記事・インタビュー
Vol.2 (勤務医/開業医問わず)専門性を高めてゆきたい方の資金計画
この度『民間医局』で、医師の皆さまに「無料でライフプランを作成」するサービスを始めたのを機に、開始したこの連載。前回の第1回では、医師の人生にとって「ライフプランを作成することがいかに重要か」を、ライフ・コンサルタントの方(以下LCと表記)に、私(『民間医局』保険新企画担当:金井)から詳しくお伺いしました。これを受け、今回を含めた第2~第4回では、先生方それぞれのキャリア構想に沿って、お話を聞いてゆきたいと思います。まずはこの第2回では「専門性を高めてゆきたい方」を想定します。
(第1回の最後では、勤務医に限定した予告をしてしまいましたが、医師はみな高い専門性をお持ちなので、医師全般に当てはまるお話かもと考え、表題をそのように修正しました)
金井 :では、医師全般に当てはまることとして、一般の人々と大きく異なる点は何でしょう?
LC :基本的な考え方は概ね変わりませんが、決定的に異なるのは「医師は専門性が高い職業」という点です。
次に記載する2つのグラフは、ともに収入920万円、生活費600万円(住宅費含)、退職金がない場合の家族4人の例です。専門性を高めるキャリアの方は、ご退職の概念が明確でなく、長くお仕事を続けられると思います。
まずは単年度の収支を、時系列で示したグラフです。
金井 :住宅購入費と、教育費が必要な時期に、支出が上回っていますね。
LC :はい。では次のグラフは、貯蓄残高を時系列で示したものです。
金井 :住宅購入もですが、教育資金が必要となる時期に、残高が大きくマイナスになっています。一方で、右側の山はかなり高くなりますね。
LC :はい、まずは教育が大事ですね。その点は第5回で詳しく解説します。一方、一般の方よりも長く高収入が持続することにより、高年齢になる程かなり貯蓄額が増大する形となります。したがってご本人と配偶者で使い切れない分は相続に回る可能性が大きく、その点は第4回で詳述するつもりです。
金井 :そうすると、そのグラフ右側の大きな山で、左側の大きなマイナスを埋めればよい気がします。借入とか?
LC :そうですね。他にも、左側の若いうちだけで収支を合わせる学資保険・積立等もあります。ただこの表からは、それ以上のリスクも読み取れますよ。その点をより分かり易くする為に、こんなケースを考えてみましょう。勤務医を続ける方は専門性を高めてゆく訳ですが、その専門性自体を、病気やケガなどで失ってしまう、あるいは発揮できなくなってしまったら、どうなるでしょう?
金井 :それは大変です!計画が根本から崩れてしまう…どうなってしまうのでしょう?
LC :下図は、このご家庭で若くして万一の事があった際、奥様が一般の企業でお勤めになられたケースです。
金井 :必要保障額が2億円!もちろん早い時期にそうなった場合ですが…そんなに必要なのですね!!
LC :はい。もちろん、そうなったら生活レベルを下げる…と考えるかもしれませんが、医師の生活費は一般の方より高いケースが多く、高い水準をご家族がいきなり下げられるかというと、それはなかなか難しいことです。
金井 :そうすると、何らかの備えが事前に必要となりますね。
LC :はい。今までと変わらない生活を続けるために、そうした万一に備える「守りのライフプラン」が大事です。
金井 :「守りのライフプラン」と言いますと?
LC :ライフプランは、資産形成の為だけではない…という事です。
住宅ローンがまだ多く残っているのに就労不能となってしまっても、変わらず同じ家で生活を続けることができるように。また教育資金が多く必要なのに医師に万一の事が起きてしまっても、お子様が変わらず同じ教育を受けることができるように。こうして「想定していた収入がなくなる」場合に、事前に備えるのが「守り」です。
金井 :具体的には、どんな手段を講じることが考えられますか?
LC :それは、『民間医局』にライフプラン(無料)をご相談頂ければ、個別にお答えしますが、ここでは代表的なものをご紹介しましょう。それは一般的に「長期障害所得補償保険(GLTD)」と呼ばれるものです。
金井 :簡単に、それはどんな保険か、教えて頂けますか?
LC :この保険は、保険期間中に被保険者が、ケガまたは病気によって就業障害となり、免責期間を超えてその状態が継続した場合に、保険金支払対象期間を限度に、一定割合もしくは一定額の保険金をお支払いできる…という傷害保険です。例えば、大病や大怪我によって有給を使い終わり、傷病手当受給期間終了してしまった後に、最長定年まで所得の保障が受けられるケースもあります。
金井 :なるほど、ご本人に代わって長期間「働いてくれる」保険ということですね。
LC :はい。他にも、テレビCMでよく目にする「働けなくなった時に備える就労不能保険」があります。こちらも、保険会社が定める就労不能状態に該当する期間に、給付金が受け取れるような保険です。これらを組み合わせれば、“守り”のライフプランを構築することができます。
金井 :よくわかりました。今回の話は、専門性を高めるキャリアと聞き、最初は勤務医を続けるケースを想定しましたが、それに限らず、元々専門性が高い医師全般に当てはまるお話でしたね。
LC :まずは、今のキャリアビジョンとキャッシュフローを分析し、早期にギャップを確認することが大事です。そしてそのギャップを、どのように埋めていくか…を考える、きっかけとして頂ければ嬉しいです。
金井 :では次回とその次で、開業を目指す場合に注意すべき点を掘り下げたいと思いますが、今回も出た「相続」に関しては第4回で詳述しますので、開業しない方に関係する内容も含むと思います。ぜひご期待ください。
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