記事・インタビュー
富山県南砺市エリアの医療・ケアを守るため、ドクターカーの運用や自治体病院で初のJCIの認証取得など、日々さまざまな取り組みに挑戦している南砺市民病院。
今回は、副院長の浦出雅昭先生と、外科医員の小川南欧先生に、南砺市民病院消化器外科の雰囲気や、若手医師を指導するうえで心がけていることについてお話を伺いました。
<お話を伺った方>
浦出 雅昭(うらで・まさあき)
【専門・認定】
日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器がん外科治療認定医
小川 南欧(おがわ・なお)
Q:先生方のご経歴を教えてください。
浦出先生
約14年前、当院の外科医2人と、南砺中央病院の医師1人の合計3人が同時期に病院を辞め、南砺市に外科医がひとりもいないという状況になった時期がありました。そのとき、金沢大学の医局から、私と若手の外科医に「ペアで行ってくれないか」とオファーがあったんです。
2人でやっている外科の病院は世界中でも少ないですし、麻酔の常勤医もいないので、難しさも感じましたが、やりがいがあるなとも思いました。なにより、外科医のいない病院では、市民の皆さんが不安を感じてしまいます。市民のためにも腕を振るいたいと、南砺市民病院への赴任を決めました。
小川先生
高校時代に卒業生のお話を聞く機会があり、その方が女医でした。それをきっかけに医師に興味をもち、外科医を目指して自治医科大学に入学しました。
現在は富山県での9年間の義務年限中で、今年、地域の病院に赴任する予定だったんです。そうしたなかで、偶然、南砺市民病院で外科医を募集していることを知り、入職を決めました。南砺市民病院には学生のときに訪れたことがあるのですが、その当時から地域に根付いた病院という良いイメージをもっています。
Q:南砺市民病院消化器外科の雰囲気はいかがでしょうか。
小川先生
入職して1週間たったところなのですが、浦出先生がすごくユーモラスで、手術のことも、それ以外のこともすごく相談しやすいです。
また、昨年までなら途中交代となっていたような手術を最後までやらせていただけるのもありがたいです。
浦出先生
1件目が虫垂炎、2件目がヘルニアの手術だったのですが、小川先生には2例とも腹腔鏡で最後までやってもらいました。消化器外科領域ならなんでもわかる医師になってほしいと思い、そのようにしています。
また、雰囲気という点では、消化器内科との関係性も良いですね。小川先生も、すでに消化器内科医とも仲良くしています。内科で大きな検査があるときは一緒に見学に行っていますし、内科のカンファレンスには小川先生が参加しています。オペ室のナース、病理の技師との連携もとれていますよ。
Q:浦出先生が若手へ指導するうえで意識していることはございますか?
浦出先生
私はなるべく執刀せず、若い医師が全症例の主治医と執刀医をやるようにしています。
症例としては、若い医師が行なえるような手術がほとんどで、大学病院レベルのものは行なっていません。当院はJCI認証取得病院ということで身構えてしまう方もいるかもしれないのですが、決してその必要はありません。
Q:南砺市民病院の消化器外科で働くメリットは、どのようなことだとお考えですか?
浦出先生
ここは過疎地ということもあって、症例は比較的多いんです。全身麻酔だけで、多いときには110から150例ぐらいあり、それらすべてを若い医者に執刀させています。執刀チャンスが豊富な分、腕がメキメキ上がりますよ。消化器外科専門医になるためには、学会発表や論文は欠かせないものですが、当院の消化器外科の症例数はその点においてもメリットです。文武両道を果たさなくてはならないので、めずらしい症例のケースレポートは積極的に行なっています。数ヶ月働いた研修医が閉鎖孔ヘルニアの症例を論文にしたこともありましたね。
また、当院の特徴として、総合診療の独自プロジェクトがあり、総合診療を学びたいという医師が日本各地から集まることがあげられます。さまざまな医師と関われることは、外科医にとっても刺激だと思います。
Q:どんな先生に来てほしいですか?
浦出先生
向上心のある先生に来ていただきたいです。手術が好きで、手先が器用、根気強い先生だといいですね。先程もお話ししましたが、関われる症例数が多いので、数をこなしたいという先生には、良い環境だと思います。
浦出 雅昭、小川 南欧
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