-19にどのように備え,戦ってきたか – 長崎,北海道,フィリピンからの報告です。増田先生からは,長崎離島で行政,消防,介護施設,後方支援病院との連携を強化する取り組み,松田先生からは,道東の広域な診療圏を抱える中核病院での院内クラスターの教訓,クリス先生からは,フィリピンの感染症専門病院でのPCR検査法確立を含めた支援や貧困地域の感染症疫学研究などの報告がありました。

10:30 ~ 12:00 グループワーク「『気がついたら健康になるしかけ』を企画しよう」

司会:杉本尊史先生 所属:国境を越えた地域医療支援機構
ファシリテーター:
中桶了太先生 所属:平戸市民病院
八坂貴宏先生 所属:長崎県対馬病院
小野隆司先生 所属:杵築市立山香病院
永田康浩先生 所属:長崎大学大学院医歯薬総合研究科 地域医療学

長崎大学医学科,長崎純心大学地域包括支援学科,旭川医科大学医学科,隠岐島前高校と,異なるバックグラウンドの学生が集まって,『気がついたら健康になるしかけ』を企画するグループワーク。和やかな雰囲気の中で意見交換をしながら,柔軟な発想でたくさんの『しかけ』を企画してくれました。

12:30 ~ 13:00 長崎国際医療人懇談会2021

司会:杉本尊史先生 所属:国境を越えた地域医療支援機構
講師:鵜川竜也先生 所属:長崎大学病院感染症内科/国境なき医師団
講師:蟹江信宏先生 所属:長崎大学病院感染症内科/国境なき医師団

国際医療協力活動から帰国したばかりのお二人による活動報告です。鵜川先生はパプアニューギニアでの結核のミッション,蟹江先生はリベリアでの小児のミッションをされていました。お二人にとって初めてのミッションを終えて,派遣前の経緯から現地での仕事の様子,そこで感じたこと考えたことを語っていただきました。

13:00 ~14:30 地域医療講演会 前半

座長:八坂貴宏先生 所属:長崎県対馬病院
講師:長内忍先生 所属:旭川医科大学地域医療再生フロンティア研究室
演題:「北海道の暮らしと疾患」
講師:黒嶋健起先生 所属:旭川医科大学病院 救命救急センター集中治療部
演題:「ほっかいどうは,でっかいどう -とある北の救命救急センター・ICUの戦い-」

「日本の最北端と最西端の地域医療・コミュニティヘルスを考える」講演会前半は,北海道からのプレゼンテーション。長内先生からは,北海道の地理学的特性から説き起こして,三大疾患(癌,脳卒中,心疾患)や他地域では稀な疾患についての解説がありました。黒嶋先生は,広大なフィールドと極寒の気候の中での救命救急の奮闘の様子を,実際の症例を紹介しながら熱く語ってくださいました。

 

14:30 ~16:00 地域医療講演会 後半

座長:小野隆司先生 所属:杵築市立山香病院
講師:中桶了太先生 所属:平戸市民病院
演題:「平戸の暮らしと疾患」
講師:荒木典子先生 所属:松浦市役所 長寿介護課
演題:「松浦市の多職種連携」
講師:押渕素子先生 所属:医療法人社団壮志会 押渕医院
演題:「モコちゃんに看取られる」

後半は,長崎のプレゼンテーションです。中桶先生からは,海と山との関連が深い平戸ならではの疾患についての紹介がありました。荒木先生と押渕先生からは松浦市のACP啓発DVDの紹介と,それを市民と一緒になって作成したプロセスを通して見えてきた真の多職種連携の姿についての経験を共有していただきました。

 

最後に

今回,長崎から北海道そしてアジア・アフリカにまで話が及んで,また,高校生からベテラン医師まで100名を超える参加者を得て,盛会のうちにセミナーは終了しました。参加者の皆様にとって非常に有意義な時間になったのではないかと思います。国境を越えた地域医療支援機構は,国内や途上国の地域医療に関心のある医療者の方々のネットワークをさらに広げていきたいと思っています。興味のある方々からのアクセスをお待ちしています。

国境を越えた地域医療支援機構

国境を超えた地域医療支援機構主催「日本の最北端と最西端で地域医療・コミュニティヘルスを考える」

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