記事・インタビュー
前回までは、製薬会社で勤務するメディカルドクターの業務内容、製薬会社で勤務した場合の一般的な雇用条件や福利厚生についてお伝えいたしましたが、今回は、多くのメディカルドクター(MD)が抱く疑問や不安についてQ&A形式でご紹介させて頂きます。
Q:臨床の経験のみで製薬会社に転職できますか?
A:臨床での薬物治療の経験こそが製薬企業のメディカルドクターに求められます。臨床経験のある医師は、医療ニーズがどこにあるかという現場感覚をお持ちだからです。また、入社後はトレーニングや所属部門の先輩メディカルドクターによる指導(OJT)もありますので、ご心配は不要です。
Q:製薬会社では、薬理などの基礎研究を行う研究所勤務のメディカルドクターの募集はありますか?
A:創薬の実務そのものは薬理学などで博士号を取得した担当者が従事しますので、研究職としてメディカルドクターを募集している製薬会社は余りありません。ほとんどのメディカルドクターは、臨床開発、安全性情報あるいはメディカルアフェアーズ*で勤務しています。
*別コラム(医師ペディア:メディカルドクターとして製薬会社で働く)参照
Q:基礎研究の経験が中心だと製薬会社への転職は難しいですか?
A:販売している製品に関する最新の医学・薬学情報を医療機関へ提供するメディカルアフェアーズでは、その領域での専門医と医学的な協議ができる医師やPhDが求められます。医学・薬学の基礎研究に従事し、その専門性が高い若手医師が求められるようになっています。
Q:専門科目により、採用の可能性に違いはありますか?
A:内科系、外科系ともに薬物治療を行う科のニーズは高いです。特に最近は、癌の診断・治療経験を有する医師のニーズが高い傾向にあります。また、専門性だけでなく、チームワークや協調性の高い医師は専門科目に限らず、おしなべて評価が高いのも特徴です。
Q:専門性や臨床経験以外で医師に求められるものは何ですか?
A:主に以下の5点が求められます。製薬会社では、社内外の多数の関係者が関わり業務を行いますので、特に協働の姿勢が求められます。
- 協調性・協働性が高くチームワークを発揮できること
- 英語力
- 交渉力・折衝力
- 問題解決力
- リーダーシップ
Q:どの程度の英語力が必要ですか?
A:メールでの交信やグローバルチームとの電話会議などにも参加しますので、英語力は欠かせないスキルです。しかし、英語にアレルギーがなければ日々の業務で慣れてきますし、会社より英語力習得のトレーニング等も提供されますので、それらの機会を活かして対応力を高めていくことは可能です。
Q:企業ならではの評価制度、人事査定も気になります。実際にどのように評価されますか?
A:業務目標の設定とその評価・査定は、上司となるメディカルドクターとの面談で行われます。本人と上司とで合意された目標ごとの達成状況を確認し、評価が決められます。メディカルドクターは専門性の高い業務を遂行しますので、実態としては、目標を達成すれば平均以上の評価を受けています。会社業績と評価により、定期賞与に加え業績賞与が支給されることも多いです。
Q:メディカルドクターになり、臨床から完全に離れてしまうのは心配です。
A:メディカルドクターとして製薬会社・CROへ勤務しながら、週1日は臨床治療に従事している医師もいます。専門医の資格維持の観点から、このような兼業を認めている製薬会社はあります。兼業を希望される場合は、その旨、株式会社ヒューマンダイナミックスへご相談ください。兼業を認めている製薬会社をご紹介するか、条件調整を致します。
Q:製薬会社へ応募するには、どのような準備が必要でしょうか?
A:履歴書と職務経歴書(場合によっては英文CV)をご準備下さい。株式会社ヒューマンダイナミックスのコンサルタントが、応募する会社のマッチング、職務経歴書へのアドバイス、応募手続きならびに面接日の調整など、必要な手続きを進めさせていただきます。また、職務経歴書の雛形の提供や⾯接準備として想定Q&Aの作成もお⼿伝いいたします。
特に想定Q&Aの準備は重要で、応募される会社・職種の特性と先生方の経歴によりその内容は異なりますので、製薬会社で勤務した専門のエージェントでなければできないサポートになります。
Q:応募から入社決定までにどのくらいの期間が必要ですか?
A:応募される医師の経歴や応募する会社によって様々ですが、応募手続き(履歴書・職務経歴書の会社への提出)から、最短で3か月程度は必要になります。
Q:製薬会社に入社後、退職し臨床に戻る医師はいますか?
A:入社後、定年までに自己都合で退職される医師はいます。その理由は様々ですが、「社内他部門との折衝や対応に慣れない」、「専門性はかなり高められるが、もう少し広く医療に携わりたい(臨床に戻りたい)」などが主な理由のようです。
臨床現場への転職と違い、ハードルが高いイメージがるメディカルドクターへの転身。英語力、グローバルチームとの協働作業、評価システムといった違いはありますが、臨床経験がベースでありながらON/OFFがしっかりつけられることなどメディカルドクターならではの魅力もあります。今回ご紹介したQ&A以外にもご質問がありましたら、株式会社ヒューマンダイナミックスへご連絡ください。製薬会社のR&Dで多くのメディカルドクターとともに勤務した経験をもつ弊社コンサルタントより一つずつ丁寧に回答いたします。
<プロフィール>
堤 康行(つつみ・やすゆき)
株式会社ヒューマンダイナミックス
代表取締役社長
株式会社ヒューマンダイナミックスの具体的な求人を知りたい先生や、ご質問のある先生は「民間医局」がお手伝いをさせていただきます。お気軽にお問い合せください。
堤 康行
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