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2025.12.24

著者が語る☆書籍紹介 『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』

民間医局コネクト編集部です。民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

今回は、『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』を、著者の山田 悠史先生に紹介いただきます。

著者が語る☆書籍紹介 『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』

最新科学が覆す 体にいいのはどっち?
山田 悠史 (監修)/サンクチュアリ出版
発刊:2025/12/25
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著者解説

患者さんからの「あの健康法、どっちが正しいですか?」に、どう答えるか

「先生、SNSで見たんですが、グルテンフリーって体にいいんですよね?」
「『睡眠のゴールデンタイム』に合わせて寝ないとダメですか?」
「サプリメントって、気休めですか?」

私たち医療従事者は、日々の診療で、EBM(科学的根拠に基づく医療)とは異なる「個人の体験談」や「SNS上の玉石混淆の情報」 に基づく質問を患者さんから受けることが増えています。

限られた診療時間の中で、これらの氾濫する情報とEBMとのギャップをどう埋め、患者さんに納得してもらうか。これは、現代の医療コミュニケーションにおける共通の課題と言えるでしょう。
このたび発売される『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』は、その課題を解決するための「最強のコミュニケーション・ツール」となり得る一冊です。

ニューヨークの老年医学専門医が、100の「日常の疑問」にEBMで答える

著者は、ニューヨークのマウントサイナイ医科大学で老年医学を専門とする山田悠史医師 。本書は、著者が「はじめに」で述べているように、「科学的権威」と「個人の物語」の間で迷子になっている人々への「道しるべ」となることを目指しています。
最新の科学的根拠(EBM)に基づき、人々が日常で抱く100の素朴な疑問に、明快な「どっち?」形式で答えていきます。

本書の特徴

1. 外来・病棟での「患者説明」にそのまま使える
本書の最大の価値は、EBMのロジックを、患者さんに伝わる平易な言葉で解説している点です。
• 人間ドックより、国がすすめるがん検診のほうが大事って本当?
• 風邪やインフルエンザの治療に「抗生物質」は必要?
• ワクチンはやらないとだめ?
• 悪玉コレステロール値が高いのは悪?
• 「頭痛薬」が実は「頭痛」の原因になるって本当?
これらのテーマは、私たちが日常的に説明を求められるものばかりです。本書のロジックは、そのまま患者さんへの指導や説明の「引き出し」として活用できます。

2. 医学的誤解への「処方箋」となる
本書は、世間に広がる医学的誤解にEBMで切り込みます。
• 「プリン体ゼロビールなら、痛風にならない?」→ アルコール自体の代謝を解説
• 「GABA含有商品は睡眠の質を高める?」→ 研究の質やバイアス(企業スポンサー)に言及
• 「グルテンフリーは健康にいい?」→ 本来は治療食であると指摘
患者さんが持ち込む「常識」の背景を理解し、専門家としてどうガイドすべきかのヒントに満ちています。

3. EBMコミュニケーションの「お手本」として
本書は「なぜそう言えるのか(Why)」を、参考文献に基づいて丁寧に解説しています。専門家ではない一般の方にEBMの重要性 と考え方を伝える、優れた「EBMコミュニケーション」の実践例でもあります。医学生や研修医、多職種連携のカンファレンスでの共通言語としても役立つでしょう。

こんな医療従事者におすすめ

• 外来や病棟で、患者さんからの健康相談・質問にEBMに基づき明快に答えたい医師・看護師・薬剤師
• SNSで広まる医療情報に日々接し、EBMに基づいた「確かな情報」で対抗する必要性を感じているすべての専門職
• EBMの知識を、どう一般向けに「翻訳」し、伝えるかを学びたい医学生・研修医
• 患者指導・栄養指導・服薬指導の質を高め、患者さんのアドヒアランスを向上させたいコメディカルスタッフ

専門家としての知識の再確認はもちろん、何より「患者さんにどう伝えるか」という日々の臨床における最大の武器として、本書を推薦します。

目次

CHAPTER1 体にいい「健康診断・医療」はどっち?
健康診断って毎年受けないといけない?
人間ドックより、国がすすめるがん検診のほうが大事って本当?
がん検診の胃のバリウム検査って受けたほうがいい?
体温を上げると健康になるのは本当?
風邪やインフルエンザの治療に「抗生物質」は必要?
「頭痛薬」が実は「頭痛」の原因になるって本当?
血圧を下げるのに、いちばん効果的なのは減塩?

CHAPTER2 体にいい「食事」はどっち?
白湯って本当に健康にいい?
牛乳は体に悪い?
コーヒーを適量飲めば、病気のリスクが減るは本当?
野菜を食べるなら、オーガニック野菜のほうが体にいい?
グルテンフリーは健康にいいの?
ウコンが2日酔いに効くのは本当?
赤い肉を食べる人は健康長寿って本当?

CHAPTER3 体にいい「運動」はどっち?
20分以上運動しないと、脂肪は燃焼しないのは本当?
走りすぎが体に悪いのは本当?
夜の運動より朝の運動が体にいいの?
無酸素運動より有酸素運動が体にいいの?
個人スポーツよりチームスポーツのほうが健康にいい?
太極拳が不眠症に効くのは本当?

CHAPTER4 体にいい「睡眠」はどっち?
睡眠のゴールデンタイム(22〜2時)は本当にある?
1.5時間の倍数で睡眠をとったほうがいいの?
ショートスリーパー(でも平気な人)は本当にいるの?
寝る前の読書はいいの?
分割睡眠でも、連続睡眠と同じレベルのパフォーマンスを発揮できる?
より快眠できるのは、硬めのマットレス?
快眠のために避けるべきなのは、カフェインよりアルコール?

CHAPTER5 体にいい「健康法」はどっち?
生きがいがある人が長寿って本当?
瞑想は健康になるの?
サプリメントは気休め?
体を温めるのに効果的なのは、入浴よりサウナ?
自然の中に行くと健康になる?
犬を飼っていると健康になるって本当?
風邪を引いたら加湿器を使ったほうがいいの?
ネギを首に巻くと風邪は治るの?

<著者プロフィール>

山田 悠史

山田 悠史(やまだ ゆうじ)

マウントサイナイ医科大学老年医学科アシスタント・プロフェッサー
2008年慶應義塾大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院初期研修などを経て,2015年からマウントサイナイ大学ベスイスラエル病院内科レジデント,2020年からマウントサイナイ大学老年医学科フェロー,2022年から現職。
日本総合内科専門医,米国内科専門医,米国老年医学専門医などの資格を有する。
日本国内では、ポッドキャスト「医者のいらないラジオ」のパーソナリティ, 合同会社Ishifyの共同代表, 有志団体めどはぶの代表を務める。
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