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2017.04.05

対策は大丈夫?知っておくべき医師の年金制度

対策は大丈夫?知っておくべき医師の年金制度

老後を経済的な安心とともに暮らすため、加入するのが年金です。医師を対象とする公的年金および私的年金、関連する保険について概要とそれぞれのメリットを紹介します。

各種年金の特徴を知り、自分のライフスタイルに合った選択を

医師も一般の勤労者と同様に、勤務医であれば厚生・共済年金、開業医であれば国民年金に加入することになります。さらに、これに上乗せするかたちで、医師を対象とした各種の年金制度があります。
どのような点に注目すべきか、月々の掛け金の上限や、確定申告時の費用控除など、医師であればぜひ知っておきたい各種年金について、具体的に確認していきましょう。

1.日本医師年金

「日本医師会年金」は、日本医師会によって創設された私的年金です。年金制度自体の設計に加え、加入者より預かり受けた資産の運用や、加入者の募集に至るまで、すべて日本医師会が行っています。加入は日本医師会の会員であること、医師のライフスタイルに合わせて設計がなされていることから、別名「医師のための医師による制度」と称されています。なかでも、年金の受取方法を選ぶことができる点は、「日本医師年金」の代表的な特徴です。
例えば、「養老年金」を選択した場合、通常は満65歳から年金が受給可能ですが、希望に合わせて受給開始を満75歳まで先延ばしできます。一方、満56歳以上、かつ加入期間が3年以上といった一定条件を満たせば、満65歳を迎える前に年金の受給ができる「減額年金」の制度を利用することもできます。
なお、年金の掛金は、確定申告の際の所得控除の対象とはなりません。

2.日本医師・従業員国民年金基金

国民年金法に基づいて運営される公的年金制度です。国民年金第1号被保険者かつ医業従事者であれば加入できる、基礎年金の「上乗せ年金」としての性格を有しています。なお、医業従事者には配偶者や従業員も含まれ、医師である本人と同様に加入できます。
さらに、本年金制度の税法上のメリットとして、掛金がすべて社会保険料控除の対象とされる点が挙げられます。また、遺族年金(A型)は全額非課税となっている点や、将来受給する年金は「公的年金等控除」の金額に含まれる点も見逃せません。
一方、公的年金であるからこそ、一定の制限も設けられています。掛金の上限金額は、月々68,000円で、掛金の納付期間は60歳までと定められています。

3.保険医年金

全国の保険医協会が一定の統一ルールに基づいて運営する積立型の年金制度です。「保険医年金」の加入者は、全国で5万4000人にのぼり、積立金の総額は1兆1,000億円を超えることから、国内で最大規模の団体年金制度ともいわれています。なお、加入資格要件として、満74歳までの保険医協会会員であることが必要です。
本年金のメリットとしては、加入時に年金受給開始年齢を決める必要はなく、自由度が高い点が挙げられます。加入してから5年経てば、満期年齢80歳まで、いつでも受給を開始できます。さらに、急遽資金が必要となった場合には、1口単位から「一時金受給」として払い出しもできます。月々の掛金は、1口1万円で最大30口まで、一時払の場合には1口50万円で最大40口までとなっています。

4.民間の保険会社による個人年金保険

民間の保険会社が販売する「個人年金保険」も多数あります。なかには、払込保険料に対して、年金として受け取る金額の割合を表す「返戻率」が120%を超えるものもあり、その収益性が魅力のひとつです。
年金の受給開始年齢や掛金の払込期間、確定年金か終身年金を選択できるものもあり、個々人のニーズに合わせたカスタマイズが可能な保険商品も多数揃っています。運用収益を期待したい医師にとっては、お薦めの商品が多いといえそうです。
確定申告の際、一般的な生命保険料控除とは別に「個人年金保険料控除」の適用が受けられる商品もあります。

対策は大丈夫?知っておくべき医師の年金制度

それぞれの年金制度の特徴を理解し、税金対策なども考慮した上で、自分にピッタリの年金を選びましょう。老後のみならず、急な出費にも備えられる各種年金も充実しています。

最終更新(2016/10/31)

対策は大丈夫?知っておくべき医師の年金制度

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