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2025.04.24

書評『まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方』

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

書評『まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方』

「この尿路感染症の患者さん、抗菌薬の選択、これで大丈夫?でも、広くカバーしすぎても耐性菌が心配だし…」

抗菌薬の使い方は、研修医をはじめ多くの医療従事者にとって大きな壁の一つですよね。

細菌の種類や抗菌薬の作用機序、投与期間・投与量など、覚えることは膨大かつ内容は複雑で、混乱しがちではないでしょうか?

救急外来や当直で突然「この感染症に何を出すか?」と聞かれたり、耐性菌を意識しすぎて逆に“狭域化しすぎ”になってしまったりなど、実は抗菌薬の使い方について日常診療での迷いは絶えません。

私自身、救急科や集中治療科としての視点から、後輩に抗菌薬の選択や使い方を教える機会が多いのですが、体系立ててわかりやすく説明できて、まとまっている書籍は案外少ないと感じていました。

そんなとき、この一冊に出会いました。

本書を読むことで、抗菌薬選択の迷いがグッと減り、落ち着いて使い分けられる知識と自信が身につきます。

これからご覧いただくのは、研修医時代からこれまでに100冊以上の医学書を読み、

その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いてきた

ある救急科専門医の医学書レビューです。

医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、

是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!

まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方
まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方
山口 浩樹 (著), 佐藤 弘明 (編集)/ 羊土社 発行
価格:3,960円(税込)
発刊:2024/3/4
Amazon

書評『まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
医学生・研修医をはじめ、薬剤師や看護師、臨床検査技師など、感染症診療に携わるあらゆる医療従事者

【推定読了時間】
6~8時間程度

本書はコンパクトながらも、細菌学的視点と抗菌薬の全体像をしっかり学ぶ構成になっているため、1日あれば読み通せる分量ですが、じっくり理解を深めるなら2〜3日に分けて読み進めるのもおすすめです。

2.本書の特徴

本書『まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方』は、山口 浩樹先生(著)、佐藤 弘明先生(編集)による、研修医でも直感的に理解できる「一覧性」を追求した抗菌薬入門書です。

【本書の特徴】
●表やリストを活用した「一覧性」の高い構成で、各抗菌薬の特徴やスペクトルを一目で比較できる
●感染症診療の基本原則から病原微生物、抗菌薬学、さらに疾患別アプローチまで体系的に網羅

 

本書を読むことで得られるポイントを、印象的な項目をピックアップしてみると、次のようになります。

【本書で学べること】
●グラム染色や細菌分類を踏まえた「抗菌薬選択の考え方」
●各薬剤の長所・短所を理解して、使い過ぎや使い残しを防ぐ抗菌薬戦略
●頻度の高い感染症(肺炎・尿路感染症など)における実践的な治療プロセス

これらは研修医だけでなく、抗菌薬に少し苦手意識を持っている方や、指導医として整理し直したい方にも役立つ内容だと思います。

3.個人的総評

本書最大の魅力は、なんと言っても「一覧で比較する」という発想を徹底し、実践的かつ迷いを減らす工夫が満載な点です。

抗菌薬の特徴・スペクトル・主な副作用などを並べて比較できるので、「この菌にはどの系統が妥当か?」「似た薬だけど何が違うか?」が一目瞭然になります。

また、第5章にある疾患別アプローチは、肺炎や尿路感染症、髄膜炎など頻度の高いケースを扱っているため、当直や救急現場で即活用できるのがありがたいポイント。
コラムやイラストも多く、「ここでつまずく」という場面を予測した解説が豊富なため、読み物としても飽きません。

一方で、本書はページ数で300ページほどあり、決して「すぐに読み終わる薄さ」ではありません。

ただし、レイアウトに配慮があり、行間や余白に余裕を持たせながら、見やすい表やカラーを活用しているので、思ったよりストレスなく読み進められる印象です。

総じて、抗菌薬の基礎を整理しながら、実践的な疑問にも対応したい人にピッタリの一冊だと感じました。
本書は「初心者のための入門書」かつ「経験者の再確認」にも使える、まさに“バランス型の実践書”だと言えます!

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは感染症診療の基本ルール(第1章)を一気読み!
●グラム染色と細菌分類(第2章)を頭に入れて、抗菌薬学(第3・4章)へ進む!
●最後に疾患別アプローチ(第5章)でケーススタディ感覚を味わう!
●気になる点や弱い部分に付箋を貼っておき、臨床で迷ったときにサッと戻れるようにする!

個人的な感想としては、基礎を一度に全部読み進めるよりも、「疑問にぶつかったら該当箇所をめくって確認する」ような使い方が効率的かなと思います。

特に各抗菌薬のスペクトル表は、臨床の現場ですぐに参照できるように付箋やインデックスを貼っておくと便利です。
また、第5章の疾患別アプローチに記載されている治療期間の目安などは、当直で「このケース、何日投与すればいいんだろう…」と迷った際の力強い味方になるでしょう。

5.まとめ

本書は、抗菌薬の基礎から実践的なアプローチまで“要点をパッと掴むための決定版”といえる一冊!

まとめると、『まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方』は抗菌薬の選択や使い方に迷う全ての医療従事者にとって、必読の参考書となり得る内容です。

救急医療から在宅・病棟管理まで、あらゆるシーンで役立ち、初心者はもちろんベテランにも新たな発見があるはず。

特に「もう少し一覧でまとめた資料が欲しかった」と思っていた方にはドンピシャでしょう。
本書を通読することで、抗菌薬に対する苦手意識が軽減され、考え方や使い分けのコツが自然と身につきます。

今後の業務効率や臨床スキルを上げたい方には、是非一度手に取っていただきたい一冊です。
以下に基本情報をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。

6.医書レビュー

基本情報 まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方
著者:山口 浩樹 (著)、佐藤 弘明 (編集)
出版社:羊土社
発行年月日:2024/3/4
ターゲット層

医学生・研修医、薬剤師、看護師など、抗菌薬選択に関わるすべての医療スタッフ

推定読了時間

6~8時間程度

本書の特徴

●感染症診療の基本原則から応用まで一覧で学べる
●比較表を駆使し、スペクトルや副作用などを直感的に把握できる

本書で学べること

●抗菌薬のクラスごとの特徴・スペクトル・代表薬
●実臨床の症例で迷わない治療方針
●基礎を押さえながら最新の薬剤もしっかりカバー

本書のおすすめの読み方・活用方法

●基礎編を集中して読み、スペクトル表をしっかり頭に入れる
●疾患別アプローチで実際の処方をイメージ
●付箋やインデックスを使って臨床ですぐ開けるようにする

評価
購入先 まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる、特徴と使い方

本書のまとめ 本書は抗菌薬の学習を“効率化”し、“実践”につなげるための最強サポートブック!

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<プロフィール>

三谷 雄己先生

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
X https://x.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

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