特集

2024.10.22

【特集】医師×専攻医

医師×専攻医

2025年4月開始予定の専門研修プログラム・専攻医登録関連スケジュール

一般社団法人日本専門医機構より、2025年4月開始予定の専門研修プログラム・専攻医登録関連スケジュールについて発表がありました。下記よりご参照ください。※各日程につきましては、原則「正午」とさせていただきます。

日程 内容・アクション 対象
4月1日(月)~(〆は各学会による) 基本領域学会 研修プログラム受付開始(1次審査期間) 施設 (統括責任者)基本領域学会
5月10日(金)~
5月24日(金)
●新規研修プログラム申請(エクセルの場合)
●エクセルによる既存研修プログラムの修正及び定員数一覧機構宛て提出期間
※機構にて研修プログラムシステムに登録後、施設によるローテーション調整。
基本領域学会
専門医機構
5月10日(金)~
5月31日(金)
研修プログラムシステムによる新規及び既存研修プログラムの修正、ローテーション及び定員数一覧機構宛て提出期間
※プログラムの提出方法については、5月以降、改めてご連絡いたします。
基本領域学会
専門医機構
5月31日(金)~
6月14日(金)
新規研修プログラム、エクセルによる既存研修プログラムの修正のローテーション調整期間 施設(統括責任者)
6月中旬~
8月中旬
研修プログラム確認
※都道府県より機構、領域学会、施設へ確認又は調整が生じる場合もある。
都道府県(地域医療対策協議会)
医道審議会
※都道府県からの意見を踏まえ、研修プログラムについての審議を予定。
厚生労働省
9月初旬~中旬 研修プログラム最終調整 施設(統括責任者)基本領域学会
9月中旬~10月中旬(予定) 研修プログラム(2次審査期間) 専門医機構
10月中~下旬(予定) 専門医機構理事会(研修プログラム承認) 専門医機構

【最新】2025年度専攻医募集スケジュール

専攻医1次募集
応募期間 2024年11月 1日(金) 正午~2024年11月15日(金) 正午まで
採用調整期間 2024年11月18日(月) 正午~2024年11月26日(火) 正午まで
採用結果通知 2024年11月29日(金) 正午
募集実施確認期間 2024年11月26日(火) 正午~2024年11月29日(金) 正午まで
専攻医2次募集
応募期間 2024年12月 2日(月) 正午~2024年12月13日(金) 正午まで
採用調整期間 2024年12月16日(月) 正午~2024年12月23日(月) 正午まで
採用結果通知 2024年12月25日(水) 正午
募集実施確認期間 2024年12月23日(月) 正午~2025年 1月 7日(火) 正午まで
専攻医募集 最終調整期間
応募期間 2025年 1月 7日(火) 正午~2025年 1月22日(水) 正午まで
採用調整期間 2025年 1月23日(木) 正午~2025年 1月31日(金) 正午まで
採用結果通知 2025年 2月 3日(月) 正午

研修プログラム応募の流れ

それぞれの募集において応募できる専門研修プログラムは1つに限ります。複数プログラムへの重複応募は出来ませんのでご注意ください。1次募集で選考にもれた方は、2次募集に応募してください。

研修プログラム応募の流れ2

【参照】
・一般社団法人 日本専門医機構
・2025年度研修開始専門研修プログラム関連スケジュール
・日本専門医機構 2025年度プログラム募集シーリング数(案)

2024年度の基本領域専門研修プログラムに関する情報

厚生労働省より、2024年度専攻医採用の結果等について発表がありました。各都道府県、各科目別の結果は以下の通りです。


令和6年度の専攻医採用と令和7年度の専攻医募集について

新専門医制度はまだ始まったばかりであり、細かな改定が行われることも考えられます。
目指す専門医に向かって、医学生や初期臨床研修の早い段階から、定期的に各学会や日本専門医機構のホームページなどを確認し、情報収集しておくことをお勧めします。マンガで紹介 ー新専門医制度を詳しく知ろうー専攻医の研修情報を探す新規会員登録(無料)

以前は専門医を目指して研修する医師を後期研修医と呼んでいましたが、新専門医制度が導入された2018年4月から、後期研修医を新たに「専攻医」と呼ぶようになりました。今回は「専攻医」という新たな定義について、新専門医制度と共にわかりやすく解説していきたいと思います。

1. 新専門医制度ができた背景
2. 後期研修医から「専攻医」へ
3. 19の基本領域と、24のサブスペシャルティ領域
4. 「専攻医」となり専門医資格を取得するには
5. 基本領域とサブスペシャルティによる研修の違い

1. 新専門医制度ができた背景

まずは、新専門医制度ができた背景から解説していきたいと思います。従来の専門医制度は、内科専門医ならば内科学会、外科専門医ならば外科学会のように各学会が“独自で運用する”認定プログラムを修了することで専門医資格を取得することができました。そのため、領域間の統一性が十分ではなく、専門医の質が一定ではないという問題がありました。また、2002年より開業医は専門医資格を広告掲載してもよいことになり、これを契機に専門医制度の種類が増加し、専門医資格は今や102にも及ぶなど細分化が進んできました。

こうした状況のなか、「果たして専門医の質の担保が保証されているのか」という議論が上がり、厚生労働省によって2011年10月から「専門医の在り方に関する検討会」が開催され、幅広く検討を重ねた結果、新たな専門医制度の導入が決まりました。

新専門医制度は「専門医の質を高め、良質な医療が提供されること」を目的としており、従来の「各学会が“独自で運用する”認定プログラム」は、第三者機関である「日本専門医機構」によって運用されることになり、それまで各学会によってバラバラであった専門医資格の認定基準が統一されることになりました。

2. 後期研修医から「専攻医」へ

医学部を卒業し医師国家試験に合格すると、医師は約2年間の「初期臨床研修」を行います。そして「初期臨床研修」が修了すると、ほとんどの医師が専門医を目指して3~5年間の専門医研修プログラムによる研修を行います。従来、この専門医研修を行う医師を「後期研修医」と呼んでいましたが、2018年4月から始まった新専門医制度では、専門医研修プログラムに登録、実践中の医師を「専攻医」と呼ぶようになりました。
これまで“研修医”といえば、初期研修医と後期研修医の両方を指していましたが、新専門医制度によって“研修医”という言葉は初期研修医のみを指すようになります。そして後期研修医という呼び名はなくなり、それに代わる呼び名として「専攻医」が使われるようになりました。

新専門医制度は、19の基本領域で構成される「基本領域専門医」と、基本領域専門医の取得後に選択できる「サブスペシャルティ領域専門医」の二段階制となり、「専攻医」はまず19の基本領域から専門医資格の取得を目指すことになります。

3. 19の基本領域と、24のサブスペシャルティ領域

基本領域の専門医は19の診療科となります。基本領域の専門医は以下のような診療科で取得することができます。

【 基本領域(19領域)】

基本領域の19診療科は、より専門性の高いサブスペシャルティ領域(24領域)の専門医を取得するためにも重要な資格となります。
次に挙げるサブスペシャルティ領域の専門医を取得するためには、関係のある基本領域の専門医を取得(たとえばサブスペシャルティ領域の循環器科の専門医を取得したい場合は、基本領域で内科を取得)している必要があります。

【 サブスペシャルティ領域(基本領域から分化した24領域) 】※平成30年度時点

内科(15領域)

消化器病、循環器、呼吸器、血液、内分泌代謝、糖尿病、腎臓、肝臓、アレルギー、感染症、老年病、神経内科、リウマチ、消化器内視鏡、がん薬物療法

外科(6領域)

消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺、内分泌外科

放射線科(2領域)

放射線診断、放射線治療

複数領域

消化器内視鏡

4. 「専攻医」となり専門医資格を取得するには

2年間の初期臨床研修を修了後、「専攻医」となって専門医資格を取得するまでの基本的な流れを確認しておきましょう。

専門医資格取得までの流れ

01. まずは「専攻医」になるための登録・応募を行います。

登録を希望する領域学会のホームページを窓口として「専攻医」の申請をします。たとえば、内科専門医を希望するのであれば日本内科学会のホームページにアクセスし、希望する病院の研修プログラムを登録します。
「専攻医」の登録は、初期臨床研修制度のマッチングとは異なり、コンピューター上で自動的に登録を確定するシステムではなく、プログラム統括責任者が希望者との間で決定することになっています。そのため、一つのプログラムしか登録できません。

02. 病院・プログラムごとに試験や面接が行われます。

選考基準は各プログラムで規定されており、病院のプログラム統括責任者などから試験・面接の詳細、案内が届きます。

03. 専攻医希望者へ採否の通知が来ます。

各病院・プログラムには定員数があるため、一次登録で希望する研修先が決まらない場合は二次登録を行うことになります。

04. 病院の研修プログラムに沿って3年以上の研修を受けます。

「専攻医」として、採用された病院の研修プログラムに沿って3年以上の研修を受けます。

05. 基本領域の専門医認定を受けることができます。

症例数や論文などの経験を満たし、筆記試験などをクリアして基本領域の専門医認定を受けることができます。

06. サブスペシャルティ領域の専門医を取得することができます。

基本領域の専門医を取得した後、さらに専門性に特化したサブスペシャルティ領域の専門医を取得することができます。

専門医資格の更新について

専門医資格は医師免許とは異なり、5年を原則として更新をする必要があります。
また、すでに基本領域の専門医を取得している医師は新専門医制度の基準で更新をすることも可能です。

[ 更新認定基準に必要な項目 ]
01. 勤務実態の自己申告
02. 診療実績の証明
03. 専門医共通講習
04. 領域講習
05. 学術業績・診療以外の活動実績
06. 単位(クレジット)取得

専門医更新審査には上記の要件が含まれ、各基本領域学会において審査手順・基準の詳細が異なります。
新専門医制度では更新基準が厳しくなり、地域医療に支障が出るのではという危惧がありますが、地域で活躍する医師に負担とならないよう配慮することが定められており、たとえば共通講習や領域別講習がe-learningなどの受講で可能となるなど、更新基準については柔軟に運用されることになっています。さらに、基本領域学会では、たとえば専門医を3回以上更新した場合、その後は診療実績を不要とすることなども定めています。

また、妊娠、出産、育児、介護、病気療養などの特定の理由によって更新が困難な場合は、本来更新するべき年に更新申請をすることで更新延長が可能です。原則として1年間の延長ですが、事情によって1年単位で追加延長することができます。

専門医資格を活かした働き方

専門医認定後、専門性を活かしながら、どのようにやりがいを持って仕事をしているかなど、ご紹介します。詳しくは下記リンクをご覧ください。

5. 基本領域とサブスペシャルティによる研修の違い

19の基本領域と22のサブスペシャルティの研修方法は異なります。
また複数の資格取得や、基本領域とサブスペシャルティの連動研修ができる場合もあるので、「専攻医」はこれらの情報を把握しておくことで、目標に向かって効率的な研修をすることができます。

【 基本領域の研修について 】

研修方法は原則として「プログラム制」による研修

基本領域の研修は「プログラム制」となっています。「プログラム制」とは、カリキュラム内容を、年次毎に定められた研修プログラム(3~5年間)に則って履修するものです。
新専門医制度では、「一つの基幹施設のみでの完結型の研修ではなく、一つ以上の連携施設と研修施設群を作り循環型の研修を行うものとする」と定めており、地域医療に配慮して循環型教育を行う制度になっています。
また、義務年限を有する卒業生、地域医療に資することが明らかな場合、出産・育児・留学などで合理的な理由がある場合などでは、各基本領域学会の判断により、必ずしもプログラム制ではなく、「カリキュラム制」も可能としています。「カリキュラム制」とはカリキュラムに定められた到達目標を達成した段階で専門医試験の受験資格が与えられるもので、研修年限については特に定めはありません。

基本領域の専門医を複数取得(ダブルボード)することが可能

基本領域はダブルボードも可能で、たとえば麻酔科専門医を取得した後、救急科専門医を取得することもできます。ただし、「複数の基本領域専門医の研修を同時に行うことは認められない」ことが大前提であり、いずれかの基本領域専門医を取得した後に、別の基本領域専門医の研修を行うことになります。
また、最初に取得する基本領域の専門医研修は原則としてプログラム制ですが、2領域目以降の基本領域はプログラム制とカリキュラム制のいずれでも可とされています。

6カ月間以内の中断であれば、プログラム延長の必要はなし

海外留学、妊娠、出産、育児、介護、病気療養などによって研修が困難な場合、申請することで研修を中断することができます。全ての基本領域で6カ月間までの中断なら、各領域で定められた研修期間の残りの期間で研修要件を満たしていれば、研修期間の延長をせずにプログラム修了と認定されます。

【 サブスペシャルティの研修について 】

研修方法は「プログラム制」と「カリキュラム制」のいずれも可

サブスペシャルティの場合、研修方法は「プログラム制」か「カリキュラム制」のいずれも可となっており、各学会によって異なります。

サブスペシャルティは、基本領域との連動研修が可能

現在(2021年6月)、内科関連15領域と外科関連4領域のサブスペシャルティ専門医について、基本領域と並行して進める連動研修が認められています。このことによってサブスペシャルティ専門医取得までの所要年数を短縮できるようになりました。
その他のサブスペシャルティ領域についても専門医の質が担保される限り、連動研修を可能とする方向で日本専門医機構による検討が進められています。

※この記事は2021年6月時点の状況をベースとして編集しています。

【 記載データ・記事内容について】
※記載された内容は厚生労働省の資料などを参考に民間医局がまとめたものです。この記事の内容は下記の資料やデータなどを参照しています。

・厚生労働省 新たな専門医の仕組みについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078482.html
・日本専門医機構 専門医制度の現状と課題
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000163149.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/262.pdf
・日本専門医機構 新専門医制度概説とQ & A
http://www.japan-senmon-i.jp/news/doc/Q%EF%BC%86A%206.2_Ver3.pdf

【特集】医師×専攻医

その他の特集を見る

一覧を見る