アンケート記事

2026.01.27

医師の働き方改革が現場にどのような影響を与えているのか? ~医師の働き方改革に関するアンケート~

「医師の働き方改革」の施行以降、時間外労働の上限規制や宿日直許可の運用、タスクシフト/シェアの推進、DX・ICT化など、医療現場を取り巻く環境は大きく変化しています。

一方で、制度の浸透度や現場での実際の実感や運用状況などには差もあるようで、医師の働き方の変化は、今も過渡期にあると言えるでしょう。

本アンケートでは、医師の働き方改革が現場にどのような影響を与えているのか、また施設毎の進展度や課題、具体的な取り組み状況を明らかにすることを目的に調査を実施しました。

[ 目 次 ]
医師の働き方改革について
・自身への影響/勤務先の進展度
・今後の課題
・施行前と現在の労働時間
・施行前と現在における変化
・勤務先の実態
・時間外労働の上限規制における適用水準
・宿日直許可
・タスクシフト/シェア
・DX・ICT化

Q.①「医師の働き方改革」は、総合してご自身にとってどのような影響を与えていますか。(単数回答) ②現在の勤務先における「医師の働き方改革」の進展度について、あてはまるものをお選びください。(単数回答)

  • 働き方改革の「影響評価」 「進展実感」は中立派が多数

働き方改革が自身に与える影響について「どちらともいえない」が64%と最も多く、医師の間では中立に捉えている傾向でした。また、勤務先の働き方改革の進展度は、「どちらともいえない」が41%で最多でした。一方で「かなり進んでいる」は5%に留まり、十分に実感できていない方が多い様子がうかがえます。

年代別に見ると、30代以下では、影響評価で「ややマイナス/マイナス」(25%)、進展度で「あまり+まったく進んでいない」(20%)が他年代より高く、若年層ほど現場での進展実感が得られにくく、現状の課題として捉えられます。

Q. 「医師の働き方改革」の今後の課題として、あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答)

  • 働き方改革の課題は「人員不足」が最多、制度運用面の課題も上位に

働き方改革の今後の課題として最も多く挙がったのは「人員不足」で、429人が選択しました。次いで「自己研鑽」が382人、「名ばかり宿日直」が381人と続き、現場では制度の運用や線引きに関する課題感も強いことがうかがえます。特に30代以下ではこの3つの割合が他の年代より高く、日々勤務を行っているなかで、その実態にはまだまだ課題があると感じている方が多いといえるでしょう。

他にも「医師の偏在」(362人)や「財源不足」(361人)など、医療提供体制や地域構造の問題とも密接に関わっている様子が見られます。また、「休息確保の困難さ」(315人)も挙がっており、勤務時間の管理だけでなく、実態として休める環境づくりが課題となっています。

Q. ①働き方改革施行前(2024年3月)と②現在(2025年10月)の週あたりの労働時間を教えてください。(単数回答)

  • 「週60時間未満」が増加し、長時間労働は縮小傾向

週あたりの労働時間は、働き方改革施行前(2024年3月)と比べて、現在(2025年10月)では短縮傾向が見られました。「週60時間未満」は施行前の71%から現在は79%へ増加し、「週80時間以上」は12%から7%へ低下していることから、施行後は、医師の労働時間が比較的短縮されつつあり、労働環境の改善につながっている様子がうかがえます。

Q.①働き方改革施行前(2024年3月)と現在(2025年10月)を比べて、次に該当するそれぞれの時間はどう変化しましたか。 ②働き方改革施行前(2024年3月)と現在(2025年10月)を比べて、次の項目の増減を教えてください。

  • 研究・会議は減少傾向だが、自己研鑽は増加傾向も。年収はやや減少傾向。

働き方改革施行前(2024年3月)と現在(2025年10月)を比較すると、各業務の時間は全体として「変わらない」が中心となりました。一方で「時間が減った」に着目すると、研究(16%)や院内会議(17%)が相対的に高く、診療以外で時間が調整されている様子がうかがえます。また、自己研鑽は「増えた」が16%と他項目より高くなっておりますが、それは「純粋な自己研鑽の増加」「業務が自己研鑽扱いになる」の両面を含んでいる可能性があるといえるでしょう。

収入面で、年収は「減った」が約2割に上りました。アルバイト回数については、当直が減少傾向にあり、働き方改革の影響で、収入が下がってしまうことも課題の1つであることがわかります。

Q.次に挙げる項目について、現在の勤務先はどちらにより近いと感じますか。(単数回答)

  • 勤務先タイプで働き方改革の実態に差

勤務先の働き方改革の実態をみると、大学・公的病院では「隠れ残業」が76%と特に高いです。また外勤制限も大学・公的病院では「制限あり」が高く、施設形態によって自由度に差がありました。大学・公的病院では他施設形態より、強い課題感があるように思われます。

「当直明けに帰宅できていない」は、大学・公的病院で67%、民間・市中病院も59%と一定数が帰宅できておらず、当直後も勤務を続ける過酷な状況が見て取れます。コメディカル人員については、大学・公的病院(75%)・民間・市中病院(74%)で不足感が強く、現場での課題感が浮き彫りとなる結果でした。

Q.時間外労働の上限規制における適用水準について、現在の勤務先が取得している水準を教えてください。(単数回答)

  • 適用水準は管理職ほど把握も、全体ではわからないが過半数

時間外労働の上限規制における適用水準について、勤務先が取得している水準を尋ねたところ、全体では「A水準(年960時間以内)」が32%で最多となりました。一方で「わからない」が51%と過半数を占め、制度が現場全体に十分浸透していない様子がうかがえました。

属性別にみると、医局長・科長・部長クラスでは適用水準を把握している傾向が見られましたが、一方でそれ以外の層は「わからない」が依然として高く、制度の理解や共有にギャップが生じています。

各施設が、働き方改革を推進していくうえにおいては、現場での認識のばらつきの是正、マネージメント層以外も含めた医師の皆様全員へ「制度の内容」をしっかりと浸透させていくことが重要なポイントになると考えられます。

Q.①次に挙げる左右の項目について、現在の勤務先はどちらにより近いと感じますか。(単数回答) ②宿日直許可について、現在の勤務先での運用は実態に即していますか。(単数回答)

  • 宿日直許可運用は実態とズレが目立つ

宿日直許可については、全体で約7割が取得しており、大学・公的病院(75%)と民間・市中病院(81%)と大半は取得しておりました。

また、宿日直許可の運用が実態に即しているかを尋ねたところ、「実態に即していない」が42%で、「即している」(35%)を上回りました。特に大学・公的病院では「即していない」が53%と過半数を占めており、制度上の整理と現場運用の間にギャップが生じている可能性が示唆されます。

Q.現在の勤務先について、タスクシフト/シェアはどの程度機能していると感じますか。(単数回答)

  • タスクシフト/シェアは「一部のみ機能」が最多、施設形態で浸透度に差

現在の勤務先でタスクシフト/シェアがどの程度機能しているかを尋ねたところ、全体では「一部のみ機能している」が37%と最多で、「十分機能している」は19%にとどまりました。「まったく機能していない」(12%)に加え、「行っていない/実施していない」も32%と一定数を占めています。

記述回答では、機能している実例として書類作成の下書きやカルテ・オーダーの代行入力が多く挙がり、看護師の特定行為やコメディカルへの業務移管なども見られました。一方で機能しない理由は人員不足と医師の雑務・事務作業の多さが中心でした。
タスクシフトは「導入の有無」だけでなく、受け皿となる人員配置と、現場で回る運用設計まで含めて初めて機能することが示唆されます。

Q.①現在の勤務先における「DX・ICT化」の進展度について、あてはまるものをお選びください。 ②現在の勤務先で実際に導入・運用されているDX・ICTツールをお選びください。

  • DXICT化は「どちらともいえない」が最多、電子カルテ」「勤怠管理システム」以外は導入に差

勤務先におけるDX・ICT化の進展度については、「どちらともいえない」が39%で最多でした。一方で「あまり+まったく進んでいない」を合わせると約4割となり、医療現場のDX化は進展にばらつきがあることがうかがえます。実際に導入・運用されているツールを見ると、最も多いのは電子カルテで777人、次いで、勤怠管理システムが516人と比較的多い一方、それ以外のツール導入は限定的でした。

DX・ICT化の進展は「電子カルテの導入」にとどまらず、勤怠・業務支援・情報共有まで含めた運用設計が今後の課題となっております。

まとめ:制度と現場の間に残る課題

今回のアンケートで、「医師の働き方改革」の現場での運用や進展度は一様ではなく、また立場や勤務環境によっても温度差があることがうかがえました。さらに、課題としては人員不足や宿日直・自己研鑽の線引きなど、現場の負担に直結するテーマが多く挙がっており、制度を運用する上での実態のギャップが残っている状況も見えてきました。

また今後必要だと思う取り組み・ツールの記述式では、タスクシフト/シェアの推進に加え、勤怠管理や業務効率化に資するICT活用、さらにはAIによる文書作成支援など、具体的な改善策への期待が寄せられました。その一方で、「業務量が変わらない限り改善は難しい」「財源や診療報酬の見直しが必要」といった声も多く、施設毎や現場だけの努力だけでは限界があることも示唆されています。

人々の健康を支えていらっしゃる医師の皆様自身が健康で安心して働き続けられるために労働環境を整備して、持続可能な医療提供体制を確保するために施行された、医師の働き方改革ですが、各施設や現場では、まだまだ課題があるということが浮き彫りになりました。

本当の意味で“働き方改革”が広く浸透していくためには、引き続き行政も含めた国全体での課題感の共有と改善の検討はもちろんのこと、現場レベルでは、単に勤務時間の管理ではなく、業務の分担・支援体制・評価や報酬のあり方まで含めた「現場レベルでの改革」が必要であると感じている方が多くいらっしゃる結果となりました。

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【アンケート概要】
対象:「民間医局」会員の医師
回答方法:Webによる回答
調査期間・回答者数:
第1回 2025年10月  2日 実施・ 1,273人
第2回 2025年10月10日 実施・ 1,114人
第3回 2025年10月16日 実施・ 1,148人
第4回 2025年10月23日 実施・ 1,143人
第5回 2025年10月30日 実施・ 1,136人

 

医師の働き方改革が現場にどのような影響を与えているのか? ~医師の働き方改革に関するアンケート~

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