記事・インタビュー
愛知県一宮市の閑静な住宅街に立つ「メドタウンたなかファミリークリニック」。外来と訪問診療の二本柱で診療を行う同クリニックでは、訪問診療を担当する医師を募集しています。理事長の田中孝守先生は「人に投資する」ことが自身のコンセプトと話すほど、スタッフの働く環境を重視。定時退社実現のための時間管理や売り上げの分配など、気になるポイントを伺ってきました。
<今回お話を伺った方>

Q: 循環器内科での研修後に老人保健施設で勤務されていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?

田中 先生
きっかけは2つあって、ひとつは長男の誕生です。妻が皮膚科の医師なのですが、妊娠・出産時は大学に通っていました。博士号取得のための研究の最中でしたので支えたいと思い、一年間老人保健施設へ在籍することを決めました。
また、ずっと急性期ばかり診ていたため、ほかの世界も知りたいと思ったこともきっかけのひとつです。当時から開業を考えていたこともあり、施設長とはどういうものか、他職種とのかかわり方はどうあるべきかなど、勉強になるのではないかと思ったんです。施設長として勤務するなかで在宅復帰率を気にするようになり、自然と在宅医療への興味が芽生えました。
Q: 比較的若くして開業することに不安はありませんでしたか?
田中 先生
これからの時代は在宅医療が伸びると思っていたので、年齢や開業自体には不安はありませんでした。ただ、人が集まるのだろうか、レセプトのやり方は、広告の出し方は…というような実務的な部分は気になりましたし、未経験だったので大変でしたね。
Q:現在のクリニックの概要を教えていただけますか。

田中 先生
当院は有料老人ホームに併設するクリニックです。駐車場が広く確保できる場所にしたいという僕の希望と、ホームの1階で開業するクリニックを探していた施設側のニーズが合致し、2017年11月に開業しました。患者さんの9割が地域住民の方ですので、地域に根差したクリニックにすることを目指しています。
開業時より外来と訪問診療の2本立てにしており、現在外来の患者数は一日40~50名を推移しています。年齢は0歳から100歳まで幅広く、診療の多くは生活習慣病や風邪、ちょっとした虫刺されといった一般内科の内容になります。
訪問診療の患者さんは2割が居宅、8割が施設です。一日の診察数は20~30名ほど。病状は癌が2割程度で、ほかは脳梗塞後や神経難病、認知症などになります。慢性期の病気が多いですね。
Q: 訪問診療の体制や一日のスケジュールを教えてください。
田中 先生
出勤時間は8時半です。最初に15~30分ほど申し送りをし、9時頃から訪問診療に向かいます。件数としては午前も午後も4、5件です。16時頃の戻りを目標としており、16時以降は書類やカルテを記入する時間にあてています。
診療は基本、看護師との2名体制です。診療人数が多い場合はドライバーをつけて3名体制で訪問します。本院では現在、非常勤の医師を含め3~4列でまわっており、開業時より訪問診療のニーズが高まっていることを感じます。
Q: 入職される先生は訪問診療のみの担当となるのでしょうか。

田中 先生
外来をやることは刺激にもなりますので、今いる先生も含め、週1回は外来を担当していただきます。外来専任の先生がいらっしゃるため、週に1回といっても半日で残りは訪問診療をお願いします。
常勤であれば週4日以上、非常勤であれば週1~3日など、勤務体制はご希望に応じて柔軟に対応したいと思っています。保育園の送迎時間に合わせた勤務時間の調整も可能です。
Q: 訪問診療後に16時頃の戻りを目指すとのことでしたが、残業はほとんどないのでしょうか?また、クリニックというと休みを取りにくいイメージがあるかと思います。調整など工夫されていることはありますか?
田中 先生
スタッフに残業が発生しないよう、気をつかっています。定期訪問を16時ぐらいまでに終わらせることで18時頃に退勤できるスケジュールにしています。緊急往診が入るとどこかでずれ込む可能性があるので、時間に多少余裕を持たせています。
18時からは別途待機の先生を雇っており、また、オンコールに関しても3、4名ほどの非常勤医師でまわしているので夜間対応はありません。入職してくださる先生がオンコール対応を希望される場合は別途手当をつけさせていただきます。平均的なオンコール出動回数は、平日は0か1、土日は0から3です。
休みの調整に関してですが、有給は皆さん消化しています。まとまった休みも1か月位前までに伝えていただければ調整可能です。訪問スケジュールを別の週に振り分けるなど、予定が調整しやすい点も訪問診療のいいところですね。
Q: 職場の環境づくりで意識されていることはありますか?

田中 先生
僕は「人に投資する」ことをコンセプトにしていて、医療機器などに過剰投資するのではなく、投資するところは人だと考えています。
例えば、売り上げは人件費、諸経費やその他諸々、利益 の3等分とし、既定の利益率を超えた分はすべてボーナスで還元します。理事長や理事長が利益を持っていってしまうのではスタッフのモチベーションが低下しますし、売り上げの何割を人件費にまわすなどと決めることがスタッフとの信頼関係だと思うんです。そこは開業当初からこだわりをもっていて、分配装置としての法人であることを意識しています。
もうひとつ、各科の医師の裁量はすごく重視していますね。医師の裁量を尊重することは医師のモチベーションにもつながると考えています。使いたいという薬に対して、クリニックの方針でダメだと止めることはありません。手技や新薬など、新しいことにチャレンジしていただきたいですし、責任は僕が取ります。
Q: 採用基準に年齢や専門は関係しますか?

田中 先生
年齢や専門によって採用を見送ることはありません。クリニックは横並びの組織だと思っているので、若い先生にも積極的に来ていただきたいです。3~5年目くらいの先生ならフォローさせていただきますし、年上の先生には経験を教えていただきたいと思っています。
転科についても問題ありません。訪問診療に不安がある場合は同行も可能です。将来的に開業したいという希望があるのなら、私が教えられることはお伝えしたいです。若い先生が頑張っている姿は元気をもらえますし、一緒にワクワクしたいですね。
Q: 最後に、今後のビジョンを教えてください。

田中 先生
目指すビジョンは、尾張地区で1,000人ほどの患者さんを診ることです。現在、西区と一宮に拠点がありますが、近隣にもう数拠点あればさらにスタッフの負担を軽減できると思うんです。救急往診や急遽休みが必要なスタッフが出た場合に別の拠点からヘルプに入るといった連携を図れる、働きやすい環境を作っていきたいです。それによって医療の質も上がり、良い人が集まる良い循環ができるのかなと。
訪問診療はチーム医療ですので、人と携わることが好きな先生、チャレンジ精神のある先生に来ていただきたいですね。楽しいクリニックを一緒に作っていきたいです。
分院で働く医師にもインタビュー
2024年より分院で働く医師に、入職の経緯や勤務環境について質問。やりがいなども伺いました。
Q: 先生の専門は外科だとお伺いしました。どのようなきっかけで入職を決めたのでしょうか。

東海地方の大学で長年外科に携わっていたのですが、ほかの分野も勉強したいと思い、入職を決めました。また、同じように外科から訪問診療へと進んだ友人が「患者さんがさまざまで医学的に面白い」と話をしていて、それもきっかけになりました。
Q:異なる分野ということで、ご苦労されたことも多いのでは?
入職してまず驚いたのは、書類の種類が病院とはまったく違うことです。初めてのことばかりでしたが、理事長が手の空いているときに来て、丁寧に教えてくださりました。フットワークがすごく軽い方なんです。手取り足取り教えていただけて安心でした。
訪問診療に関しては最初のうちは同行してもらえるので、未経験の方はお願いするといいと思います。
Q:診療で以前のご経験が活きたこともありましたか?

以前の職場では悪性腫瘍の患者さんが多くいらっしゃったのですが、手術だけでなく術後の薬物療養などのフォロー、再発時の対応、ご本人やご家族への病状説明と、長期間コミュニケーションをとることが常でした。そうした経験は活きていると思います。日本は手術して終わりではないので、おそらく外科の先生は皆さん当てはまるのではないでしょうか。
Q:勤務環境はいかがですか?
週4日の勤務で、ほぼ時間通りに終わっています。すごく忙しい日と比較的時間がある日と波がありますが、メリハリがあって良いと感じています。
また、スタッフも話しやすいですし、風通しの良い職場です。僕が話を聞いた先輩は有休をすべて消化していると話されていたので、休みも取りやすいと思います。
Q:どんなところにやりがいを感じますか?

患者さんには神経系の病気をもつ方もいらっしゃるのですが、これまでの専門と異なるため勉強しましたね。薬に対する反応も興味深く、医学的な関心が高まりました。
コントロールが難しくなっている患者さんへの対応など、戸惑うことは今もあります。そうしたとき、理事長に相談すると駆けつけて教えてくださるので助かっています。本院とは距離が離れているのですが、理事長は「いつでも連絡してください」と言ってくださり、とても心強いです。
メドタウンたなかファミリークリニックでは一緒に働いてくれる医師を募集しています。

〒491-0201
愛知県一宮市奥町字宮前44-1
TEL:0586-85-6577
イメージ写真一覧
メドタウンたなかファミリークリニック
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