記事・インタビュー

2018.08.01

クリニック開業前にフリーランス内視鏡医で得た経験

内視鏡検査

森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック
藤田 実

こんにちは。森ノ宮で内視鏡クリニックを開業した藤田 実といいます。
今回は、開業前にフリーランスの内視鏡医として働いていた経験を紹介したいと思います。

自己紹介

森ノ宮で内視鏡クリニック 藤田 実

私は平成16年に山梨医科大学を卒業し、医師となりました。地元の大阪に戻り医局に入り、初期研修と後期研修の5年を医局の関連である国立病院で、その後の3年を市立病院で勤務しました。その後フリーランス内視鏡医に転身し5年余りを活動し、平成28年8月に大阪の森ノ宮で内視鏡クリニックを開業しました。

フリーランスになった理由

理由はいろいろあるのですが、一番の理由は「将来、内視鏡クリニックの開業を見据えて」です。そのため、開業するにあたり、内視鏡医師として更に症例を積んで技術を向上させたかったのと、色んな場所で働き地域柄を見ておきたかったということがあります。市立病院で勤務した時は、後輩への指導で自分の症例が減ったり、当直、会議など内視鏡とは直接関係のない仕事が多くありました。(この生活を続けて開業できるのだろうか…)そんな思いが常にありました。そんな時、市立病院に大腸カメラのバイトで来ているフリーランスの先生に出会ったのです。「こんなキャリアプランがあるのか!」と衝撃を受け、自分もその道を選ぶことにしたのです。

仕事の見つけ方

私の場合は、仕事のほとんどは先輩からの紹介でした。その先輩というのは、同じ大学医局の先輩ではなく、内視鏡関連の研究会で個人的に知り合った、医局が異なる先生方です。同じ医局の勤務医の先輩に聞いてもアテはありませんし、また大学の医局に知られることになります(ちなみに、私は事前に人事担当である大学の医局長には話をしていました)。また紹介会社に依頼したのは、健診クリニックの1件だけでした。

フリーランスになる前は、仕事が見つからなかったらどうしよう、という漠然とした不安もありましたが、ふたを開けてみると月曜から土曜まで仕事がみっちり入っていました。

仕事の内容

胃カメラと大腸カメラ

基本的には、胃カメラと大腸カメラ(ポリープ切除含む)が主な仕事内容です。私の場合は、内視鏡手術(ERCP、ESD)やカテーテル治療(PTCD、PTGBD)なども要請があれば行っていました。手術はリスクが伴いますので、病院側のバックアップがあった上で行っていました。基本的には予定されている検査、治療ですので、朝9時~夕方5時には終わっていました。(手術の場合は7時まで長引くこともあります)

メリットとデメリット

1番のメリットは給料です。幸い、月曜から土曜まで仕事の依頼をいただき、初年度から勤務医の2倍はありました。(ちなみに給料は出来高で、1コマ当たり4~5万が相場です。)2番はQOLの向上です。当直もありませんし、病院からの呼び出しもありません。17時には仕事が終わることがほとんどでした。仕事も内視鏡関連に集中することができます。そして何よりも良かったのが、病院から「必要とされている」という充実感です。これは勤務医時代には感じたことのないやりがいでした。なにせ、まだ病院には内視鏡をする先生が足りません。当初3年したら開業しようと思っていましたが、5年あまりに長引いたのはこのためです。(「先生、辞めないで。」と言われると…)

逆に、デメリットとしては「身分の不安定」です。医師といえどもフリーランスですので、保険も国民健康保険になります。また病気やケガをしても誰も交代はいません。あとは、最先端の治療や知識からは遅れるということです(これは開業しても同じです)。

キャリアパスへの影響

私の場合、もともと「開業」という目標がありましたので、フリーランスになることはキャリアパスとずれるものではありませんでした。勤務先の病院の近くで開業するのであれば、(最低でも数年は)その病院で勤務し信頼を重ねることが一番なのですが、私の場合は勤務先の市立病院と、自分が開業したい場所が違っていました。いずれにせよ落下傘開業になることが予想されましたので、フリーランスになることに抵抗はありませんでした。

皆さんへのアドバイス

森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック

まずいえることは、フリーランスの内視鏡医として活動するなら技術を磨いておくことです。勤務医時代に多くの症例を経験し、色んな検査や治療を学んでおくことです。これは雇う側の目線で考えるとわかるのですが、胃カメラしかできない医師よりも、大腸カメラもできる医師のほうが雇いやすいのは自明のことだと思います。研修医時代の苦しく辛かった経験がここで活きました。

次に大事なことは、病院と良好な関係を築くことです。看護師さんとはもちろん、事務方とも信頼関係を築く必要があります。あまりにあれこれ条件を出すのも雇う側としては気をつかいますし、ほかにいい医師が見つかればクビになってしまうこともあります。(民間病院では、この光景を見ました)

そして最も大事なことは、自分が何をしたいのか、どういうキャリアを積みたいのか決めておくことです。フリーランスになるのは勇気が必要です。その時には「勤務医」という安定を捨てる覚悟が必要です。自分を信じて、自分の目標に向かって頑張ってほしいと思います。


藤田 実

藤田 実
卒業年度:2004年
勤務先:森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック

藤田 実

クリニック開業前にフリーランス内視鏡医で得た経験

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