記事・インタビュー
医療法人 慶聰会 矢澤クリニック渋谷/矢澤クリニック北本は、当法人に所属する複数の専門医が各々の専門性を強みとして発揮しながら、地域の医療関係者との連携の下、様々な疾患を抱えた患者さんを協働して診療し、また、地域の基幹病院の求める機能を発揮し有効に連携して、地域の需要に応え、地域密着型の質の高い在宅医療の提供を行うことを目指しています。
<お話を伺った先生>
理事長 矢澤 聰(やざわ・さとし)
医療法人 慶聰会
矢澤クリニック渋谷/矢澤クリニック北本
[プロフィール]
2006年慶應義塾大学卒 慶應義塾大学医学部 非常勤講師、東京大学在宅医療学拠点 臨床指導医
1.在宅医療を始めた理由と地域医療への貢献
私が在宅医療を志したのは、埼玉県央地域の基幹病院勤務中に、ご家族が通院困難な患者さんを遠隔から車で連れて来て長時間待った後で診療を受けて帰るという状況を目の当たりにし、埼玉県の医療過疎事情と、患者さんやご家族の通院の負担なく良質な医療を提供することの重要性を痛感し、ご自宅で良質な医療を提供することによって社会や家族との絆を保ちながら安心して療養生活をお送り頂く体制の必要性を感じたからです。
矢澤クリニック北本のある埼玉県央地域は、都心のベッドタウンであり、また、リタイアされた方々が永住される等して高齢化が進んでおり、もともと在宅医療のニーズは高いにも関わらず、在宅医療を提供する医療機関が少なく、整備がされていない地域でした。例えば、人工呼吸器管理や腎瘻管理のため、ご自宅での療養生活が難しく病院で療養しなければならなかった患者さんも、私と当院に所属する複数の専門医が、地域の看護師さん等と協働しながらご自宅での医療を提供するようになり、多くの患者さんやご家族からも感謝され、在宅医療による地域医療への貢献を肌で感じています。
ご家族が仕事を休んで介護の必要な患者さんを通院させたり介護したりすることは、埼玉県央地域や地方だけの問題ではなく、都心であるか否かに関わらず、どの地域でも生じていることであり、また、超高齢社会において、ご自宅で最期まで過ごしたいという方々も多いこと等も鑑みれば、在宅医療の重要性は益々高まっていると思われ、また、「東京でもかかりつけ医に」とのご要望も受けましたので、矢澤クリニック渋谷を開院しました。
今後も初心を忘れず質の高い在宅医療による地域医療の貢献を地道に行いたいと考えています。
2.質の高い在宅医療の提供
当法人は、所属する複数の専門医が自らの専門性を生かしながら、所属する他の専門医と協働することで、より付加価値の高い医療を提供することを目指しています。
例えば、私はもともと泌尿器科が専門ですが、泌尿器科は、高齢患者やQOLに直接的に関わる疾患等も多く、緩和ケアや看取りもします。在宅医療においても患者さんが尿トラブル等で悩まれているケースも多々あり、親和性が非常に高いため、在宅医療の質の向上に寄与するものと考えます。
当法人には神経内科、循環器内科、呼吸器内科を含め複数の専門医が所属していますので、互いに相談でき、より質の高い医療提供を行うとともに、個々人の医師としての経験や能力も蓄積して頂くような環境を整えています。
3.地域完結型医療(地域包括ケアシステム)の構築
当法人は、医師が各々の専門性を強みとして発揮しながら、基幹病院の求める機能を発揮し有効に連携することで地域の需要にお応えしています。
現在、地域包括ケアシステムが押し進められていますが、地域に在宅医療を提供する医師はいるものの、専門のスキルがないことで、基幹病院の求める受け皿になり得ていないことが多々あるのが実情です。専門性をもった医師が基幹病院での入退院前後の受け皿として連携することが質の高い地域医療の提供には必要ですので、当法人は掛かるニーズにお応えできる環境を整え、今後も整えていきたいと考えています。
また、このような連携を維持・充実させるためにも、学会等での繋がりや、法人に所属する医師をきっかけに基幹病院を含む地域の医師との繋がりを作り、信頼関係を強化しています。
専門性を持ち在宅医療に関わることが医療機関としての差別化につながり、地域の医療関係者からも信頼されるため、大きなやりがいを感じます。
4.地域の患者さんのために
矢澤クリニック北本は、地域の中で真摯に診療を続け、順調に増患し続けています。かねてより「東京でかかりつけ医になってほしい」とのご要望も頂いていたこともあり、2018年に渋谷区に矢澤クリニック渋谷を開院しました。渋谷院は、理事長の母校も近く、学会活動等の人脈もあり、既に多くの基幹病院と連携し、地域の医療関係者との関係も厚く構築しています。さらに地域に根ざした質の高い医療を提供し続けることが今後の目標です。
なお、臨床は勿論ですが、教育・研究にも力を入れています。教育においては、北本でも渋谷でも、東京大学や慶應義塾大学から医学部生や研修医を地域実習先として受け入れており、他の医療機関からも今後の受け入れを依頼されています。医学部生や研修医に在宅医療の現場を体感して頂き、在宅医療により入退院前後の療養生活を支えた経験を大学病院等での勤務の際にいかしてもらったり、今後のキャリアやネットワーク強化に繋げてもらえればと考えています。研究においては、在宅医療の現場の事象を言語化・数値化し、診療データを蓄積して、日本在宅医学会や日本泌尿器科学会等で発表したり論文での執筆等も行っていますが、今後は医療制度の策定等にも活かせるようにしていきたいと考えています。
今後は、「良質な在宅医療を広める」という理念の下、所属医師とのコミュニケーションを十分に行い、患者さんやご家族一人ひとりの顔が見えるような規模で、北本と渋谷の両地域で地域医療の要と認識して頂けるよう、所属医師と地域の医療関係者との連携の下、地域密着型の質の高い医療を提供していきたいと考えています。
医療法人 慶聰会 矢澤クリニック渋谷/矢澤クリニック北本
当法人の活動や地域医療に興味がある方は、下記より直接お問い合わせください。
http://www.yazawaclinic.jp/mail/
矢澤クリニック渋谷:〒151-0065 東京都渋谷区大山町18-23-102
矢澤クリニック北本:〒364-0006 埼玉県北本市北本1-107 江利川ビル1階
矢澤 聰
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