記事・インタビュー
ドイツはノルトライン=ウェストファーレン州にあるボン大学で循環器内科のフェローとして働いている杉浦 淳史です。
この記事では、日本生まれ日本育ちの循環器内科がドイツでの研究・臨床留学の中で経験するさまざまな困難・葛藤・喜びを、ありのままにお伝えします。
リサーチしながらクリニカルフェロー
カテ室のWeihnachtspartyにて
7月からこっそり診療に入り始め、9月に大動脈弁治療(TAVI)、10月から僧帽弁治療、そして11月からは三尖弁治療に参加しています。そこで以前よりも、「別に求められてないけど、間違っているかもしれないけど、自分の考えを表現する」ことに慣れてきました。今や僕が全症例の術前評価や術後画像解析をしていることもあり、最近は向こうから「Atsushi、どう思う?」と聞いてくれます。そうした意味で、リサーチをしてきたことやコミュニケーションを頑張ってきたことが、クリニカルフェローとして働く時にも生きています。一方で最近は日中のほとんどをカテーテル治療に入るようになったので、リサーチは隙間時間でしかできなくなってきています。
さて、気になる「(1)術者として治療を行う」については、同僚のSebastianがProf. Nickenig (Director)に聞いてくれたらしく、「免許を取ったならやっていいよ」とのこと。なんとも判断の難しい回答で、はたして労働許可でやらせてくれるのか――乞うご期待。
「(2)雇用条件」に関しては、秘書に病院との手続きについて問い合わせるも全く進展なく、同僚に聞いたところ「Prof. Nickenigに雇用交渉の話し合い(就活)をしないといけないのではないか」と。ここにきてまた難易度の高い関門が(笑)。
日本とロンドンで学会
11月の前半、NPO法人ストラクチャークラブ・ジャパン主催のライブデモンストレーションが日本の仙台で開催され、そこでMitraClip(僧帽弁治療)のライブコメンテーターと三尖弁カテーテル治療についての講演をしました。MitraClipは日本ではより細かくエコーの評価や手技操作を行なっているのが印象的でしたし、三尖弁に関してはほとんど未知の領域、という印象を受けました。
11月中旬にはロンドンでLondon Valvesが開催され、研究発表とともに治療デバイスのシミュレーショントレーニングなどを行いました。メイン会場でTriluminate studyの1年結果を発表するボスの姿はすばらしく格好良く、いつかああなってやろうと思います。さらにとても充実していたのは、これらの学会中に多くの先生や旧友と会うことができたことでしょうか。たくさんご馳走になり、そしてまた「出世払い」のツケが・・・・・・!


三井記念病院の田中先生

London Valvesの後、三井記念病院の田中先生が、以前ベルン大学に留学されていた阿佐美先生とともにボン大学に見学に来られました。田中先生は来年4月からボン大学に留学を考えている先生で、とても流暢な英語でProf. Nickenigに自己紹介されていました。今から一緒に働ける日が楽しみです!!
<プロフィール>

杉浦 淳史(すぎうら・あつし)
ボン大学病院
循環器内科 指導上級医(Oberarzt)
論文が書けるインテリ系でもないのに「ビッグになるなら留学だ!」と、2018年4月からドイツのボン大学にリサーチフェローとして飛び込んだ、既婚3児の父。
杉浦 淳史
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