記事・インタビュー
国立や公立(自治体)の医療機関などに公務員として勤務する医師の「定年」は65歳であり、民間病院によっても医師をはじめ職員の定年制度を設けているところがあります。しかし、医師という職業は、一度医師免許を取得すれば年齢に捉われることなく一生仕事を続けることができます。常に社会から必要とされている職種であり、70歳を超えても現役で活躍している医師は多くいます。つまり、医師は定年制度のある医療機関に勤めていても、定年後も医師としてのキャリアを継続させることは充分可能な職業です。むしろ、60歳を契機に、「老後を視野にいれた転職」を考えてみてはいかがでしょうか。
そこで今回は「シニアドクターの転職」をテーマに、転職や働き方について解説していきたいと思います。
医師は定年後も活躍できる職業
一般に、民間企業に勤める人が高齢になってから転職や再就職をする場合、果たしてそれまでと「同じ職種」で「同等の年収」で就職することができるでしょうか。答えは、極めて限られた人を除き、ノーです。年収ダウンはもとより、職種も限定され、社員ではなくアルバイト、それどころか転職先の確保さえ難しいのが現実です。しかし、医師は年齢に関係なく働く場所を確保しやすく、自分が現役でいたいと思っている限りキャリアを継続し、しかも高水準で安定した収入を得ることが可能な職業です。
参考までに、60歳以上のシニアドクターの平均年収を紹介します。
60歳~64歳 | 男性医師: 1,809.2万円 |
女性医師: 1,361.7万円 |
|
65歳~69歳 | 男性医師: 1,527.3万円 |
女性医師: 1,264.3万円 |
|
70歳~ | 男性医師: 1,380.2万円 |
女性医師: 1,260.2万円 |
参考:厚生労働省 平成30年 賃金構造基本統計調査の統計データより
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
シニアドクターが求められる理由
インターネットで「医師」「60歳」「求人」と検索をしてみると、「60歳以上OK」の求人が数多く出てきます。条件面では、ほとんどが年収1,000万円以上で1,500万~2,000万円も少なくなく、「当直回数応相談」や「当直なし」「週4日勤務可」「オンコールなし」といった勤務体制も多く見受けられます。勤務医のほかに「施設長」や「院長」としての募集があることもシニアドクター求人の特徴です。シニアドクターの経験知や対応力は、若手医師や中堅医師にはない大きな魅力であり、スタッフをまとめる能力なども雇用側が求めているからです。
シニアドクターとして活躍する
それでは、シニアドクターとして活躍するための転職先や働き方をいくつか紹介しましょう。
勤務医として活躍する
若手医師や中堅医師と比べて求人数は落ちるものの、臨床医としてシニアドクターを求める医療機関は常に多くあります。特に慢性的な医師不足にある地域では、年齢に関係なく医師を募集しています。超高齢化社会では老健施設、在宅医療・訪問診療の患者も多く、そのほとんどの患者が複数の病気を抱えているため、医師としての経験知と患者対応力のあるシニアドクターが求められているのです。
病院長・施設長として活躍する
先に述べましたが、シニアドクター求人の特徴の一つが、病院長や施設長など管理者としての募集です。介護老人保健施設や介護療養型医療施設、介護老人福祉施設、また介護施設を併設している病院などでは、シニアドクターの施設長や病院長を募集しています。手技の経験知だけでなく、患者さんへの対応力や精神的ケア、さらに病院長や施設長としてスタッフたちをまとめて管理する能力が求められるため、シニアドクターの力が大きく必要とされています。
開業して活躍する
今までの経験を活かして開業するという選択肢もあります。院長や老健の施設長になると、どうしても診療の最前線から距離が離れてしまうため、診療の最前線にいたいのであれば開業するのもいいでしょう。思い切ってそれまでの居住地から故郷や憧れの地に移住して、そこで生活をしながら開業することも第二のキャリアとして魅力的です。しかもそこが医師不足の地域なら、大きな社会貢献にもなります。さらに現在、高齢化などの理由でクリニックを第三者に譲渡したいという開業医も増えており、そうしたクリニックを承継して開業するという考えもあります。そうすれば、開業にかかる費用を大きく抑えることも可能です。
地域医療の現場で活躍する
慢性的な医師不足にある都市部の周辺地域や、地方における地域医療の現場では、年齢に関係なく医師を広く募集していますが、中でも、経験豊富で即戦力となり、地域医療の現場を任せることができるシニアドクターを積極的に求めている地方自治体や医師会は少なくありません。そうした場所で働くことは、地域住民から大きく感謝され、やりがいも大きいでしょう。
シニアドクターが求められる診療科
シニアドクターが転職して活躍することは十分可能です。しかし、注意したいのは「診療科によっては難しい場合もある」ということです。
内科系のシニアドクターはその延長線上で活躍することが可能ですが、たとえば外科医は高齢になると体力が衰え、その高精細で高度な技術をどうしても維持できなくなります。シニアドクターが外科医として手術をバリバリこなすような活躍は難しいため、将来のキャリアパスを見据えて「途中で内科系に転科することも選択肢の一つ」だと思います。
また、それまで勤務していた医療機関が大学病院か市中病院かによっても異なってきます。市中病院の外科医は専門以外にも幅広い分野に対応していることが多いため、同じ外科系でもシニアドクターとして活躍の場は広くなります。
実際に、都市部の市中病院で外科部長として外来、手術、病棟と幅広く活躍していた医師が、60歳を前にとある地域の自治体ホームページを見て転職し、へき地で病院長として活躍している例があります。そこで外科医としての経験を活かし、もう何年も実施されていなかった外科手術を再開したことで、何時間も離れた病院に行く必要がなくなった地元住民たちから大変感謝をされています。
このように、それまでに経験したことのない新たなやりがいを得ることができるなど、シニアドクターのキャリアチェンジは大きな魅力にあふれているのです。
60歳を過ぎても医師として活躍したい!
このような思いをお持ちのシニアドクターは、ぜひ、「民間医局」メディカル・プリンシプル社にご相談ください。シニアドクターの力を必要とする豊富な求人はもちろん、一人ひとりの要望をお聞きし、第二のキャリアに最適な環境をお探しします。
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