記事・インタビュー

2020.10.28

母として、医師として、輝き続けるために ~住みやすさ日本一、福井県の就労・復職・育児支援などの取り組み~

福井県医師会に設置された「ふくい女性医師支援センター」。ここでは、女性医師のネットワークづくりや就労継続、復職、育児支援に加え、キャリアアップに関する相談なども行っています。
「福井県医師会女性医師支援委員会」の委員長を務める里見 裕之先生のもとに県内の医師3名が集まり、福井県ならではの子育てサポート体制や働きやすさなどについて語り合っていただきました。

<対談に参加された先生方>

里見 裕之(さとみ・ひろゆき)
福井県済生会病院 産婦人科医長
福井県医師会女性医師支援委員会 委員長

奈良県出身、福井医科大学卒。学生時代から約30年間、福井県に在住。

赤澤 悠(あかざわ・ゆう)
福井大学医学部附属病院 第二内科医員

愛知県出身、福井大学医学部卒。初期研修は地元で行い、3年目からは福井大学医学部附属病院 第二内科に入局。消化器内科を専門として、共働きで5歳の娘さんのお父さん。

石川 さやか(いしかわ・さやか)
福井県済生会病院 小児科医長

石川県出身、新潟大学医学部卒。金沢と富山で研修を行った後、金沢大学の医局に入局。ご主人が福井県に来るのを機に、現病院に勤務。さまざまな制度を利用して、三人のお子さんの育児に奮闘中。

里見 聡子(さとみ・さとこ)
福井赤十字病院 消化器内科 副部長
ふくい女性医師支援センター コーディネーター

千葉県出身、福井医科大学卒。複数の病院で、キャリアアップを図り、学位を取得後、現病院に入職。両家の協力を得て、二人のお子さんの育児と仕事を両立されています。ご主人は里見 裕之先生。

復職支援プログラム ~育児休業中に、週2日から働けます

里見(裕):本日は、お集まりいただきありがとうございます。私自身、福井に暮らして約30年、都会に比べて子育てがしやすいと感じているのですが、皆さんはどうですか。

里見(聡):私の場合、県外出身だったので、最初はどのような子育て支援があるのか全く分からない状態でしたが、いろいろ自分で調べたところ、福井県は子育てのためのサポートシステムが非常に整っているなど、医師に限らず女性が働きやすい環境があることを知りました。当時は全国で女性が最も仕事をしているのは福井県だと言われていて、今も福井県の待機児童はゼロ。実際、保育園も充実していて、希望通りのところに子どもを預けられたし、周囲のお母さんたちから便利な情報をたくさん得られたことも、ありがたかったです。

里見(裕):石川先生も県内・県外でご出産されましたが、福井県ならではと思ったことがあれば教えてください。

石川:福井県済生会病院には3歳までの子どもを24時間預かってくれる施設(ぽっかぽか園)が隣にあって、当直の日は1日中子どもを預けられたので非常に助かりました。ちょうど上の子が保育園に入ったところで二人目を妊娠。お休みを取り、そろそろ復職という時に、上司の先生から医師会が推奨する復職支援プログラムのお話をいただきました。それは、1カ月間、週2回ほど子どもを一時預かりしてくれる保育園枠を利用して、週2回外来のお手伝いから始めるというもの。少し遠ざかっていた最新医療情報や手技などに自分を慣らすことができたので、スムーズに仕事に戻れました。

里見(裕):福井県は行政と医師会の風通しが良いので、そうした支援情報が伝わりやすかったのかもしれませんね。

石川:福井県では、熱が出た時によく利用していた病児保育(愛育ちびっ子ハウス)も、充実しています。当日お願いしても、インフルエンザの場合でも、すぐに預かってくれるのでとても心強いです。三人目も今、同じ復職支援プログラムを利用して保育園に預けているのですが、都会の場合は時短勤務だと保育園に入れなかったり、常勤でも子どもを預けられるとは限りません。そうした不安がないのも、福井県ならではですね。

里見(裕):復職支援プログラムは、病院に対しても、医師が常勤のまま、多様性のある働き方ができる制度なので、ありがたいですよね。赤澤先生の奥さんも子育て中ですが、いかがですか。

赤澤:妻は今、地域の総合病院で脳神経外科の常勤医をしています。病院の近くには妻の実家があり、しかも病院からたった5分の距離。このように、子どもが生まれた時から脳神経外科の教授が配慮してくださったおかげで、私たちが働いている間、妻の母親が子どもを見てくれています。

里見(裕):私たちもそれぞれの医局の教授が夫婦で離れ離れにならないよう配慮してくださったことがありますし、それぞれの両親に交代で自宅に来てもらって子育てを手伝ってもらいました。

赤澤:わが家の場合、妻の母親にかなり助けられているので本当に感謝しています。福井県では、家族の縦のつながりを大事にするので共働きの文化は整っているのかなと感じています。

「ふくい女性医師支援センター」では特に県外出身者もサポート

里見(聡):少し話は変わりますが、今から10年くらい前だったでしょうか。私のように県外出身の女性医師が増えてきたため、福井県と医師会が協力して「ふくい女性医師支援センター」を設立してくださいました。私もコーディネーターとしてお手伝いをしております。ここではキャリアの豊富な女性医師がコーディネーターとなって、利用できる施設や制度、キャリアアップのアドバイスしてくれます。石川先生が利用された復職支援プログラムも、このセンターを通してできたシステムです。2年くらい前には、子育て関連のあらゆる情報を掲載した『ドクター応援ハンドブック』も発行しています。

福井県でアオッサ(会いましょう)

里見(裕):最後に皆さんから、福井県で働きたいと考えている先生方にメッセージをいただけますか。

赤澤:医師になって9年目。福井県に来てから、消化器内科の医局でいろいろな臨床経験を積んだり、県外で研究もさせていただくなど、充実した毎日を送っています。最先端医療についても学べ、患者さんに還元することができるなど、都会に引けを取らないキャリアを築けますので、多くの医師に来ていただきたいですね。

石川:子育てはずっと続くわけではなく、少しずつ離れていくもの。しんどい時期もありますが、さまざまな制度や支援を活用させていただき、できることをやりながら、細く長くキャリアを積んでいきたいと思っています。幸い福井県には、そうした制度や支援がたくさんありますので、子育てと仕事を両立されている先生方を見習って、私も頑張っていくつもりです。ぜひ一緒に働きませんか。

里見(聡):自分が本当にやりたいことを選んで、責任を持って取り組んでいけば、周囲の手を借りたり、支援制度などを利用しながら最後まで踏ん張っていけると思います。私自身も好きな消化器内科を選んだからこそ、20数年も続けてこられたのだと思います。福井県には子育てと仕事の両立においてロールモデルとなる女性医師も多数おりますので、これらの先生に相談しながら、自身の好きな道を貫いていってほしいですね。

里見(裕):私も皆さんがおっしゃるように、ぜひ好きなことを続けてほしい、と伝えたいですね。私も福井が好きで、福井で働き続けられることが幸せですし、最終的に医局や働いている病院を利用して、患者さんに還元できるのが一番だと思いますので、ぜひご自身が好きなことを続けていってください。本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

里見 裕之、赤澤 悠、石川 さやか、里見 聡子

母として、医師として、輝き続けるために ~住みやすさ日本一、福井県の就労・復職・育児支援などの取り組み~

< 前へ
一覧へ戻る
次へ >