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2024.12.04

書評『これ一冊で 小外科、完全攻略』

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

書評『これ一冊で 小外科、完全攻略』

  • 患者の外傷処置やマイナーエマージェンシーに対して、適切な処置ができるか不安だな…
  • 夜勤中に突然やってくる外科系の緊急対応にどう対応しよう…?

研修医が終わり、いざ一人当直となった際には、「手技を必要とする緊急疾患」に対して不安を持つ方も多いと思います。

私も、当直で夜間に突然運び込まれる患者さんに対して、どのように対応すれば良いのか、初めの頃は不安でいっぱいでした。

この度、救急科から整形外科へと新たな領域で専攻医を始めるにあたり、外科系当直の知識を改めて整理しておきたいと思い、ついに出会ったのがこの一冊です。

本書を読むことで、外科系当直における悩ましい症例も、自信を持って対応することができるようになります!

今回、救急当直で役立つ知識と外科系の手技・処置法を体系的に学ぶことができる必読の一冊として自信を持っておすすめするのがこちらです。

これ一冊で 小外科、完全攻略
これ一冊で 小外科、完全攻略
許 勝栄 (編集)/ 日本医事新報社 発行
価格:2,700円(税込)
発刊:2014/11/10
Amazon

書評『これ一冊で 小外科、完全攻略』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴と本書で学べること
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
救急科や外科系の当直に関わる医師
研修医、内科医で全科当直にあたっており、実践的な手技や処置法に興味がある先生

【推定読了時間】
10時間程度

2.本書の特徴と本書で学べること

本書は、許 勝栄 先生が執筆・編集された、

【本書の特徴】
●ステップごとの具体的な手技と処置法を解説
●小さな外科(小外科)とも言える、外科当直で役立つ手技に特化している

が特徴の一冊です。

本書を読むことで学べる項目は、特徴的なものをピックアップすると、このようになります

【本書で学べること】
●日々遭遇する疾患へのいざ処置を行うにあたっての必要なステップ
●マイナーエマージェンシーへの具体的な対応方法
●豊富な当直経験に裏打ちされた、頼れる知識や知恵

これらは研修医の先生方や外科当直を行う機会のある先生方にとっては、今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。

3.個人的総評

本書の特徴はなんと言っても、外科系当直における実践的な知識と手技を学ぶことに特化した書籍という点でしょう。

名前にもある「小外科」とは、いわゆる外科系の当直をしている時に出合うウォークインなどで扱う外傷やマイナーエマージェンシーの分野のことです。

外科当直において、診察だけでなく処置が必要となる場面は少なくありません。

本書は、経験豊富な執筆陣の先生方が実際に臨床で実践されている、経験に裏打ちされた知識や知恵が、それぞれの項目にぎっしり詰まっています。

私自身、今でも処置の前に本書で振り返ったりすることがあり、まさにいざというときにさっと参照するのに役立つ、頼れる辞書のような書籍だと感じています。

一読しただけでは習得しきれないこともあり、何度も読み返すことで味が出るような渋い一冊です。

個人的には「鎮痛と鎮静」の項目が特におすすめです。

筆者の必勝パターンとして実際にどのように個別性の高い患者さんに対応しているかが試験を交えながら記載されているため、非常に活用しやすいと感じました。

鎮静・鎮痛に関してはガイドラインがあるものの、各施設で使いやすい薬剤や診療科によっても使いやすさが異なるため、実臨床での感覚がアウトプットされている書籍は非常に貴重だと思います。

この書籍を通読してから2年ほど経ちますが、改めて手技のコツやポイントを確認することも多く、本当におすすめの内容が詰まっていますね!

一方で、10年前の書籍であるため仕方ないのですが、一部の古いガイドラインに基づく記述があり、最新情報とのギャップには注意が必要です。

例えば、熱傷処置などに関して現在のガイドラインや外用薬の使い方とは少し異なる部分も散見されます。

それぞれの手技のポイントをしっかりと学びつつ、より詳しく学びたい方は、最新のガイドラインや同様のコンセプトを持つマイナーエマージェンシーの書籍で勉強すると良いでしょう。

これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は、

本書は救急当直で役立つ知識と外科系の手技・処置法を体系的に学ぶことができる必読の一冊である!

と感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●目次を参考に、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼るのも良いでしょう)
●興味のある分野を目次を通じてつまみ食い感覚で読んでみる
●経験した症例の前後でじっくり参照して学習!

個人的におすすめの使い方をご紹介します。

著者個人の意見としては、辞書的に用いるのが良いと感じました。

本書は約270ページのボリュームがあり、通読するとやや分量が多くなります。

それぞれの内容に関しても、項目同士でつながりがない部分があるので、各項目をパラパラと読み進める形でも良いかと思います。

自分自身が悩んだ経験のある症例や、現在診療している患者さんの主訴に合わせて目次を参考にして参照すると良いでしょう。

私自身、2年前に一度通読したものの、その後何度も参照して勉強し直しています。

もちろん時間に余裕があれば、一度さっと通読して、「どこにどのような内容が書かれているか」を理解した上で活用すると、より辞書的な使い方がしやすいと感じました。

そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。

5.まとめ

本書は救急当直で役立つ知識と外科系の手技・処置法を体系的に学ぶことができる必読の一冊である!

まとめると、本書は外科系当直における手技と処置についてじっくり学ぶことができるので、外科系医師や研修医には本当におすすめの一冊です。

この医学書を通じて学ぶことで、当直における外科系の緊急対応に自信を持って取り組むことができます!

今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎

以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 これ一冊で 小外科、完全攻略
許 勝栄 (編集)
出版社:日本医事新報社
発行年月日:2014年11月10日
ターゲット層

●救急科や外科系の当直に関わる医師
●研修医、内科医で全科当直にあたっており、実践的な手技や処置法に興味がある先生

推定読了時間

10時間程度

本書の特徴

●ステップごとの具体的な手技と処置法を解説
●小さな外科(小外科)とも言える、外科当直で役立つ手技に特化している

本書で学べること

●日々遭遇する疾患へのいざ処置を行うにあたっての必要なステップ
●マイナーエマージェンシーへの具体的な対応方法
●豊富な当直経験に裏打ちされた、頼れる知識や知恵

評価
購入先 これ一冊で 小外科、完全攻略

本書の読み方・活用方法

●目次を参考に、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼るのも良いでしょう)
●興味のある分野を目次を通じてつまみ食い感覚で読んでみる
●経験した症例の前後でじっくり参照して学習!

本書のまとめ 本書は救急当直で役立つ知識と外科系の手技・処置法を体系的に学ぶことができる必読の一冊である!

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★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

<プロフィール>

三谷 雄己先生

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
X https://x.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

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