記事・インタビュー
神奈川県横浜市で在宅医療を展開する「ゆう在宅クリニック」。2007年の開業後、現在は4つのクリニックに20名以上の常勤医師が在籍しています。順調に拡大しながらも医師の離職はほぼゼロ。今回の記事では、理事長の田村陽一先生、常勤の先生方への取材を通して、医師が働き続けたくなる秘訣を探りました。
▶ 理事長にインタビュー
▶ 勤務医にインタビュー
▶ 当法人で働く魅力
▶ 募集要項
理事長にインタビュー
<お話を伺った方>

Q: 開業のきっかけを教えてください。

田村 先生
病院ではできないことが、在宅なら実現できるかもしれないと感じたのがきっかけです。
病院では高齢の患者さんが入院すると点滴につながれてしまい、自然な最期を迎えにくい現状が少なからずありました。緩和的な視点からすると、治療よりも寄り添う医療が必要なのではないかと考えるようになり、開業を決意したんです。
また、通院できない多くの方を支援したいという思いもありましたね。
Q: クリニックの概要を教えてください。

田村 先生
現在クリニックは本院、旭院、横浜院、瀬谷院の4つがあり、患者数は約1,300名、常勤医師は20名です。在宅医療学会専門医および緩和医療学会専門医の認定研修施設のため、働きながら専門医資格を取得できます。NTTエレクトロニクステクノとはクラウド型電子カルテ「モバカル」を共同開発しました。
当院の特徴のひとつは、患者さんへの24時間対応です。往診依頼があればすぐに診療に向かいます。近年、当直やオンコール対応がないクリニックも増えていますが、当院は地域密着型のクリニックとして、オンコール対応も自分たちで行います。今後も訪問看護師やケアマネージャーと連携しながら診療したいと考えています。
ただし、医師が疲弊してしまうのは本末転倒です。患者さんファーストを実現するため、チーム医療で医師の負担を分担し働きやすい環境を整えています。
Q: 訪問やオンコールの体制はどのようになっていますか。
田村 先生
フットワークを軽くするため、訪問は基本的に医師一人で行い、処置がある日などは看護師がつきます。一人だと自分の思い通りに予定を組めることも利点です。
オンコール対応は土・日曜、祝日が月に1.5回ほど、平日は月2回ほどの対応となります。
Q: 医師を募集中とのことですが、採用条件をお聞かせください。

田村 先生
勤務日数は週4日以上を想定しています。専門医資格は必須ではなく、それよりもコミュニケーション能力を重視しています。難しい処置は少ないものの、採血・点滴はできると望ましいです。
当院は完全出来高制のため、積極的に働きたい先生に向いている環境だと思います。
Q: 報酬制度について教えてください。
田村 先生
当院で働く魅力のひとつは、開業医並に稼げる点です。医師の裁量権と報酬を開業医と同等にしており、それでいて、負担を分担できるシステムになっています。年収3,000万は当たり前で、3,000万に届かない先生は本人の要望で受け持ち患者数を抑えている、または入職1年目の先生です。将来的な開業を検討していたものの、開業よりもメリットが多いため、当院で働き続けることに決めた先生もいらっしゃいます。
最低保証があるため、患者さんがいなくても給与がゼロになる心配はありません。医師と地域がWin-Winの関係を築ける環境を作っています。
Q: どんな先生に来ていただきたいですか?

田村 先生
在宅医療に興味のある先生、コミュニケーション能力が高い先生に来ていただきたいです。自由に診療できるため、自主性の高い先生におすすめです。開業医だと思って従事していただきたいです。
勤務医にインタビュー
ゆう在宅クリニックの勤務医に、入職の決め手や働く魅力などを伺いました。
<お話を伺った方>



Q: 在宅医療の道に進んだ経緯を教えてください。

遠藤 先生
当院に入職する前、別のクリニックで非常勤として在宅医療に携わっていましたが、想像以上に難しさを感じました。例えば、病院では誰かが対応してくれていた医療制度について、在宅では自分が理解していないと患者さんに説明できませんし、他職種との連携もうまくとれません。そうした気づきから、訪問診療をしっかり学びたいと考えるようになりました。
川田 先生
緩和ケア病棟で働いていた際、診療報酬の改定により最期まで患者さんを診ることが難しくなっていると感じました。コロナ禍を機に自宅で最期を迎えたいと考える方が増え、緩和ケア病棟の限界も意識するようになったんです。
在宅だからこそ最期まで診れる患者さんもいるのではないかと思い、関心を持つようになりました。
南村 先生
広く医療全般を診たいという思いが強くなったことが理由のひとつです。また、在宅診療を必要とする患者さんが増えていることを感じ、徐々に関心が高まっていきました。
Q: 入職の決め手を教えてください。
遠藤 先生
一番は、日本在宅医療連合学会の研修施設であることです。専門医資格は強みを打ち出す一つの手段と考え、入職を決めました。
また、大規模法人では難しいと思われる主治医裁量制を採用しており、責任を持って患者さんを診ることができます。それでいて、小規模クリニックのような機動力と丁寧な往診を両立している点にも惹かれました。

南村 先生
勤務医時代、非常勤として他の訪問診療のクリニックで働いていたのですが、比較的ゆったりとした勤務体制で、より広くアクティブに働きたいと考えていました。ここは密なケアを必要とする患者さんが多く、やりがいを感じられる環境です。
また、当院で働く泌尿器科出身の先生の話を聞く機会があり、理想とする在宅医療が実践できると感じたことも決め手になりました。主治医裁量制や仕事量に応じた給与体系も魅力に感じています。
川田 先生
最初は非常勤で入職しました。複数人でまわるクリニックに比べると訪問件数は少ないものの、患者さんにじっくり対応でき、思い描いていた在宅医療に近いと感じ常勤で働くことを決めました。
Q: 入職後ご苦労されたこと、想定との違いはありましたか?
遠藤 先生
専門外の患者さんを診ること、他職種と連携を取ることに難しさを感じました。脳外科は在宅診療を行う医師が少なく、周囲の脳外科医師にはゆるやかなイメージをもたれていましたが、個人的には今の方が大変なことが多いです。在宅は手術室や充実した設備があるわけではありません。限られた条件のなかで診療を行うことは貴重な経験であり、学びがあると感じています。

川田 先生
在宅診療は生活環境や介護者の状況など、患者さんの背景も含めた診療をできる良さがあります。診療報酬を意識するようになるなど、病院での経験を経たからこそ得られた気づきも多いと感じています。
南村 先生
他のクリニックで非常勤医師として在宅診療を行っていたころと比較し、癌や難病の患者さんを受け持つ割合が増え、よりアクティブに働ける環境になりました。
Q: 診療時の疑問などはどう解決しているのですか?
南村 先生
さまざまな専門の先生が在籍しており、相談すれば誰かしらが知見の深いアドバイスをくれます。ここは言うなれば小さな総合病院のような環境です。ただし縦社会ではなく、入職時期を問わずフラットなポジションのため、気をつかうこともありません。
遠藤 先生
気になったことを直接聞いたり、電話やLINE WORKSなどで相談したりできるため、勉強しながらのびのび働けます。
川田 先生
相談しながら経験を積むことで、自信を持って診療できるようになりました。経験のある先生から直接指導を受けることは、一番理解が深まると感じます。
Q: オンコールの体制を教えてください。

遠藤 先生
オンコール対応は当直医とバックアップの2人体制です。オンコール当番の時間が終わると、各主治医に電話が入るように切り替わります。1か月当たりの当番の頻度としては、平日2、3回と休日1、2回ほどです。
川田 先生
オンコール以外の時間はそこまで忙しくなく、メリハリをつけて働けます。緩和ケア病棟と比べると、夜間の呼び出しの回数はぐっと減りました。
南村 先生
当直ではクリニックに泊まることも可能です。往診エリアから離れた場所に住んでいる先生は利用しているようです。
Q: 転職後、QOLは良い方に変化しましたか?
南村 先生
大幅に向上しました。自分の業務が終われば帰れるため、家族と夕食を囲む機会も増えています。また、子供の行事等で休みたい場合も比較的容易に休みを取れます。当院には「コール受け」というシステムがあり、代理対応いただく先生に依頼料を支払うことで、自分の患者さんの対応をお願いできるんです。お互い気兼ねなく休めますよ。
川田 先生
主治医裁量制のため、診察以外にも書類作成や役所への連絡といった業務が発生しますが、裏を返すと他の先生の業務を代わりに行うこともありません。自分でスケジュールを管理でき、QOLの向上という点でもメリットを感じています。
遠藤 先生
時間外に連絡がくることはほぼなく、メリハリがついている職場だと思います。
Q: どんな先生におすすめですか?

南村 先生
ある程度経験を積んだけれどまだまだ頑張りたい、自分の裁量で仕事したい、仕事量に応じた報酬を求めたい、という先生におすすめです。そうした思いのある方にとっては望ましい環境です。
川田 先生
責任をもって最期まで診たい、その成果を感じ取りたいという先生に向いていると思います。
遠藤 先生
僕自身、非常勤で勤務して面白いと感じたのがきっかけでした。在宅医療に関心があるならば一度経験してみると良いと思います。
当法人で働く魅力
<魅力1> 完全歩合制の報酬制度
当院では、医師によって自由にライフスタイルを選択できる様に完全歩合制を採用しております。忙しくてもいいから多くの給与が欲しいという方や適度に働きつつ仕事と家庭を両立した いという方まで、幅広いご要望にお応えすることが可能です。詳しくはクリニックまでお問い合わせください。
<魅力2> 長期休暇も可能なオンコール体制
常勤医師10名以上でチーム医療体制を取っています。自身のオンコール担当日以外は18時で業務終了になります。
そのため、夕方以降のプライベートの充実や長期休暇なども取得も可能です。
医師数が増えるとオンコール数も減少します。
<魅力3> 診療における裁量権100%
診療担当医師の裁量権が大きい事も特徴のひとつです。自身の診療スタイルをダイレクトに患者さんに提供できます。
また、困った時や悩んだ時は周りに相談できる為、成長できる環境でもあります。
<魅力4> 2年で専門医取得も目指せる
当法人は、緩和医療学会専門医&在宅医療学会専門医の研修施設です。
働く中で専門医を取得したいといった先生を応援する環境と指導医がおります。
◆2年で在宅医療連合学会認定専門医になる/ゆう在宅クリニックで実現できる理由
・日本在宅医療連合学会の研修施設になっている
・専門医申請に必要な複数の他施設交流研修も紹介できる
・年間約600 例の看取り症例の実績があり、十分な経験が積める
・各学会への参加、発表、論文作成のサポートができる
・専門医試験の申請や試験対策のサポートができる
◆2年で緩和医療学会専門医になる/ゆう在宅クリニックで実現できる理由
・日本緩和医療学会研修認定施設になっている
・大学病院緩和ケアチーム、がん専門病院緩和ケア病棟、在宅クリニックのすべてを経験した2人の専門医を中心に、丁寧に指導できる環境がある
・年間約600例の看取り症例の実績があり、十分な経験が積める
・各学会への参加、発表、論文作成のサポートができる
・専門医試験の申請や試験対策のサポートができる
募集要項
- 勤務形態
- 常勤
- 仕事内容
- ◆訪問数:7~10件/日(居宅:施設=8:2)
◆診療体制:医師1名(看護師1名が週に1-2回程度同行します)
◆医療設備/医療機器:電子カルテ(PC)、ポータブルエコー、心電図
◆夜間勤務:免除あり。仮に担当する場合でも週2日程度の勤務です
◆その他:医師同士で相談を出来る体制を整えております
- 勤務地
- 本院:横浜市保土ヶ谷区今井町827-3
旭院:横浜市旭区二俣川1-67-4 YAMAKI二俣川1階
横浜院:横浜市神奈川区三ツ沢南町6-14
瀬谷院:横浜市瀬谷区阿久和西3丁目1−13
- 通勤方法
- マイカー通勤可
※駐車場も用意します
- 勤務時間
- 常勤:8:30~17:30(実働8時間)
※時短勤務、半日勤務など応相談
- 勤務曜日
- 常勤:月・火・水・木・金・土(週4日~OK)
※1週間のうちで2日分休日を取得いただきます
- 給与額
- 常勤
夜間、土日オンコールをする場合、完全出来高制
オンコールをしない場合は応相談
- 休暇
- 常勤
├土日、祝日
└法人が定める休日(年末年始)
その他
├有給休暇
├介護休暇
├産前・産後休暇
└育児休暇 など
- 待遇・福利厚生
- 常勤
・交通費:非課税範囲内で支給
・その他:ユニホーム支給、医療賠償責任保険(診療所として加入)
・社会保険:健康保険、労災保険、雇用保険、厚生年金
・定年制度:60歳 ※その後嘱託勤務などで継続勤務可能
・昇給制度:有り(1回/年) ※業績による
・育児支援:時短・隔週勤務の相談可
- 応募方法
- 少しでも興味をお持ちいただけましたら、まずはエントリー(書類選考)へお進みください。事前の診療見学も可能です。
ご希望やご不明点につきましては、お電話でのお問い合わせも受け付けておりますので、採用担当までご連絡ください。
(TEL:045-351-0063/E-mail:tamtam412001@yahoo.co.jp)
ゆう在宅クリニック
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