記事・インタビュー
しまねの医師支援
島根県・出雲大社に祀られている大国主命は「医の神」と言われており、古代から島根県は医療に縁のあるところです。その島根県では、早くから島根で働く医師を≪呼ぶ≫≪助ける≫≪育てる≫の三本柱による医師支援に取り組んでいます。
【第一の柱】 ≪呼ぶ≫
・赤ひげバンク(医療従事者無料職業紹介所)
・積極的な医師面談
・地域医療視察ツアー
・研修サポート制度
【第二の柱】 ≪助ける≫
・へき地代診医派遣制度
・島根県ドクターヘリ
・しまね医療情報ネットワーク(まめネット)
【第三の柱】 ≪育てる≫
・奨学金・研修支援資金制度
・しまね地域医療支援センター
・地域医療実習
・中学生・高校生向け医療現場体験実習
今回は島根県の「赤ひげバンク」を中心に≪呼ぶ≫取組みを紹介します。
赤ひげバンクとは?
赤ひげバンクは、島根県の地域医療に関心を持っておられる医師、医学生などの登録制度です。登録者には島根県の地域医療に関する情報提供を、県内勤務を希望される先生には医療機関の紹介などを行っています。
当バンクの名称に用いている「赤ひげ」は、山本周五郎の小説や黒澤映画で有名です。島根県では、地域医療に貢献いただく医師を“現代版”赤ひげ先生と称しています。昔と医療環境は違い、チーム医療でシステム的に先端技術を使いながら治療するわけですので、現代版を冠するのです。
こうした登録制度(ドクターバンク)はほとんどの都道府県にありますが、島根県では2002年に「赤ひげバンク」を創設し、事務局を県庁内に置き、早くから相談体制を整えました。専任医師1名を含む総勢7名体制で皆様方からご相談を承っています。
これまでに、赤ひげバンクを通じて島根県内の医療機関に赴任していただいた先生は149名にも上ります。二次医療圏域別の内訳は、出雲圏域こそ47名と多いですが、それ以外の6圏域でも13名~22名と地域差はそれほどありません。
島根県の医師数の約7割が松江・出雲の2圏域に集中する中、県内各地の“赤ひげ先生“に、島根の地域医療を支えていただいています。
医師招へい実績(圏域別)
全国どこへでも面談に伺います
専任医師が勤務のご希望等を詳しくお聞きするとともに、島根県内の医療機関の状況等についてご説明させていただきます。
休日や夜間を含め、ご都合に合わせて面談に伺わせていただいています。
毎年度20名以上の県外の先生方にお会いさせていただいていますので、お気兼ねいただくことは一切ありません。
すぐに島根で勤務される予定がなくても構いませんので、気軽にご相談ください。
島根に行く「地域医療視察ツアー」
島根での勤務を具体的に検討される場合は、医師とそのご家族を対象に、県内の医療機関や地域の雰囲気を視察いただくツアーを承ります。
「病院を見学したい」「生活環境を見たい」など様々なご要望に応えるべく、視察先や行程は個別に相談しながら決めていきます。交通費・宿泊費は県が負担いたします。
【体験談】視察ツアーを経て島根に赴任
都市部では経験できない充実した毎日です
隠岐広域連合立隠岐病院 救急科部長 助永 親彦 先生
私は大阪府出身で、2012年9月に島根県の地域医療視察ツアーを利用して隠岐病院に就職しました。地域医療視察ツアーは「医師の希望に応じた」プランを組んでいただけます。職場環境はもちろん、住環境の視察なども十分に配慮してもらえました。
医師の少ない離島では、自分の専門性を活かしつつ、幅広い領域に関われることが、魅力の一つです。前任の麻酔科医が不在だった隠岐病院での勤務は大変なこともありましたが、現在は手術麻酔以外にも、ペインクリニック外来、診療所勤務、救急外来、感染対策、医療安全、研修医教育など病院のニーズに合わせて様々な業務をさせていただき、大阪などの都市部では経験できない貴重な時間を過ごせていると感じています。
あたたかい島の住民の方々との交流や、美味しい食べ物も日々の生活を充実させてくれています。
研修サポート制度
地域医療に興味はあるものの、いきなり地域へ赴任するのは躊躇される方も多いと思います。島根県ではこうした方を対象とした研修サポート制度を設けています。
具体的には、地域勤務される前に県立中央病院で研修を受け、その後研修期間と同期間、地域医療機関に勤務していただくものです。赴任先は研修中に選定することも可能ですので、県内各病院を実際に見ることもできますし、非常勤として当該病院の診療に当たることもできます。逆に、地域医療を先に経験した後で、不足するスキルなどの研修を県立中央病院で受けることも可能です。
お問い合わせください
赤ひげバンクには、これまで1434名の方にご登録いただきました。登録者には医学生も多く、在学中に登録した縁で後期研修に向けての病院見学・面談につながったこともあります。
出張面談は北海道~沖縄まで271件、視察ツアーは175件実施しました。島根に赴任された後も近況をお聞きしたり、ご相談を承ったりと、様々な形で先生方の勤務をサポートしています。今後も赤ひげバンクでつながった「ご縁」を大切にしてまいりたいと思います。
そして、島根での勤務に関心をお持ちになりましたら、ぜひ赤ひげバンクにお問い合わせください。
【赤ひげバンクに関するお問い合わせ】
島根県健康福祉部医療政策課医師確保対策室
TEL:0852-22-6683
E-mail:iryou@pref.shimane.lg.jp
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