記事・インタビュー
離島医療というと、交通や生活の不便、乏しい医療設備ばかりがイメージされますが、本当のところはどうなのでしょうか?
離島医療の特徴と魅力、得られるスキルなど、今回は医師の「離島での働き方」を紹介します。
離島は本当に不便なの?
離島で働く医師の方々に「赴任前と赴任した後での印象は?」と聞くと、ほとんどの医師の方が「生活に不便はなく、診療に困ることは特にない」という答えが返ってきます。
離島には医療機器が全くないイメージを持つ方も多いですが、レントゲン、心電図、エコー、血液検査ができる診療所も多く、なかにはCTなど高度医療機器や透析機器を導入している診療所もあります。
最近では専門外の診療もインターネットを介した遠隔支援による専門医からのアドバイスを受けることができ、重症患者にはヘリコプターや船などによる搬送体制が確立されているなど、働きやすい環境整備が進んでいます。
離島における医師の仕事
離島では、医師は一人だけという状況が多く、内科系、外科系、さらに小児科診療や場合によっては産婦人科診療まで幅広く対応し、重症や専門的治療が必要な患者にはドクターヘリ(島によっては自衛隊のヘリ)の要請や、船の手配をしなければなりません。
また、離島の医療資源には限界があるため、住民を病気にさせない、重症にさせないための予防医療活動や公衆衛生も重要な仕事となります。
【 離島医師の主な仕事 】
- 外来患者(全診療科)の診察
- 重症患者の搬送手配
- 患者の往診
- 予防接種
- 島民の健康管理・指導
- 保健、福祉活動
- 公衆衛生
- 小、中学校の学校医
- 島の企業の産業医としての役割 など
離島で働く4つの魅力とは?
① 総合診療能力の習得
これからの日本の超高齢化社会に求められるのは、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く診られる総合診療能力を有した医師と言われています。
離島では全ての診療科に対応するため、自然と総合診療能力を身に付けることができる環境にあり、離島医療には、これからの時代に必要な総合診療のノウハウが詰まっているといっても過言ではありません。離島医療では、高い総合診療能力と疾病予防、介護、看とり、地域の保健・福祉活動など、幅広い問題について適切な対応ができる能力を身に付けることができます。
② 医師としての大きな喜びとやりがい
離島では人口が少ない分、住民とはお互いの顔が見える関係になりやすいのが特徴です。
患者と外で会う機会もあり、その際、薬や治療の効果を教えてくれる患者もいるため診療に大きく活かすことができます。さらに、患者やそのご家族から感謝の言葉をかけられることも多く、なかには診療所へ島の果物や野菜、魚などの差し入れをするなど、医師を気にかけてくれる住民もいます。
離島医療は、自分の提供した医療の結果や病気予防などの取り組みの効果がダイレクトにわかるため、医師としてのやりがいと喜びも大きいのが特徴です。
③ 収入面での魅力
医師の年収はへき地に行くほど高額になる傾向があり、離島で働く医師の年収は、約1,500万円(月収約125万円)といわれ、ケースによっては2,000万円を超える場合もあるそうで、一般的な病院で働くよりも高待遇であるところが多いと言えます。
離島には宿舎が用意され、また娯楽やレジャーといった施設が乏しいため、お金が出ていくことが少なく貯金しやすいことも魅力です。
④ 島の生活を満喫する
離島の魅力はなんといっても豊かな自然環境です。休日にはスキューバダイビングや釣り、サイクルスポーツ、パラグライダー、ドライブ等を楽しむなど、海や緑を体いっぱいに感じながら、都会では決して味わうことができない贅沢で豊かな生活を送ることができます。
さらに祭りや運動会など島の行事に積極的に参加し、住民との触れ合いを楽しんでいる医師も多くいます。
離島での働き方は様々
離島医師の多くは自治体などから派遣され、勤務条件も定期的な休日をとりながら離島医療に従事しています。近年では、離島医師を養成する研修プログラムを提供する病院などもあり、若い医師や女性医師も離島医療に従事しているケースが多くあります。
自治体によっては離島での働き方も様々なものが用意されており、自分に離島医療ができるか試してみたい数週間の『体験型』や期間限定(数カ月間)の『アルバイト型』などもあります。
離島といっても、地域や島の人口によって医療施設の規模や設備環境、そして生活環境も異なり、働き方も様々です。離島医療に興味のある方は、まずは情報をしっかり集め、生活と働く上での注意点をしっかり理解することが大切です。
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最終更新(2017/10/3)
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