記事・インタビュー
あたたかな日差しが差し込む院内、四季の草花に彩られるテラス。2012年に北海道江別市に開院した「江別すずらん病院」は、そんな開放的な雰囲気に包まれた精神科病院です。医局にしばられず、さまざまな出身の医師が集まった院内は、職員間の風通しも抜群。慣例にとらわれない江別すずらん病院で、あなたの夢にチャレンジしてみませんか。
<お話を伺った先生>
Q:はじめに、安田先生が精神科医を目指したきっかけを教えてください。
安田 先生
私は北海道大学の医学部を卒業したのですが、北大に入る前は大阪外国語大学(現、大阪大学外語学部)のロシア語科に在学していました。
精神科医を目指したきっかけは、大阪外語大での卒業論文のテーマに、ロシアを代表する作家、アントン・チェーホフの作品論を取り上げたことにあります。
精神科医でもあるチェーホフの作品を、精神科医の視点から見たらどう感じるかということに興味が湧いたのです。そこで、卒業後に北大の医学部に入り直し、精神科の道に進みました。ただ、精神科医から見たチェーホフの作品論については、まだこれから…というところです。
Q:どのような経緯で江別すずらん病院へ入職されたのですか?
安田 先生
市立札幌病院静療院(現、市立札幌病院精神医療センター)で28年間勤務し、院長として定年退職を迎えたことを機に、当院へ入職しました。
当院が開院する前、理事長の伊藤先生が法人内でクリニックを開設するようだという噂があったんです。時期としては私が定年する一年ほど前でした。ちょうどその頃、伊藤先生が開院の挨拶に来てくださったので、定年後にクリニックで雇ってもらえないかと伺ったんです。そうしたら「クリニックを開設する予定はないが、うちの病院で院長をしないか」というお話をいただきまして。それがきっかけとなり、今に至ります。
Q:江別すずらん病院の概要を教えてください。
安田 先生
当院は、法人の母体である美唄病院(前、美唄希望ヶ丘病院)が移転してできた病院となります。2012年に江別すずらん病院として開院いたしました。
精神科急性期治療病棟と精神科療養病棟、認知症専門の病棟を有しています。
Q:一日の平均患者数やおおよその勤務スケジュールを教えていただけますか?
安田 先生
外来の患者さんの数は、一日100名ほどです。多い日は再来患者さんだけで140名ぐらいになることもあります。救急搬送(救急対応)は、月に数件ほどです。
一日の勤務スケジュールは、週4、5日の勤務で、早番でない限りは8時半から45分頃に出勤し、17時10分に退勤となります。早番は週1回ないし2回ぐらいです。残業はありません。外来は新患1コマ、再来は2コマを担当します。病棟は先生にもよりますが、20~30名ほど受けもっています。
当直は平日のみ決まった曜日に入ってもらい、土日と祝日は外部の先生にお願いしています。もちろん、どうしても都合が悪かったり、そもそも当直が難しかったりというときは、遠慮なく相談してください。
Q:江別すずらん病院ならではの働きやすさは、どんなところだとお考えですか?
安田 先生
医局によるしがらみがないところですかね。
現在精神科7名、内科1名の医師が常勤しているのですが、本州も含め、多様な大学から来ていただいています。ホームページの求人情報などから応募される方が多く、特定の医局に偏っていないことが当院の特徴です。
また、先ほども申し上げたように2012年に開院と歴史が浅いため、良くも悪くも伝統のようなものがありません。そのため、「以前はこうだったから…」という縛りもありませんし、プライベートにまで深く関わる…といったこともありません。
慣例に縛られず、自由でフレキシブル。お互いに程よい距離感があることは、働きやすさにもつながっていると感じています。
Q:ホームページに、産休・育休を取得した男性の先生のインタビューが掲載されていました。子育て中の先生も働きやすい環境が整っているのでしょうか?
安田 先生
産休・育休の取得はウェルカムです。敷地内に保育園があるので、小さなお子さんがいる医師も働きやすいかと思います。
産休・育休を取得した先生のインタビュー記事はこちら>>
(江別すずらん病院のホームページへ)
Q:指定医を取得していないと入職は難しいですか?
安田 先生
そんなことはありません。指定医であることが望ましいところではありますが、当院で指定医を取得するという前提であれば可能です。
措置入院は年間数例入りますし、脳器質性精神疾患に関しても当院には認知症の病棟があるため、必ず患者さんを受け持ってもらうことになります。また、児童思春期も専門の医師がいるので、指定医を取得するにあたっての 症例数に事欠くことはありません。
Q:今後の展望を教えてください。
安田 先生
展望は3つあり、まずひとつは児童思春期から高齢者にいたるまで、 各世代にまたがって広範囲に診療できる精神科病院でありたいという想いがあります。
2つ目は緊急患者の受け皿になることです。昨今、病院やクリニックの受診は予約制になっているため、夜間や休日の救急体制はあっても、平日の日中は救急に対応していないというケースが多いんです。また、札幌から東にある自治体は、緊急で医療を受けようと札幌に向かう場合、江別を通過していきます。
当院では、各曜日、日中の緊急患者に対応する医師を当番制で決めていて、できるだけ断らず受け入れるという体制をとっています。各地方からの救急患者の受け皿としての役割を果たしていきたいと考えています。
3つ目は症例を通して、お互いにスキルアップすることです。医師や臨床心理士、ときには看護師も加わりディスカッションを重ね、多彩な角度からひとつの症例を検討できるような、そんな職場の風土を築きたいと思っています。
Q:最後に、どんな先生と一緒に働きたいですか?
安田 先生
何事にも前向きにチャレンジする方に来ていただきたいです。
当院は歴史が浅いため、新しい事業を立ち上げるといったことに対しても、理事長をはじめとして皆抵抗がありません。「これは過去にうまくいかなかったからやめたほうがいいのでは?」というような発想が職員にも、管理者にもないんです。新しい事業、新しい治療法などにチャレンジするといった夢のある医師だといいですね。
安田 素次
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