アンケート記事
高所得者が多いといわれる医師の皆さんは、金融資産をどれくらい保有しているのでしょうか。今回、民間医局コネクトでは、貯蓄をテーマにアンケートを実施し、医師1,568名、初期研修医197名、医学生373名より回答を得られました。アンケート結果からは、金融資産と実物資産それぞれにおいて、堅実で安定した資産形成がなされている様子がわかりました。医師に限ると、直近1年間の金融資産増加額は約800万円。リタイア時に保持していたい貯蓄額は約1億4,000万円と高額ながら、現状の増加ペースからは、目標に到達するのも現実的であることが推察されます。主な調査結果は下記のとおりです。
[ 目 次 ]
❶ 金融・実物の各資産を保有する医師が持つ資産の平均額は、金融資産3,752万円、実物資産5,303万円
❷ 直近1年間の金融資産は「増えた」と答えた人のほうが多く、医師の増加平均額は807万円
❸ 過半数が金融資産・実物資産の両方を増やしたいと希望。医師は金融資産を1年後に平均593万円増やしたい
❹ 医師がリタイア時に所持していたい理想の金融資産額は平均1億4,422万円
金融・実物の各資産保有する医師が持つ資産の平均額は、金融資産3,752万円、実物資産5,303万円
保有している金融資産について聞いたところ、額が大きい順に「預貯金」「投資信託」「株式」という結果になりました。所有する実物資産は、「不動産系」「貴金属系」「宝石系」の順になっています。
では、医師の皆さんはそれぞれのどれくらいの額を保有しているのでしょう。
保有する金融資産額を聞いたところ、最多は「3,000万円未満」で23.5%。次いで、「5,000万円未満」「1,000万円未満」がともに12.2%で続いています。5,000万円以上は14.1%(「1億円未満」9.1%、「3億円未満」4.5%、「それ以上」0.5%の合計)で、1,000万円未満は26.4%(「1,000万円未満)12.2%、「500万円未満」9.3%、「100万円未満」4.9%」でした。
保有する実物資産額は、最多が「5,000万円未満」の18.5%でした。続いて、「3,000万円未満」が15.3%、「1億円未満」が15.2%となっています。5,000万円以上は23.5%(「1億円未満」15.2%、「3億円未満」7.3%、「それ以上」1.0%の合計)で、1,000万円未満は20.4%(「1,000万円未満)7.0%、「500万円未満」6.9%、「100万円未満」6.5%」)。
それぞれの資産の平均額を加重平均でみると、金融資産は平均3,752万円、実物資産は平均5,303万円となっており、堅実な資産形成がなされていることがわかりました。
Q ご自身が所有している「金融資産」のうち、資産額の大きいものから1~3位の順位をつけてください。
※現在所有している「金融資産」が2つの場合、1~2位を選択。1つの場合、お手数ですが1位を選択してください(単一回答マトリクス、回答数1,961)
Q ご自身が所有している「実物資産」のうち、資産額の大きいものから1~3位の順位をつけてください。
※現在所有している「実物資産」が2つの場合、1~2位を選択。1つの場合、お手数ですが1位を選択してください(単一回答マトリクス、回答数883)
Q5 ご自身が所有している「金融資産」または「実物資産」について、「①金融資産の総額」「②実物資産の総額」をそれぞれ教えてください。
※おおよその額で大丈夫です(単一回答マトリクス、医師の回答のみを抽出)
直近1年間の金融資産は「増えた」と答えた人のほうが多く、医師の増加平均額は807 万円
医師の皆さんに金融資産の増減について聞いたところ、1年前と比べて金融資産額が増えた人は975人、減った人は124人でした。
増えたと答えた人の金額は、「300万円未満」が19.9%、「500万円未満」が17.7%、「1,000万円未満」が16.6%の順となりました。一方、減ったと答えた人の金額は、「100万円未満」と「300万円未満」がともに25.0%、「500万円未満」が11.3%でした。それぞれの平均額を加重平均でみると、増えた額は807万円、減った額は586万円に。毎年コツコツと、着実に資産を増やしている人が多いことがわかりました。
また、資産に関するさまざまな項目について自身にあてはまることを聞いたところ、「株式資産の評価額が増加した」「住宅ローンがある」「家計簿をつけている」がそれぞれ430票前後を集め、トップ3になりました。「借入金がある」には回答者の6.8%にあたる146票が寄せられ、 その金額は「1億円未満」が18.5%で最多となっています。「それ以上」13.7%、「3000万円未満」13.0%が続いており、加重平均で計算すると、4,956 万円でした。
Q ご自身の「金融資産額」について、1年前と比べて増えた額・減った額を、おおよそで結構ですので教えてください(単一回答マトリクス、医師の回答のみを抽出)
Q借入金があるとお答えいただきましたが、借入金の総額を可能であれば教えてください(回答数146)
過半数が金融資産・実物資産の両方を増やしたいと希望。医師は金融資産を1年後に平均593万円増やしたい
これからの資産形成についての考えを聞いたところ、金融資産を増やしたいと思う人は83.6%にのぼりました。増やしたいと思わない人は3.7%とごく少数でした。実物資産についても、増やしたいと思う人が52.1%で5割を超えています。一方で増やしたいと思わない人も17.0%と一定数いることがわかりました。金融資産を増やしたい人は8割以上と大半を占めていますが、実物の所有は増やしたくないという意向の人もいるようです。
では、今後、金融資産を増やしたいと考えている人は、1年後にどのくらい増やしたいと考えているのでしょう。医師の皆さんの回答は、高い順に「300万円未満」19.7%、「1,000万円未満」17.9%、「それ以上」17.5%、「500万円未満」17.3%となりました。加重平均でみると593万円。着実に資産形成を目指している様子が読み取れます。
また、現在所有していないものの今後所有したい資産について聞いたところ、「株式」488票、「不動産系」385票、「外貨預金」363票が上位3つを占めました。ほかに、「債券」267票、「貴金属系」258票、「投資信託」241票と、それぞれ200票以上を獲得し、さまざまな資産形成の方法に興味を示していることがわかりました。
Q金融資産・実物資産について、ご自身のお気持ちに近いものをそれぞれお答えください(単一回答マトリクス、回答数2,138)
Q 「今後金融資産を増やしたい」で「そう思う」「ややそう思う」とお答えいただきましたが、1年後、ご自身は金融資産額をどの程度増やしたいと思いますか(回答数1,304、医師の回答のみを抽出)
Q 現在所有しておらず、今後ご自身が所有したいものがあれば、いくつでもお選びください(複数回答可、回答数2,138)
医師がリタイア時に所持していたい理想の金融資産額は平均1億4,422万円
今後、金融資産を増やしたいと思っている医師の皆さんは、具体的にどれくらいの金額を想定しているのでしょうか。
医師がリタイア時に所持していたい金融資産額を聞いたところ、トップは「3億円未満」で27.6%でした。次いで「1億円未満」が20.0%、「それ以上」が10.6%、「5,000万円未満」が10.1%となっています。希望額を加重平均でみると、平均1億4,422万円に。高い金額ではありますが、現状の増加ペースを鑑みると、目標額に到達するのは現実的だとも考えられます。
Q 仕事をリタイアするタイミングで所持している金融資産について、ご自身が理想とする額を教えてください(回答数1,568、医師の回答のみを抽出)
[金融資産を増やすために行っていること]
・FX、仮想通貨など分散投資をしている(20代 医学生)
・NISA、iDeCo、それ以外に特別口座で投資信託(40代 内科)
・FPに相談する(50代 総合診療科)
・NISAでインデックスファンドを購入している(40代 内科)
・NISA満額、iDeCo満額、日米高配当株、インデックスの投資信託(20代 内科)
・PayPayのポイント運用(20代 医学生)
・S株とかミニ株とか呼ばれている、1株単位の取引を日々少しずつ行なっている(30代 その他)
・とにかく節約。過度な節約はしないが、無駄な支出は出ないように家計簿作成と予算の厳守は守っている(20代 医学生)
[1年前と比べ金融資産が増えた理由]
・NISAとiDeCoの評価額が上がった(30代 内科)
・NISAを中心とした外国の投資信託がのびた(40代 内科)
・SP500が好調だから(30代 代謝内科)
・あせらずのんびり一喜一憂せず投資を継続した(40代 精神科)
・アルバイトを増やして節約するようにした(30代 精神科)
・ただ単に働いた分貯まっただけ(30代 小児科)
・遺産相続(60代 外科)
・生活水準を上げないようにしているので出費が増えず、結果として貯蓄が増えた(40代 透析科)
[1年前と比べ金融資産が減った理由]
・アルバイトができない(30代 精神科)
・異動などに伴う収入減(30代 消化器外科)
・家を新築した。クルマを買い替えた(60代 産婦人科)
・家族が増えて支出が増えた(30代 膠原病科)
・家賃や生活費が上がったため(40代 外科)
・株と先物、それで懲りずに失敗(50代 耳鼻咽喉科)
・不動産の売却損(30代 精神科)
・産休育休で給料が減ったから(30代 内科)