記事・インタビュー
眼科の最先端治療や研究に取り組むだけでなく、視覚障害者の生活に寄り添ったトータルサポートを行う神戸アイセンター病院。全国の眼科医から憧れを集める病院でありながら、働く医師にとっては時短勤務など子育てとの両立を図りやすい側面も持っています。
今回は、神戸アイセンター病院での業務内容や働く魅力について、院長補佐兼診療部長の藤原雅史先生と医長の三宅智子先生、非常勤医師の山﨑舞先生にお話しいただきました。
<今回お話を伺った方>
Q: 神戸アイセンター病院設立の経緯を教えてください。
藤原 先生
当院はもともと中央市民病院の眼科が母体なのですが、市民病院では全科のバランスを考慮する必要があるため、眼科特有の需要にスムーズに対応することが難しい状況がありました。iPS細胞を用いた治療など特殊な状況にも対応する必要があり、研究部門を備えた、眼科の独立病院を設立することになりました。
そうした経緯から、夜間・救急対応・手術は中央市民病院と連携して対応していますし、私たちも両方の施設に所属しています。
中央市民病院時代は京大医局の医師が中心でしたが、現在はそれらに加え神戸大学、兵庫医科大学など、多様なバックグラウンドを持つ医師が集まっています。
Q: 現在のポジションで働くことになった経緯を教えてください。
山﨑 先生
前職の東北大学病院でもロービジョン外来を担当していました。当院は再生治療など最先端の研究や治療を行う一方で、ロービジョンケアのためのビジョンパークという施設も併設されています。その患者さんに寄り添う理念に、設立当初からずっと憧れを抱いていました。
2019年に初めて見学に訪れた際、院長の栗本先生が自ら院内をご案内してくださった他、仲泊先生のロービジョン外来を見学する機会もいただき、「ここでロービジョンケアを学びたい!」という思いがさらに膨らみました。長年その気持ちは変わることなく、上司や教授にその思いを伝え、家族の理解もあり仙台から神戸へ引っ越し、神戸アイセンター病院で学ぶという夢が叶いました。
三宅 先生
私は3人の子どもがいますが、手術の勉強を続けながら子育てができる病院がないかと探していました。そんなときに神戸アイセンター病院で、子育て中の女医さんでもフレキシブルに働ける募集があることを知り、見学と面談を経て入職を決めました。施設の充実度と、実際の勤務内容が大きな決め手となりました。
Q: 現在の業務内容について教えてください
山﨑 先生
私は神戸アイセンター病院での業務と、株式会社ビジョンケアの業務を行っています。平日5日勤務していますが曜日ごとに業務内容を切り替えています。
病院では網膜外来やロービジョン外来、運転外来などを担当していて、会社では再生治療の開発に関わる業務をしています。土日は公益社団法人NEXT VISIONが主催する視覚障害者や、その家族向けのイベントや講演のお手伝いをすることもあります。アイセンター病院、ビジョンケア、NEXT VISIONの3つの機関に関わることができ再生治療とロービジョンケアを包括的に学べています。
三宅 先生
私は子育ての関係で通常の勤務時間ではなく、育児時短の勤務で主に外来・手術を担当しています。時短勤務で手術の執刀ができる病院はかなり珍しいと思いますので、この環境にとても感謝しております。
藤原 先生
当院には「時短勤務だから手術ができない」ということはありません。もちろん、手術後のフォローや診察も含めた患者さんの総合的なケアの責任は伴いますが、それがきちんと行えるのであれば、手術を担当していただくことも可能です。
Q: 入職にあたって敷居の高さを感じることはありませんでしたか?
山﨑 先生
神戸アイセンター病院は私にとっても全国の眼科医にとっても憧れの病院なので、私も入職前は「自分なんかが入れる場所ではないのでは?」と思っていました。そんな中、神戸アイセンター病院にご勤務されている先生に相談したところ、病院の見学とご面談の機会をいただき、「ぜひ来てほしい」と快く迎えていただけました。入職が決まったときは本当に嬉しかったですが、喜びと同じくらい驚きも大きかったです。
三宅 先生
私にとっても、神戸アイセンター病院は憧れの場所で、「医局に所属していない私のような医師が働ける場所ではない」と思っていました。一方で入職したい気持ちも強くあり、希望を出してみたところ、見学や面談の機会をいただき「ぜひ来てほしい」と言っていただけました。山﨑先生と同じく私も大変驚きましたし、とても嬉しかったです。
藤原 先生
神戸アイセンター病院は医局に所属していない先生にも門戸を開いている他、育児中の先生方の臨床・研究への復帰も応援しています。スーパーローテーション導入後眼科志望者は半減しており、育児を機会に臨床や研究から遠ざかってしまうことは、社会的な損失と考えています。当院ではまず外来の経験を積み、ゆくゆくは手術にも挑戦できる環境を整え、段階的な復帰を支援しています。是非先生方のキャリアの再構築に当院をお役立ていただければと思います。
Q: 子育てをしながら臨床業務を続けるのは大変かと思いますが、どのように工夫されていますか?
山﨑 先生
入職の際はロービジョンケアを学ぶという目標を軸に働き方を相談させていただきました。子育てをしながらだと時間的な制約もあり、私は外来を中心とした業務に絞り、再生治療やロービジョンケアに関わる業務に集中できるように働き方を調整していただいています。外来で担当する患者さんが手術が必要になった場合は他の先生にお願いするのですが、お忙しいにも関わらずどの先生も快く手術を引き受けてくださるので本当にありがたく思っています。その代わり外来で私ができることは一生懸命頑張ろうと心がけています。
三宅 先生
神戸アイセンター病院は、フレキシブルな勤務形態が大きな魅力です。急な子どもの発熱などでどうしても遅れてしまう場合は、他の先生方がカバーしてくださり、非常に感謝しています。また、事前に相談すれば休みもスムーズに取得できます。人数が多い職場なので、チームで支え合える体制が整っており、子育て中でも安心して働ける環境があります。
藤原 先生
当院の医師は、隣接する中央市民病院の院内保育園と病児保育室を利用することができ、多くの先生方が利用されています。
Q: 神戸アイセンター病院はどんな方におすすめですか?
山﨑 先生
子育て中やブランクがある方、復職に不安を抱えている方でも、希望や状況に応じてどのような働き方がベストなのか一緒に考えてくださるので、まずはご相談いただければと思います。周りの先生方は本当に親切で優しい方ばかりなので、安心して働ける恵まれた環境だと思いますし、「やりたいこと」「できること」「できないこと」を率直にご相談いただくことで、ご自身の希望やペースに合わせて学びを深められたり、スキルアップが可能だと思います。
三宅 先生
神戸アイセンター病院は手術や治療の選択肢も幅広く、指導医の先生方も親切で丁寧に教えてくださるため、安心して新しいことに挑戦できます。また、公的な病院であるにも関わらず、自由度が高いので、自分のペースで学びを深められるのも特徴です。臨床と学びを両立しやすい環境だと言えます。また、日々の業務や勉強会を通じて最先端の治療や研究に触れられる機会も多く、非常に恵まれた職場だと感じています。
藤原 先生
神戸アイセンター病院では、常勤・非常勤ともに医師を募集しています。週1日からの非常勤や時短勤務など、ご事情に応じた働き方ができますのでご相談ください。
また、当院は幅広い診療分野をカバーしていますので、涙道や神経疾患など様々な分野の専門外来の見学・研鑽を経ての参画も可能です。設備面でも大学病院と遜色ない水準に整えています。研究への参加についても、状況に応じてご相談ください。
Q: 最後に、求職中の先生へメッセージをお願いします。
三宅 先生
当院は子育てと仕事を両立できる環境が整っています。子育て中の方や臨床から一時的に離れている方でも、ぜひ一歩踏み出して見学に来ていただきたいです。皆さまのお越しをお待ちしています。
藤原 先生
当院は市民病院機構の一員として、標準医療をしっかり行うことを基本としています。その上で、再生医療や遺伝子治療などの最先端の医療を、より多くの患者さんに出来るだけ早くお届けすることを目指しています。また、治療後のロービジョンケアにも力を入れ、患者さんが社会参加しやすい環境を作ることも重要な目標です。
子育てとの両立が困難など、様々なご事情でやる気はあるのに発揮できる場がない先生が、実はたくさんいらっしゃるのではと考えています。我々の理念や目標にご賛同いただけ、少しでも興味をお持ちの際は、お気軽に見学にお越しください。
■お問い合わせ先
神戸市立神戸アイセンター病院では、一緒に働いてくれる医師を募集しています。
施設見学も可能です。下記連絡先までお問い合わせください。
イメージ写真一覧
神戸アイセンター病院
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