記事・インタビュー

年間9000人ほどが受験する医師国家試験。多くの医学部生が、医師を夢見て挑みます。大学側は6年間教育した学生が全員合格することを目指し、様々な試験対策を行っています。
大学別に見る医師国家試験合格率の推移
毎年2月頃に実施される医師国家試験は、例年90%ほどの合格率です。2016年は9434人の受験者のうち8630人が合格、合格率は91.5%と前年に比べて0.3%上がりました。
合格者数は前年から372人の増加となり、5年前と比較すると944人の増加。この理由は、医師不足対策として医学部の定員増があり、そもそもの受験者が増加したことによります。また、女性の受験者数は3034 人、対する合格者は 2828 人で合格率は93.2%、男性よりも女性の方が、合格率が高くなっています。
大学別の合格率を見ると、2016年の試験で最も合格率が高いのは「和歌山県立医科大学」「自治医科大学」の同率99.1%でした。他には、「東京医科大学」98.5%、「順天堂大学」「東京慈恵会医科大学」の98.2%が続きます。国立大学で最も合格率が高いのは千葉大学の96.6%でした。
各大学を比較する上では、「全体の合格率」よりも「現役の合格率」に注目です。医学生も大学側も現役での合格を目指しますから、ここに各大学の実力が出ますし、次年度以降の医学部入試の人気にもつながります。
特に私立大学は経営問題に直結するため、現役合格率の向上に躍起です。過去に「現役合格率100%」を出した大学は4校あり、「和歌山県立医科大学」「順天堂大学」「東京慈恵会医科大学」「近畿大学」というのがその顔ぶれです。ただし、既卒の合格率が低いために全体の合格率が90.4%となってしまった大学もあります。
2016年医師国家試験では、現役合格率100%の大学はなく、前年100%だった2大学がそれぞれ「97.2%」「96.6%」となっています。
合格率を高めるため、各大学はさまざまな取り組みを行っています。その一つが「厳しい進級試験」。進級試験を医師国家試験と同じくらいかそれよりも難しくしておけば、それを突破できた人だけが受験するために合格率が上がります。入学も難しい医学部は、進級して医師国家試験へ挑戦する資格を手にすることも容易ではないのです。
東京大学や慶應義塾大学といった、医学部の中でも特に偏差値が高い大学がそのまま医師国家試験の合格率で上位になるわけでないことからも、各大学の試験対策への違いが読み取れるでしょう。
いくつか大学の取り組みをあげてみましょう。
東京医科大学では、医師国家試験のための合宿を年3回実施しています。他にも合宿を実施する大学は多く、成績の振るわない学生を集中的に勉強させて底上げを図っているようです。最終学年の6年次に定期試験が何度もあり、これに全て合格しないと卒業試験を受けることができません。この度重なる学内試験が、そのまま医師国家試験の準備になります。
山口大学の場合、「臓器別」「疾患別」に分野を分け、少人数制のコースにしています。2012年には「高度学術医(アカデミックドクター)育成コース」を設けて、研究分野でより高いレベルを目指す環境を整備しました。こうした施策から、2016年の医師国家試験合格率は96.6%と、前年の86.3%から急上昇しています。
「現役合格率100%」の実績を持つ近畿大学も少人数制を採用しており、より実践的な学問を追求した「テュートリアルシステム」や「クリニカルクラークシップ」を採用しています。
医師になるためには、医師国家試験合格が必須。各大学の対策方法も年々進化しているようです。

医師国家試験の合格率と各大学の取り組みを紹介しました。
高い合格率の裏には色々な戦略があるようです。
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