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2026.03.16

それ、ChatGPTが代わりにやります! “04 ChatGPTに退院サマリを作成してもらおう

それ、ChatGPTが代わりにやります! "04 ChatGPTに退院サマリを作成してもらおう

本稿では、書類作成全般に応用可能なプロンプトの考え方と、退院時サマリを例にした具体的な活用術を紹介します。
その上で、実際の臨床現場で安全に活用するための医療向け生成AI サービスについて解説します。

■ 生成AI による書類作成

以下にプロンプトを例示します。このプロンプトに電子カルテの経過記録を入力することで、退院サマリの下書きを作成してもらうことが可能です。記載の仕方を好みに合わせたい場合は、出力形式を調整しましょう。また、「#出力例」という項目を足して、実際に作成した紹介状や退院サマリを複数例プロンプトに加えることで、自分の癖を反映することもできますよ。

Prompt ープロンプト例

入力されるカルテ情報を基に、出力形式で退院サマリを作成してください。

【出力形式】

■ 患者情報
退院時診断:
アレルギー:
主訴または入院理由:
入院までの経過:
現病歴:
既往歴:
入院時現症:
■ 入院経過
■ 手術・処置情報
■ 退院時状況(身体状況、活動度、認知度など)
■ 退院時使用薬剤情報
■ 退院時方針

【カルテ情報】

̶̶ ここに経過記録などを貼り付ける

もちろん生成AIが出力したドラフトは、あくまで「たたき台」です。必ず以下の点を確認し、自身の専門的知見に基づいて加筆・修正を加えてください。

□ 事実関係の正確性: 日付、検査数値、薬剤名、用量などに誤りがないか。
□ 医学的な妥当性: アセスメントやプランが、実際の臨床経過と乖離していないか。
□ ニュアンスの適切性: 患者や他の医療従事者への伝わりやすさは適切か。

■ 実践を臨床現場へ:セキュアな医療向け生成AIサービス

個人利用のChatGPTのような外部サービスに、たとえ匿名化したつもりでも患者情報を入力することは、情報漏洩のリスクやプライバシーの観点から推奨されません。実際の臨床現場で安全に実践するには、電子カルテの情報と連携し、かつセキュアな環境が保証された「医療向け生成AIサービス」の活用が不可欠となります。国内でも、そうした要件を満たす具体的なサービスが登場していますので、以下で簡単に触れたいと思います。

1. 文書作成の支援
最も導入が進んでいるのが、電子カルテの情報を用いて各種医療文書の作成を効率化するサービスです。具体的な時間短縮効果も数多く報告されており、50~70%程度削減できるなどの報告や診断書作成での事例などがあります。

主なサービス:ALY 社「ALY アシスタント」、FIXER社「退院時サマリー作成支援システム」、NEC「医療文書作成支援アプリケーション」、Ubie 社「ユビー生成AI」 など

2. 音声認識・OCRを活用した入力支援
文書作成の前段階である、情報入力を効率化するアプローチも広がっています。生成AIと組み合わせることで、多様な形式の情報を効率的に処理できるようになっています。

■ 音声認識による入力

医師や医療従事者の発話をリアルタイムでテキスト化し、生成AIがこのテキスト情報を基に、カルテのドラフト作成や要約を行うことが可能です。

主なサービス:Ubie 社「ユビー生成AI」、medimo 社「medimo」、TXP Medical 社
「SpeechER」、Kanata 社「kanaVo」、AIBORN 社「カタナシ」、HERO innovation 社
「MEDISMA AI クラーク」、アドバンスト・メディア社「AmiVoice」など

■ OCRによる紙媒体情報のデジタル化

既存の紙の紹介状や検査結果などをOCRでテキストデータに変換し、そのテキストを生成AIが解析・要約することで、電子カルテへの入力や情報整理を効率化できます。スキャン画像のみならず、モバイルでの撮影からテキストデータを出力することもできます。

主なサービス:Ubie 社「ユビー生成AI」、ALY 社「ALY アシスタント」 など

■ まとめ

生成AI による書類作成業務の効率化は、もはや未来の話ではありません。まずは本稿で紹介したプロンプトを参考に、患者情報を含まないダミーデータなどでその効果を実感してみてください。その上で、実際の臨床応用にはセキュリティーが担保された医療向けサービスが不可欠であることを理解し、自院の環境に合ったサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、明日の働き方を大きく変えるかもしれません。

東日本橋内科クリニック 院長
白石 達也

2013年京都大学卒業。田附興風会医学研究所北野病院で研修後、社会福祉法人仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。2019年よりUbie社で生成AIチームに所属。循環器専門医、日本心血管インターベンション治療認定医

※ドクターズマガジン2026年1月号に掲載するためにご執筆いただいたものです。

白石 達也

それ、ChatGPTが代わりにやります! “04 ChatGPTに退院サマリを作成してもらおう

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