記事・インタビュー
医師のキャリア形成の一環に、「留学」という選択肢があります。留学先として長らく大きな位置を占めているのがアメリカです。
臨床現場や医師の就職事情において、日本とアメリカは何が違うのでしょうか。
日本とアメリカで異なる「医師になる方法」
日本の場合、6年間の医学部を卒業し、医師免許を取得し、初期研修を修了してから各専門科に分かれていく、というのが基本的な流れです。
アメリカで医師免許を取得する場合、大学時点から進路が大きく異なります。医師になるためには4年制の「メディカルスクール」を卒業することが必要ですが、このメディカルスクール受験のためには「学士号」、つまり4年制大学を卒業している必要があります。医師になるまでに最短でも8年かかるという計算です。メディカルスクールに入るにあたっては、病院などでのボランティア活動の経歴なども評価されるため、大学生活でもそうした活動に力を入れることとなります。
さらに、医師になるには、メディカルスクール修了後に「USMLE」というアメリカの医師国家試験に合格することが必須。USMLEはStep1~3まであり、全てに合格しないと医師免許を取得できません。
さらに、免許の交付は州ごとになるので、他の州に移って勤務する場合は、その州での再取得が必要です。USMLEに合格することで、初めて臨床を行えるようになります。
ちなみにアメリカの医師免許は2~3年の更新制。日本よりも医師になり、医師であり続けることの道のりが険しいことが分かります。
日本で既に医師免許を取得していれば、USMLEにすべて合格すれば臨床留学を行うことが可能です。ただし、相応の英語力が必要になることは言うまでもありません。
日本とアメリカで異なる「専門医」の考え方
アメリカでの医師の就業事情を知っておく前におさらいしておきたいのが、日本とアメリカの「専門医」についての捉え方です。
日本の「専門医」は学会の認定によるもので、国全体の統一基準ではありません。多くの専門医・認定医の試験が設けられていますが、それもそれぞれの基準によるものです。
それを象徴するのが、「標榜科」のあり方です。診療科目の標榜には法律の規定がなく、専門科医が在籍していなくても、診療科を設けることができます。
大学病院・総合病院などでは分業が進んでいますが、中小規模の病院では專門が異なる医師が専門外の診療科を診ていることも珍しくありません。
一方、アメリカの場合は専門医の分業が徹底しています。
そもそも、専門医でなければ該当科の診療ができないのです。その分、アメリカの専門医は国家的な統一制度であり、その基準を満たすために徹底したトレーニングが行われます。研修中は必ず指導医と一緒に診療にあたります。
アメリカは科によって年収が変わる
日本の場合は、勤務医の場合は経験や年次によって給与が変動します。また、開業すればその経営状況で大きく収入は変わるでしょう。
しかし、アメリカの場合は年次や勤務医・開業医による年収の変動はさほど大きくありません。
年収に大きく関係するのが、専門科です。医師の中でもトップクラスの年収を誇るのが「外科医」であり、さらにその中でも「心臓外科」が高く評価され、年収も高い傾向にあります。次いで麻酔科医、内科、産婦人科、精神科といった順に年収が高い傾向です。
アメリカで医師を目指すのであれば、こうした専門科による違いも注目しておきましょう。
アメリカと日本では、医師になるまでの過程が大きく異なります。「専門医」制度も大きく異なるため、留学を考えている方は最新情報を集めておきましょう。
※2020年2月12日、USMLEのポリシーを3点変更すると発表しました。
- USMLE STEP 1がスコア制からpass / failへ変更
- 各STEPの受験可能回数が6回から4回に変更
- STEP 2CS受験にはSTEP1合格が必須
移行期間は11ヶ月~24ヶ月となっているため、今後受験を考えている方は公式サイトでご確認することをお勧めいたします。
››› USMLE公式サイト
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