記事・インタビュー

2023.11.16

若き院長2人が見通す在宅医療の魅力と未来

案件番号:23_AM005 医療機関名:天王山草野クリニック

高齢化社会の到来によりますます重要性が高まっている在宅医療。その魅力と未来について、京都と大阪の府境にある“天王山草野クリニック”の草野院長と、関西を拠点に在宅医療を展開する”医療法人おひさま会 おひさまクリニック”の稲岡院長に伺いました。

天王山草野クリニックの魅力

  • 医療空白地帯を支える在宅診療クリニックで「あなたにちょうど良い診療スタイル」が学べる
  • 外来診療、精神医療など豊富なメニューで患者を支援
  • オンコール呼び出しが少ない診療システム。ワークライフバランス取りながら働くことが可能です。
  • 開業2年の若き院長が、開業ノウハウをじっくり伝授

医療法人 おひさま会の魅力

  • 「伴走医療」に共感する在籍医師多数、切磋琢磨でスキルを研鑽
  • 教育システムが充実し、在宅医療専門医取得は2年で完結
  • 多職種での連携や、新しいツールを積極採用し、医師の負担軽減
  • 週4日勤務、在宅勤務可、勤務地選択でフレキシブルに働ける

<お話を伺った方>

草野 超夫(くさの たつお)
天王山草野クリニック 院長
京都府立医科大学卒業、家庭医療専門医、指導医

京都民医連中央病院、京都家庭医療学センター、おひさま会等を経て2021年に開院。

 

稲岡 雄太(いなおか ゆうた)
医療法人おひさま会 おひさまクリニック 院長
高知大学卒業、家庭医療専門医、指導医

CFMD(家庭医療学開発センター)のレジデンシー・近畿を終了。
加古川の有床診療所を経て“医療法人 おひさま会”に入職。
Q:在宅医療の課題と未来についてお二人にお話しいただきます。まず医師になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 草野 先生 

高校3年生の時に父が倒れて自宅で介護するようになり、往診してくれるお医者さんっていいなと思い、医師になろうと思いました。

 稲岡 先生 

僕も高校3年生で志望を決めました。ガンダムのような人型ロボットを作りたかったんですけど、現実的じゃないと気づいて医療の道へ。町医者を目指して今はここにいます。

Q:在宅医療の魅力と課題についてざっくばらんにお話ください。

 草野 先生 

在宅医療の魅力は、患者さんの地域とのかかわりや家庭環境などの背景を総合的に診られる点です。

診療や診断を妨げる原因が背景にあることも多く、それを見つけて治療できたときの喜びは大きいですね。病院で誤診されていた寝たきりの方が歩けるようになられたときは、ご家族から“魔法使い”と呼んでもらえたりしましたね。

 稲岡 先生 

在宅診療所は徐々に増えていますが、開業医の先生がお一人ですべてを行うことで疲弊したり、経験や知識が不足していたりで、継続性や継承性がないことが問題です。

おひさま会のシステムは、在宅医療の未来にとって一つの答えになると思います。

Q:開業を目指す先生が増えると予想されます。開業のタイミングなどありますか。

 草野 先生 

経験者として言いますが、開業するなら早いほうがいいです。「専門医をとってから」と考える方が多いのですが、それと並行して自分のエリアを考えていくほうがいい。何事も先行者が有利なので。

私がこの京都府山崎という場所を選んだのは、地域に医療機関が少なく住民が困っていたからなんですけど、都会と違って駅前のテナントもなく、空き地を探すところから始めなきゃいけなかった。開業医が少ないところには開業しにくい理由があるんです。

 稲岡 先生 

草野先生は開業のロールモデルになるんじゃないかな。構想を着実に実行されていて、勇気付けられるしかっこいいです。

開業までのお話も面白いですよ。ここでは話しきれないので、興味のある方はぜひ会って直接伺ってください。

Q:在宅医療の未来について。お二人の見解はいかがでしょうか。

 草野 先生 

未来ではドローンや、空飛ぶ車で山も川もビューンと飛び越えて行けるようになったら楽ですね。在宅医療を行う医療機関では、移動は重要なファクターなので。

往診の予約時間に2~3時間遅れても平気な医者が多いですが、時間を守れないクリニックは今後、淘汰されると思います。

 稲岡 先生 

その他でも、つい近い未来では医師の仕事の多くがAIに代用されているかもしれません。

最近のChatGPTなどの生成AIも出てきていますし、在宅医は医療情報だけでなく、ハード面のアップデートも常に行っていく必要がありますね。

 草野 先生 

そうなった場合、我々に残される仕事は何でしょうね。患者さんから「話を聞いてほしい」「聴診器を当ててほしい」っていう二―ズは残るかもしれない。

 稲岡 先生 

それは案外侮れませんね。患者さんの気持ちの問題だから。AIが得意なのは過去のデータから答えを出す作業です。一方、僕らに残されるのは、答えのないものを何とか落とし込んでいく作業じゃないかな。限られた条件のなかで、患者さんが「いい人生だったなぁ」と思える時間をクリエイトする、クリエイターとしての医者が求められていくと思います。

Q:それぞれどういう先生と一緒に働きたいですか?

 草野 先生 

歳は特に問わないのですが、若い先生のほうがいいかもしれません。在宅診療は病院やクリニックの外来や病棟業務とまったく違うため、ベテランの方は今までの自分のやり方を変えるのに苦労することも多いイメージがあります。

 稲岡 先生 

僕は、病院で働いている先生にも来てほしいですね。常勤じゃなくても、週4日は病院勤務で週1日在宅診療とか。在宅医療の現場を知ることで退院後の姿をイメージしやすくなるし、病診連携も取りやすくなると思います。

 草野 先生 

在宅をされる先生には「地域を診る」という視点を磨いてほしいです。長年“家庭医療”を学んできて、世間の仕組みを知ることは大切だと強く感じました。医療はどんどん進化しています。クオリティを維持できないと、最悪の場合は倒産、閉院という未来が待っています。

 稲岡 先生 

採用面接に「今の職場がしんどいから来ました」って人がいるんですが、それはちょっと違いますよね。在宅には在宅の専門性とクオリティがある。訪問診療は保険点数が大きいんですよ。月2回の診察で約7万円の医療費が掛かる場合もあります。それだけの価値がある診療を提供できているかどうかは意識しないといけません。

 草野 先生 

在宅医療に限ったことではないですが、家庭医を目指す方、開業を考えている方がいらっしゃいましたら、一度見学にお越しください。

入職された際には、開業・経営のノウハウなどの部分も含めてお伝えできればと思います。

天王山草野クリニック公式HPはこちら
医療法人おひさま会公式HPはこちら

草野 超夫、稲岡 雄太

若き院長2人が見通す在宅医療の魅力と未来

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